先日、当教室は「タヒチカレー」の一件で盛り上がった。ひたすら汗をかいてくれたのは、お隣のヴェル・ヴァーグ・ヴィアンフェのシェフで、そもそもシェフの賄い料理である18番のカレーを多く作りすぎたことに端を発する。で、ぼくが生徒さんに呼びかけたところ、作り過ぎた50人分に対し、80人分のオーダーが入ってしまった。
「完売宣言」
を発してくれたらよかったのに、
「お友だちになった生徒さんにはお断りできない」
と、頑張ってくれたのだ。
シェフは2人分を600グラムとみて600円という価格設定にしてくれた。おそらく原価割れだろう。しかも、市販のレトルトカレーは一人分が200グラム強がいいとこだろうに、ずい分と奮発してくれた。
傍で見ていたので、シェフの仕事ぶりがよく分かる。味の決め手は大量に作ることとばかり(で、作り過ぎてどうするよ~)、煮立った大鍋にミキサーで絞ったばかりのパイナップル果汁をドバーッと放り込む姿は小気味よくカッコよかった。
このカレーの凄さは、フォンブランだ。具が何も入っていないように見えて、実は…。滑らかで、透き通った(実際は違う、言葉のあや)カレーだが、牛の臑肉やアバラの肉を炒めトロトロに煮詰めてあるから、エッセンスが凝縮されている。さらにそれを丹念に濾しているから、贅沢であり、奥行きのある深みを湛えている。甘さと辛さ、しかも激甘感と激辛感との振幅の激しさがさらにとんでもない世界にぼくらを導く。それでいて、微妙な繊細さが残り、分かるのだ。フレンチの洗練さというものを思い知る。シェフの思いと技が舌に通う。ぼくにはそんな余裕もなく、ただ食い尽くすのみだった、後から思えば。
昨日、上質の的矢牡蠣をいただいたので、シェフに届けた。そしたら、たちまち牡蠣フライになって戻ってきた。シェフのレストランでは、メニューに牡蠣フライはない。なのに、急遽、タルタルソースまでこしらえて添えてくれた。これって賄いの範囲? 出来映えは、衣がサクサクで、中はあくまでジューシー、頬っぺたがボトンと落ちた。的矢の牡蠣は凄い。この町に生まれてよかったと実感する。牡蠣の滋味がにじみ出て…、こんなフライ、これまで喰ったことのない感覚、それはしばし天国に遊ぶ気分だった。
あっ!メール届きましたか?
なんか失敗したような・・・
お誘いありがとうございます。しかし、「かき」はフライしかたべられない!
次回を夢見て・・・ひたすら待ちます。
それと、教えてコールをちかくいたしまする。
いやー、よく太った、美味しい牡蠣でしたね!
っで、「牡蠣フライの出来るまで」を実況中継(?)しときました(^_^)。