中矢伸一氏の著書で紹介されている(株)リビング・ミュージック・ジャパン代表取締役の宮本貞雄氏の小論文「プラウトの原理 ポスト資本主義時代の指針」が掲載されていました。中矢氏の「日月神示 ミロクの世の到来」に載っている内容と同じになります。
〔序文〕
プラウト(PROUT)は、インドの哲学者プラバット・ランジャン・サーカー氏によって1959年に提唱された総括的な社会経済理論です。
これは、進歩的(Progressive)活用(Utilization)論(Theory)の頭文字をとったもので、世界中のすべての資源とそれの持つ可能性を最大限に活用し、それを合理的に分配することを主張するものです。プラウトは、資本主義と共産主義によって理想的な人間社会を作ることが出来ないことがすでに立証されている現在、これに代わるべき新しい経済理論です。
現代の資本主義諸国では富が一部の人達によって独占され、これらの人達は政治面でも多大な影響力を持っています。資本家は無制限に富を蓄積することができ、資本家の富をさらに増やすために無産階級は労働力を搾取されるようになります。これは非道徳的であるばかりでなく、多くの資源が少数の人達によって独占され、蓄積されたまま活用されないので、非能率的でもあります。
その反面、共産主義諸国の人達は国家による厳しい独裁政治という統制の中で、思想の自由を奪われ、人権を侵害されています。共産主義といえども指導者の腐敗は絶えず、民衆の意思とはまったくかけ離れたところで政治が行なわれています。
これに対しプラウトが提唱する新しい社会制度は道徳と霊性(スピリチュアリティ)にもとづくものです。プラウトは人々がより想像的な活動に携われるように、すべての人に衣食住、教育、医療を保証する必要があると考えています。また人間社会は一心同体であるという信念のもとに世界連邦政府を樹立し、腐敗することのない道徳実践家による人間社会の実現を考えています。
プラウトの根底にあるのは、道徳精神に基づいた霊性の本質です。ここでいう霊性とは、超越意識を意味するもので、俗に言う宗教とは無縁のものです。
プラウトは、この霊性が人々の意識を拡大し、そしてこの霊性によって人類平等や博愛の精神に目覚めた人々が原動力になって人類が一体となる社会作りが行なわれると確信しています。この霊性に重点をおくプラウトの哲学は、これまで発表されてきた他の唯物論的な社会哲学とは根本的に質を異にするものであるといえるでしょう。
プラウトは、社会の一人一人の霊的意識が高まることによって社会全体が進化していくと考えています。人生の目標は、これまでのように富や地位を得ることから、より高い意識を得ることに変わり、この超越意識はそれらの人々に人間社会の一体性を直感させ、最終的には全宇宙の一体性に目覚めさせるのです。
このようなことから、プラウトはすべての人に衣食住、教育、医療を保証し、世界連邦を樹立することを提唱するのです。全人類が自分の家族であることを直感した人々は、他の人々が最低限の生活必需品すら入手できずに苦しんでいるのを放置することはできません。この考えはサーカー氏が提唱する社会と社会の進歩の概念に明確に表れています。
『道徳的実践の萌芽から宇宙的人間の誕生までの間の溝を埋めるために人々が力を合わせて努力すること、それが社会の進歩にほかなりません。そしてこの溝を埋めるために共に努力している人たちの集団を私は「社会」と呼びます』(サーカー、以下同)
プラウトは一般とは幾分異なる「進歩」の概念を持っています。
現在一般的に考えられている進歩は、その進歩自体によって発生するマイナスの面を考慮に入れていません。例えば、自動車の発明によって人間は行動範囲の拡大に成功しましたが、その反面それに付随して公害や交通事故のような新たな問題を引き起こしています。
サーカー氏は「本当の進歩とは相対性を超越した霊性の分野においてのみ可能である」と主張しています。しかし、これは相対的な分野である物質の世界における進歩を否定しているわけではなく、それに伴うマイナスの面を認識し、マイナスの面を最小限にとどめる努力が必要であることを説くものなのです。
プラウトのもう一つの特徴は、その包括性にあります。
