雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

オレンジ色のあじさい

2012年06月04日 | ポエム



▲梅雨を前に、我が家の庭の春花壇やプランターも終焉が近い。

 オレンジ色の紫陽花
 梅雨間近。今年も紫陽花の花の季節が廻ってきた。
 近年、町の花屋や園芸店に出並ぶ紫陽花の鉢植えは、様々な色と形に溢れて見るだけで心躍る。そしてたくさんの紫陽花の鉢植えの中から僕が毎年探し求めるのは、まだ見たことが無いオレンジ色の紫陽花だ。
 今までカウントしたこともないが、花好きの僕の「好きな花ベストテン」を選ぶとしたら、紫陽花は間違いなく上位となる花だろう。メランポジウム、アゲラタム、アリッサム、プリムラ、トレニア、インパチェンス。これらは花の名前だが、花に興味が無い方には、名前は聞いても姿は分からない、花はよく見かけるが名前は知らないという方が多いだろう。それに較べると紫陽花は、若い男子でも、バラ、水仙、ひまわり、ダリヤ、コスモス、アサガオなどと並んで、まず誰もが花の名前と姿が一致するポピュラーな花だ。
 特に花が好きな男子では無かった高校生の頃の僕は、その頃のガールフレンドから紫陽花が好きだと聞いた途端に、紫陽花を意識するようになった。そのまま年を重ね、いつの間にか好きな花ベストテンに紫陽花が入るようになっていた。高校生の頃作った紫陽花の詩に、昨年の3月4日にこのブログにアップした「リョウコのあじさい」、同じく昨年の6月6日の「あじさいの花」の2篇がある。だけど、リョウコとそのガールフレンドは無関係です。
 一般に紫陽花の花びらと思われているのは、実はガクで、ガクの真ん中にある小さなポッチが花だそうだ。そして多くの人が紫陽花の花として眺める全体像からすると、他の多くの花のように、紫陽花の本当の花のひとつ一つをじっと見てくれる人はまずいないだろうなと思うのである。そのことと、その頃知り合った笑顔の素敵なリョウコちゃんが、本当はひとりぼっちじゃなかろうかという思いがして、紫陽花の花と結びついて出来た詩です。(ああ、40年も経って自作の詩を解説するとは思わなかった。)
 私の通勤途中に紫陽花で町おこしをしている宇土市がある。とくに有明海に面した住吉や網田地区には、時期になると町中に紫陽花の花が咲いている。僕が密かに「ひょっこりひょうたん島」と読んでいる住吉自然公園には、いつの頃からか住人によって紫陽花が植栽され、人が集まるようになり、宇土市が紫陽花で町おこしをするようになるきっかけとなった。毎年紫陽花の花の時期にコンサートも開かれて多くの人が集まる。父が存命で、母も元気だった頃は、紫陽花の時期になると、熊本市内への行き帰りに一度は立ち寄り、父も母も喜んでくれた。父は、濃い青の日本紫陽花が好きだったようだ。
 数年前に通勤途中の国道沿いの家の庭に、ワインレッドの紫陽花の花を見つけ、興奮した。どうしても欲しくなりお願いして花の時期が過ぎた後で、枝を数本分けてもらい挿し木をした。それが今日の写真の紫陽花だ。紫陽花の花の色は、土壌のpHに左右されると聞くが、確かに我が家ではワインレッドもやや青みが強くなっている。
 僕がオレンジ色の紫陽花はないものかと探すようになったのは、考えたら高校生の頃のガールフレンドからオレンジ色の紫陽花の話を聞いたからで、40年も経つとそんなきっかけも忘れている。
(2012.6.4)

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