魚ヘンに「春」と書いて、サワラである。
的矢の隼人君が漁師として逞しく成長した証し、見事な釣果である。目の前が海という環境、家の船でちょいと一竿なんて羨ましい限り。
我が家の料理担当、アトピー娘の手を煩わさないという配慮から、清子ママがきちんと捌いてくれて、火にかけるばかりにしてくれてあった。
味噌マヨネーズのホイール焼き
箸を通すと白身も鮮やかに、もっこりほぐれる柔らかさ。やらわかいと表現したくなる。清楚で、上品な味わい。火の通し方が絶妙！ と、これは娘が自画自賛。ぼくも否定せず、釣って間もない新鮮やからと、心で呟いた。
ある日、志摩の匠として知られる錺（かざり）職人、中北幸久画伯から珍しいものをいただいた。
「当ててみ」。
さて、なんだ？
固い。イガほど尖ってないものの、手にした感触はイササカざらつく。果実とは思うが、はて…？ 、当てられなかった。
情けなくも、好奇心まる出しで答えを聞いてみた。
とげなし栗
だ、そうだ。
これ、栗ですか？
食べてみる気にはならないが、アピアランスは悪くない。さっそく、机に飾ってみた。
秋やなぁ
正直、整っているものよりも、多少障りというか圭角のあるものに惹かれる癖がある。真珠で言えばバロックか。南洋真珠のそれに魅力を覚えるが、もっともぼくには「豚に真珠」ということで…。
11月に入った。あの台風からというものめっきり秋めいて爽快だ。