世界のさまざまな問題の解決を試みた多くの学説は、断片的であったがゆえに社会の根本的な構造を変えるまでには至りませんでした。これに対しプラウトは、政治、社会、文化、歴史を含む総合的な視野にたった理論として大きな効果をもたらすことができます。
〔序文〕
プラウト(PROUT)は、インドの哲学者プラバット・ランジャン・サーカー氏によって1959年に提唱された総括的な社会経済理論です。
これは、進歩的(Progressive)活用(Utilization)論(Theory)の頭文字をとったもので、世界中のすべての資源とそれの持つ可能性を最大限に活用し、それを合理的に分配することを主張するものです。プラウトは、資本主義と共産主義によって理想的な人間社会を作ることが出来ないことがすでに立証されている現在、これに代わるべき新しい経済理論です。
現代の資本主義諸国では富が一部の人達によって独占され、これらの人達は政治面でも多大な影響力を持っています。資本家は無制限に富を蓄積することができ、資本家の富をさらに増やすために無産階級は労働力を搾取されるようになります。これは非道徳的であるばかりでなく、多くの資源が少数の人達によって独占され、蓄積されたまま活用されないので、非能率的でもあります。
その反面、共産主義諸国の人達は国家による厳しい独裁政治という統制の中で、思想の自由を奪われ、人権を侵害されています。共産主義といえども指導者の腐敗は絶えず、民衆の意思とはまったくかけ離れたところで政治が行なわれています。
これに対しプラウトが提唱する新しい社会制度は道徳と霊性(スピリチュアリティ)にもとづくものです。プラウトは人々がより想像的な活動に携われるように、すべての人に衣食住、教育、医療を保証する必要があると考えています。また人間社会は一心同体であるという信念のもとに世界連邦政府を樹立し、腐敗することのない道徳実践家による人間社会の実現を考えています。
プラウトの根底にあるのは、道徳精神に基づいた霊性の本質です。ここでいう霊性とは、超越意識を意味するもので、俗に言う宗教とは無縁のものです。
プラウトは、この霊性が人々の意識を拡大し、そしてこの霊性によって人類平等や博愛の精神に目覚めた人々が原動力になって人類が一体となる社会作りが行なわれると確信しています。この霊性に重点をおくプラウトの哲学は、これまで発表されてきた他の唯物論的な社会哲学とは根本的に質を異にするものであるといえるでしょう。
プラウトは、社会の一人一人の霊的意識が高まることによって社会全体が進化していくと考えています。人生の目標は、これまでのように富や地位を得ることから、より高い意識を得ることに変わり、この超越意識はそれらの人々に人間社会の一体性を直感させ、最終的には全宇宙の一体性に目覚めさせるのです。
このようなことから、プラウトはすべての人に衣食住、教育、医療を保証し、世界連邦を樹立することを提唱するのです。全人類が自分の家族であることを直感した人々は、他の人々が最低限の生活必需品すら入手できずに苦しんでいるのを放置することはできません。この考えはサーカー氏が提唱する社会と社会の進歩の概念に明確に表れています。
『道徳的実践の萌芽から宇宙的人間の誕生までの間の溝を埋めるために人々が力を合わせて努力すること、それが社会の進歩にほかなりません。そしてこの溝を埋めるために共に努力している人たちの集団を私は「社会」と呼びます』(サーカー、以下同)
プラウトは一般とは幾分異なる「進歩」の概念を持っています。
現在一般的に考えられている進歩は、その進歩自体によって発生するマイナスの面を考慮に入れていません。例えば、自動車の発明によって人間は行動範囲の拡大に成功しましたが、その反面それに付随して公害や交通事故のような新たな問題を引き起こしています。
サーカー氏は「本当の進歩とは相対性を超越した霊性の分野においてのみ可能である」と主張しています。しかし、これは相対的な分野である物質の世界における進歩を否定しているわけではなく、それに伴うマイナスの面を認識し、マイナスの面を最小限にとどめる努力が必要であることを説くものなのです。
プラウトのもう一つの特徴は、その包括性にあります。
世界のさまざまな問題の解決を試みた多くの学説は、断片的であったがゆえに社会の根本的な構造を変えるまでには至りませんでした。これに対しプラウトは、政治、社会、文化、歴史を含む総合的な視野にたった理論として大きな効果をもたらすことができます。