2時間ほどの上映時間、我を忘れてスクリーンに引き込まれてしまった。終ってもしばらく席を立てないほど、快い余韻に包まれた。ゲド戦記、ぼくは素晴らしいと思う。
姉姫様(★アカネのひとりごと2006★)からもらったコメントには、
『結構酷評を聞くので映画館検討中・・・。』
とあり、一瞬躊躇した。彼女の映画評は信頼でき、また半端ではない情報通でもある。果たして評判は正しいのか、
「確かめたろうじゃん!」
の気負いも半分ぐらいあった。
で、ブログや映画評を一切読まないことに決め、まったく先入観を抱かない真っ白な状態でこの映画に挑んだ。結果、これが良かったようだ。
- 冒頭から迫力のシーンの連続で息をつかせない
- 背景など密度の濃い描写と彩色に魅せられる
- ストーリーに破綻はなく、メッセージ性も充分伝わる
- 当初主人公アレンの行動に戸惑うものの次第に同化できる
- 少女テルーの純粋さに共感(歌が素晴らしい効果)し、一体化できる
- 悪役クモの見事な敵キャラぶり
- 終盤、ゲーム「トゥーム・レイダー」を操作しているゲーム感覚にも似た臨場感
- ハイタカとテナー、脇を固める人物の抑制の効いたサポートぶり
と、闇雲に数え上げたが、こんなところか。いや、まだあるかもしれない。もう一度観たくなっている。
とにかく、ファンタジーの世界に思い切り身を任せ、翻弄されることに快感を覚える2時間である。「ゲド戦記」のゲドとはハイタカのことであり、「アレン戦記」じゃないのは不思議だが、原作の第3巻を取り上げているということで納得すればよいし、原作を読んでみたいという気持ちも強くなる。逆に、本を読んでから映画を観たひとはどう思うのだろう。
よもや今までのジブリの系譜を引き摺ってこの映画を観る人はいないだろうが、猫バスは出ないことは確かだ。異なる系譜というより、フィルターを外し、独立した作品であるという意識が強い。というより、ジブリが進化しているという印象を強くした。各シーンの色調が渋めで、ダルだが、今まで以上にきめ細かい画風だと思う。「ゲド戦記」は子ども向けではない。大人向けの作品だと思う。ストーリーを追いきれない小学生などには苦しく、逆に絵だけを追う幼児には受けそうな気がする。確かに、ジブリはディズニーではない。久々にビターなチョコレートを味わった余韻がある。
今回、末っ子とぼくの誕生祝ということで、長男には、チケットから食事まで、すっかりゴチになった。その大散財させたスポンサーもご機嫌で、手放しでこの映画を褒めている。何よりである。
印象に残る誕生日プレゼントだった。
実は気になる映画でちょっと評判を確かめたところでした。
っで、確かに酷評多し・・・
けど、先生のコメントでまた「ぐぐっ」と来る私でした。
劇場には足を運べそうも無いので、DVDを待つ事にしましょうか・・・(@_@)。