午後7時過ぎ。いつもなら大晦日のこの時間帯は、エミルー・ハリスの歌声が室内を満たし、読みさしの本に決着をつけるべく机に向かうところである。自分なりの大切なしきたり、年越し儀式。でも、昨今は少し様子が違う。加齢のためかテンポが遅くなっていて、実はこれから掃除が始まるのだ。
今年は意義深い年であった。それも例によって注釈や能書きがいっぱい付く。自分なりに含むところが多くあってもまだまだ浅い。時に自分が分からない、ケッタイなひと。
ケルティック・ウーマンを聴いている。そして、今年読んだ村上春樹の本を整理している。写真には映ってないが、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が素晴らしい。さらに、「海辺のカフカ 」が面白かった。wさんという方がコメントで教えてくださった「スプートニクの恋人」も面白かった。
何気ない(ありそうで)、でも、そうありそうにもない(突拍子もない)村上ワールドは、読み重ねて行くうちに「腑に落ちないことではないな」という納得が生まれ、読者がその独特の小説的空間に参画して行けるようだ。ドキドキしながら、それがお定まりの結果になったとしても得心してしまう。で、飽きない。それどころか年齢を重ねて読み返すと、また異なるカタルシスに導かれる。たゆたう快感がある。
村上春樹氏とはさらにご縁があって、レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」の翻訳本まで買ってしまった。これは永久保存版だ。
掃除しなけりゃといいつつ、また、脱線。
日曜の朝市で、環境に優しい石鹸を販売している女性グループがある。手づくりだから、当然、肌にも優しい。エコロジーについて真摯に取り組み活動されている、Waライフの皆さんだ。メンバーのお一人が亡くなった旧友の忘れガタミということが分かったのが年末のこと。驚くと同時に不思議な力を感じた。
直截には「魔法のじゅうたん」さんのお力添えなのだが、その外にも複数のご縁のルートが張り巡らされていた。早晩出遭えていたであろうことは想像がつくものの、これっていったい何なのだ。彼女は新春2日にはインドに旅立つと言う。空中ブランコの途中で出くわしたような瞬間の再会で慌しい遭遇だったが、もしかしたら帰国後まで大きくずれ込んでたかも知れなかったのだ。