ゆめ未来     

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東野圭吾 あなたが誰かを......

2024年03月04日 | もう一冊読んでみた
あなたが誰かを殺した 2024.3.4

『あなたが誰かを殺した』
週刊文春ミステリーベスト10 国内部門2位
このミステリーがすごい! 2024年版 国内編3位
このミステリーが読みたい! 2024年版 国内作品ランキング5位


有名な別荘地で、隣り合う4家族が集い、毎年恒例のバーベキューの食事会を開いた。
会が終わったその夜、参加者の別荘宅で次々に殺人事件が起こる。
犯行後、犯人は、その別荘地の有名なホテル『鶴屋ホテル』で、「鶴屋スペシャル・ディナー」と高級ワイン「シャトー・マルゴー」を注文する。
食事を堪能した後、犯人は「自分が犯人だ。今すぐ警察に連絡して、ここに駆けつけるよういってもらいた」と支配人に依頼する。
その後、犯人は完全黙秘したのだ。

数禍月後、遺族たちは再び現地に集まり、事件の検証会を開く。
その検証会に、長期休暇中の警視庁の刑事、加賀がある遺族の依頼で参加することになる。
加賀は、遺族の話から事件の真相を明らかにしていくのだが、後半のこの展開が、おおいに読ませるのです。面白いのです。

ぼくは、「鶴屋スペシャル・ディナー」には、何が出されたのか、その内容に興味が惹かれた。

 ルビーが死んだことを聞くと、彼女は訳知り顔でこういった。
 「それはきっと神様が■■ちゃんに与えた試練ね。知ってる? 神様は、その人が乗り越えられないような試練は与えないのよ。きっと■■ちゃんのこれからの人生にプラスになるよう与えてくださったの。そう思って乗り越えないとね」
 あまりにありきたりで陳腐な台詞に、■■はすぐには返事ができなかった。この人のように長く生きてきても、精神の成熟度はこの程度なのだなあ、と人間の愚かさを思い知らされた気分だった。ちっとも心のこもっていない言葉が人をどれほど傷つけるかもわかっていないのだ。
 この人なら殺しても構わないな、と思った。もう散々長生きしたわけだし。
 酒を飲みながら相変わらず中身のない会話を続けている大人たちを眺め、この中の誰が殺されるのだろうと考えた。


    『 あなたが誰かを殺した/東野圭吾/講談社 』


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