子どもの頃のみならず還暦を過ぎた今でも、「暴風警報」と聞くと心が躍る。まして昼台風となるとなおさらだ。学生なら学校へ行かなくていいし、現在のぼくなら、「開店休業」状態で、時間がたっぷり取れるのだから。
午後五時半過ぎ、ピタッと風の音が止み、静寂が訪れた。台風情報を調べると、まさに志摩半島を通過したようだ。カメラを取り出し通路に出ると、非日常の光景が現れた。光と影、まさに台風のウィンクだ。
カメラのデータのよると、6時5分。昨日の同時刻よりも明るく感じられた。台風の贈りもの? 何の脈絡もなく脳内で「ジェームズ・ボンドのテーマ」が鳴り響く。高校時代のお気に入りだったローランド・ショー楽団の演奏。軽い高揚感、場違い、心得ちがいではある。