散歩日記XX

主に趣味の話を書いているブログです。

札幌国際芸術祭2024 LAST SNOW 「明和電機ナンセンスマシーン展」

2024-01-06 11:44:37 | 美術・アート
今日はどうやって時間をつぶそうかと思い、地下鉄に乗ってから気がついた。そうだ、芸術の森に行けばいいじゃないか。あそこならば片道1時間弱はかかるし、ちょうど札幌国際芸術祭2024の中で先行して始まっている展覧会を見ようと思っていたし、もってこいだ。

ということで、地下鉄の大通駅で乗り換えて、真駒内へ。真駒内から芸術の森方面のバス停に向かったところで驚いた。何と30人以上の人間がバス待ちをしているではないか。近づいてみると、海外の観光客が多く、どうやら観光目的で真駒内滝野霊園へ行く人たちのようだ。バスが来たにも関わらず乗らなかった人たちはどこへ行くのかよく分からないが、乗り込んだ人だけでも結構な混雑になり、私は座席に座ることは出来なかった。

私の周りの人たちはベトナムからの観光客のようである。最初は優先席に座っていた人たちも、地元の年配の人が来たら確実に席を譲る。この辺はマナーが実にちゃんとしている。日本語をある程度話せる人もいて、席を譲った人と会話を交わしているし、よっぽど日本人より礼儀正しいかも。私は席を譲られるような見た目ではないらしく、そのまま芸術の森入口へ。

ひょっとして「札幌国際芸術祭」も海外に情報が届いていて、行く人もいたりなんかして、と思ったら芸術の森入口でバスを降りたのは私一人だった。ぜんぜん届いてないぞ、「札幌『国際』芸術祭」!



美術館に入り、パスポート(市民割)を購入。私はこの美術館と北海道立近代美術館は別の年間パスがあるため無料で入れるので、行く回数によってはパスポートでない方がお得になるかもしれないのだが、そうケチケチしたことを言わずに、札幌国際芸術祭のパスポートを買うことに意義があるのではないかと思うのだ。

■札幌芸術の森美術館「明和電機ナンセンスマシーン展」。
早速展示室へ。展示物はすべて撮影可能である。



「機械のエイ」:最初は明和電機(土佐信道?)の学生時代の習作。金属加工の授業でいろいろな課題が出て作るものらしい。



この後、卒業時にどういうスタイルで作品発表をしていくか考えた結果が「日本の中小企業を象徴するエンジニアスタイル」での発表であり、「作品ではなく製品」「パフォーマンスは製品デモ」という明和電機のスタイルにたどり着いたのだとか。次の展示室には26枚のボードの外側に作品の設計図、内側に作品が展示されている。



26作品のイメージミニチュアもある。



「GMグラスカープ」:説明を見ると「本体を回転させ演奏する、コンパクトな鯉型デザイングラスハープ」とあるので、回転しているグラスに指を触れると音が出るのではないだろうか。この辺、デュシャンの「噴水(泉)」を土台に、さらに機能性(必ずも実用品というわけではないが)を意識した作品(いや、作品ではなくて、製品原型なのか)という気がしてくる。



「GMオタクギョタク」:「社長の頭に浮かんだ想像の魚を1000匹記録した本」ということで、こういうのはたまらない。グッズショップでこれ、売っていたかな?



「フライング魚コード」:明和電機制作の「魚コードUSBケーブル」が「フライングタイガー」という世界的に有名な雑貨店にパクられたもの。明和電機はこのパクリ商品を店で購入し、「明和電機」のシールを貼りサインを入れて「芸術作品」として売り出したのだそうだ。もちろん著作権というものがこの世にはあるのだが、プロダクトデザインとなると「実用性」のために誰が作っても同じようなものになりがちである(まあ、魚コードが実用的かという話もあるが)。そこに対する問題提起を訴訟を起こすのではなくやってのけたという狙いなのだろうか。



次の展示室は6区画に区切られ、何となく「昔、想像された未来の世界」のような空間になっている。



「ハニーハンガー」:このハンガーに服をかけるとその重さで筒内のハチミツが服に染み出すというイヤな仕掛け。



「プードルズヘッド」:愛玩犬の象徴のようなプードルが金属化、バイオレンス化した作品。そうかと思えば、そのミニチュア「カワイイ」バージョンも存在する。





「スノー・リング」:体温の変化で異なる雪の結晶を育てる装置なのだそうだが、展示ケースも作品にも6角形の形が取り入れられている。ここで初めて気がついたのだが、この6分割されている部屋を含めて、全体が「雪」、札幌国際芸術祭のテーマ「LAST SNOW」を明和電機として解釈して作成したものではなかろうか。



次のコーナーは演奏ユニット(というのか?)としての明和電機コーナー。





明和電機制服コスプレコーナーがあり、作業服を着ることもできる。ちなみに、展示室の監視員の皆さんはこの制服上着を着用していた。



壁にかかっている装置からは意外と大きな音がする(来場していた子供たちが操作しているのを眺めた)。



そして、毎時15分から行われるミニ演奏(2~3分程度)。リズムボックス的な電子楽器感と物理的な打撃により音が出るという素朴なメカニカル感が相まって、楽しさと哀愁が漂うような独特の演奏である。



左右にはまったく今風ではない電気ボードが幾何学模様を映し出している。



この先、ご本人たちが来場する「製品説明会&ミニライブ」があるそうだが、これは見に行った方が良いかもなあ。

最後に作品→製品→商品(マスプロ)と変化していった先にある「オタマトーンジャンボ」。これが何とも哀愁のある響きを奏でるのだ(他の展示は調整中のものが多かったが、これは録音してある音を聞くことができる)。





何ともにぎやかで楽しく、かつ、ナンセンス要素や微量の悲しみと社会に対する問題提起を含んだ展覧会であった。



■札幌芸術の森美術館B展示室「メディアアーツ都市・札幌って知ってましたか?」。
Yukikaze Technology「Kamuy」:ロボットコンテストに出場したロボット。



石井裕+MITメディアラボタンジブル・メディア・グループ「タンジブル・メディア・ビデオ・キオスク」:今一つ理解が追い付かず。



LAUSBUB「Michi-tono-sogu」:ミュージックビデオらしい。



工芸館では「明和電機ナンセンスマシーン展グッズショップ」と「暮らしのとなり」という工芸品展が開催されているので、こちらも忘れずに。





ふー、密度が濃かった。腹も減ってきたので街中に戻ろう。帰りのバスは滝野霊園帰りのバスではなかったのだろうか。それほど混雑はなく無事に座って行くことができた。

コメント    この記事についてブログを書く
« 長くなりそうな一日&閉店355 | トップ | 今日はどこも混雑していた »

コメントを投稿