日曜の朝、ルピシアのダージリンで眼を覚ます。マルコポーロ、ルピシアと、頂き物ばかりだが、こんなにお紅茶に恵まれてよいのだろうか。
就学前の記憶でもっとも鮮明なのは、丘の上に建つ瀟洒なあるお宅で美味しい紅茶をご馳走になったことだ。大人になってふり帰るに昭和20年代の終わり頃か。その頃だったら甘いものに目はなかっただろうが、渋みというか、鉄錆のようなというか、独特の味に記憶がある。連れて行ってくれた祖父に、
「口の中に変で、妙に美味しいのが残ってる…」
と、訴えたと言う。ずい分後になってその話を聞いたのだが、餓鬼にしては繊細だったと自慢したい。
そのお宅がどこだったか今となっては謎であり、また、万事和風好みの祖父にしては、ハイカラで、しゃれた洋風の友人もいたのだと不思議に思う。墓で尋ねることがまた一つ増えた。
ダージリンとは地名のことで、インド北部・ヒマラヤ山脈の麓の高原・山岳地帯を指す。その茶園の多くが標高1,000m以上の高地にあって、寒暖の差が大きく霧の多い気候、変化にとんだ地形や土壌が、上質なお茶の栽培に最適なんだそうだ。こんなところに別荘をもって、朝霧が薄れ行く光景に見とれ、それを愛でながら、茶を呑む、なんて芸当は到底無理だが、紅茶の産地とコーヒーの産地へは行ってみたいと思っている。
ウバという語感からは何か胡散臭さが漂うが、とんでもないことで、インドの東南に浮かぶ、「インド洋の真珠」とうたわれる美しいお茶の島、セイロンのお茶だ。現在の正式国名はスリランカである。
世界三大銘茶に数えられる、豊かなコクと爽やかな香りの高貴なお茶を産します。
と、セイロン・ウバの説明にある。ウバはリスペクトの念を持って、心していただこう。
それにしても、紅茶の缶って趣のあるものが多い。迂闊に捨てられないぞ。
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