教室におけるマイ・ブームといえば、
「達彦さん萌え~っ!」
である。
外でもないNHK朝の連続小説、「純情きらり」の話である。福士誠治さん扮する松井達彦がカッコイイともっぱらの評判なのである。ドラマの目利き、火曜夜の淑女コンビからぼくの娘にいたるまで、評価は高い。ぼくはと言えば、劇団ひとりに一票入れ、さもなくば杉冬吾役の西島秀俊さんがよいと思っていたのだが、女心は分からない。
幾分峠を過ぎたきらいがあり、ここんとこ高視聴率から見放されていた朝連のなかでも、この「純情きらり」は文句なく面白いと思う。視聴率がどんなだか知らないが、もし低かったら
「信じられない」
と首を傾げるし、
「視聴率なんて当てにナラン」
と憤慨するしかない。
面白さのキーは、先ずジャズではなかろうか。随所に挿入されるジャズシーン、譬えワンフレーズであっても、いい音なのだ。アレンジが際立っている、というか、いかにもジャズっぽく、しかも分かりやすい形で演奏される。それがこのドラマのトーンにぴったりハマっている。
それと、ドラマのツボがきちんと押さえられている。起伏があるドラマで、伏線もよく効いているし、視聴者が期待する展開に程よく納まり、カタルシスがある。
ドラマのメリハリといえば、同じNHKの「チャングムの誓い」に譬えてみる(乱暴な話であるが…)。先ほど触れた、人気の高い達彦はミン・ジョンホではなかろうか。その伝でいけば、ハン・サングンに相当するのは、父、源一郎であり、姉、杏子であり、師となる西園寺公麿である。敵役を務めるチェ・サングン、ここがこのドラマの妙なのだが、に匹敵するのは、時に、姉、笛子であり、山長のおかみのかねさんであり、桜子を排斥しようとする音大生の少女であったりと、日替わりなのだ。ここが最大のポイントと思われる。また、今後、ヒロインにプレッシャーをかけ、ぼくたちをハラハラさせる最大の悪役は、戦争が迫りくる"時代"そのものであることにも要注意だ。それと、チャングムで息を抜けたのは、ドラマ成功の最大の功労者、カン・ドック夫妻であったと評価するのは僕だけではあるまい。このドラマにおいても、箸休めというか、狂言回しに徹してくれ、楽しませてせてくれるのが、叔母の磯であり、祖父、徳治郎(Good Job!)だと思う。
朝のドラマが暗いとまるでその一日の始まりが憂鬱になりがちだが、亡くなった母役の竹下景子さんのナレーションが柔らかく包み込んで癒してくれる。こんなホスピタリティが隠し味として効いている。
「達彦は韓流スターのダレソレに雰囲気が似てる…」
だとか、話題がつきないのだが、それらは詳しい方に譲るとして、明日のBSの一括再放送を録画するように娘から頼まれたことを果たすべく今夜は早仕舞いだ。