■ 偽りの銃弾/ハーラン・コーベン 2019.3.25
ハーラン・コーベンの 『偽りの銃弾』 を読みました。
推理小説を読む楽しさ、面白さを堪能しました。
ドンパチはありませんが、謎が、謎をもたらし、それをたどっていく。
少しずつ明らかにされていく真実、少し歩みの遅いところもあるような気もしますが、楽しませてくれるp574です。
死はいつだってすぐそばにある。息がかかるほどすぐ近くに。
このコーヒー片手のおしゃべりの集いと血まみれの戦場とが地球上の出来事であるという事実を。
古い習慣はなかなかなくならない。軍人はいつまでもどこまでも軍人なのだ。
もういい----マヤは自らに言い聞かせた----自分を責めるのはこれでおしまい。反省して学んだら、あとはまえに進むだけだ。
地球を半周し、いかれた敵と戦うために地獄のような場所へ赴く。.......
今にも自分の人生がばらばらに吹き飛ばされるとしたら、それは携行式ロケット弾や即席爆発装置、AKM自動小銃を手にした狂信者の仕業だと思っていた。
ところがそうではなかった。敵が襲ったのは----敵というのはしばしば予想外の行動に出る---彼女が夢にも思わなかった場所、懐かしの祖国アメリカだった。
人生は人を変える。若い頃はあれほどすさまじかった女性もいつしか鳴りをひそめる。時が彼女たちをおとなしくさせる。高校時代にいたあの爆竹みたいな女の子----あの子はどこへ行った? 男性の場合はそういうことはあまりない。そういう男の子はたいてい成長して世界の覇者になるものだ。が、大活躍していた女の子は? 彼女たちは社会の中でゆっくりと息の根を止められていくように見える。
アイリーンはあんなにも賢くて強くて要領がよかったのに----少なくともそう見えたのに----まちがった男と出会ってしまい、たったそれだけのことですべてが変わってしまったのだ。
恋愛関係はいずれ破綻する。それでも、美しい思い出は残りつづける。ずっとそうやって生きてきたのだ。
彼女たちには想像もつかないのだ。自分たちの世界と、マヤがいるような血なまぐさい世界が隣り合っているなどとは。自分たちが美術や工芸や課外活動や空手教室や発展学習プログラムのことを心配しているあいだに、隣の家族は死や恐怖と向き合っているなどとは。
マヤはまたオッカムの剃刀のことを思い、その単純さを切望した。
人生には何もかもが一変する瞬間がある。目の錯覚を利用したトリックのように。最初はあるひとつの像が見えている。ところが、何かをほんの少し変えただけで、すべてががらりとかわってしまう。
「オッカムの剃刀」 その言葉と意味
『 偽りの銃弾/ハーラン・コーベン/田口俊樹+大谷瑠璃子訳/小学館文庫』
ハーラン・コーベンの 『偽りの銃弾』 を読みました。
推理小説を読む楽しさ、面白さを堪能しました。
ドンパチはありませんが、謎が、謎をもたらし、それをたどっていく。
少しずつ明らかにされていく真実、少し歩みの遅いところもあるような気もしますが、楽しませてくれるp574です。
死はいつだってすぐそばにある。息がかかるほどすぐ近くに。
このコーヒー片手のおしゃべりの集いと血まみれの戦場とが地球上の出来事であるという事実を。
古い習慣はなかなかなくならない。軍人はいつまでもどこまでも軍人なのだ。
もういい----マヤは自らに言い聞かせた----自分を責めるのはこれでおしまい。反省して学んだら、あとはまえに進むだけだ。
地球を半周し、いかれた敵と戦うために地獄のような場所へ赴く。.......
今にも自分の人生がばらばらに吹き飛ばされるとしたら、それは携行式ロケット弾や即席爆発装置、AKM自動小銃を手にした狂信者の仕業だと思っていた。
ところがそうではなかった。敵が襲ったのは----敵というのはしばしば予想外の行動に出る---彼女が夢にも思わなかった場所、懐かしの祖国アメリカだった。
人生は人を変える。若い頃はあれほどすさまじかった女性もいつしか鳴りをひそめる。時が彼女たちをおとなしくさせる。高校時代にいたあの爆竹みたいな女の子----あの子はどこへ行った? 男性の場合はそういうことはあまりない。そういう男の子はたいてい成長して世界の覇者になるものだ。が、大活躍していた女の子は? 彼女たちは社会の中でゆっくりと息の根を止められていくように見える。
アイリーンはあんなにも賢くて強くて要領がよかったのに----少なくともそう見えたのに----まちがった男と出会ってしまい、たったそれだけのことですべてが変わってしまったのだ。
恋愛関係はいずれ破綻する。それでも、美しい思い出は残りつづける。ずっとそうやって生きてきたのだ。
彼女たちには想像もつかないのだ。自分たちの世界と、マヤがいるような血なまぐさい世界が隣り合っているなどとは。自分たちが美術や工芸や課外活動や空手教室や発展学習プログラムのことを心配しているあいだに、隣の家族は死や恐怖と向き合っているなどとは。
マヤはまたオッカムの剃刀のことを思い、その単純さを切望した。
人生には何もかもが一変する瞬間がある。目の錯覚を利用したトリックのように。最初はあるひとつの像が見えている。ところが、何かをほんの少し変えただけで、すべてががらりとかわってしまう。
「オッカムの剃刀」 その言葉と意味
『 偽りの銃弾/ハーラン・コーベン/田口俊樹+大谷瑠璃子訳/小学館文庫』