おかげさまで、熱も一日でさがり、平熱になった途端、家事に仕事に読書活動にはげんでおります。
最近「面白かった」という本に、出合えてなかったところ、久々に巡りあえました。
書店の戸棚から何気に引き抜いた一冊。
朝井 まかて「恋歌」こいうた、ではなく「れんか」2014年の直木賞受賞作です。 (Amazonより)
「恋歌」というセンチメンタルなタイトルは、ワタクシの読書の味からはちょっとはずれているけど、なぜか手に取りました。
本や音楽の出会いって、そういう「ふと」した偶然が、自分の世界を広げてくれるんですよね。
幕末から明治を生き抜いた実在の歌人 中島 歌子(樋口一葉の師匠)の半生を描いたストーリー。
前半は、歌子の恋物語。
商家の跡取り娘の甘やかな恋物語ですが、後半は一転して、幕末の水戸藩の政争に敗れた側の武士の妻子たちが投獄された牢内での凄惨な場面が続きます。
ワタクシは、とにかく血が出る場面が苦手で、血が出たり、痛い目に遭ったりするシーンは、目をつむってしまうチキンハートなんですが・・・・
今回は、そんなシーンでも、目をそらさず、一字一句しっかり読みました。
読みながら、涙・涙。
母の子を思う心、妻の夫を思う心。どんな境遇にあっても、誇りを失わず自分を律する妻女たちの心根の美しさに。そして待ち受ける運命に、涙・涙。
明治になってからの最終章に近づくと、もうひとつどんでん返しが待っています。
歌子が、自分なりの鎮魂の形を示すのですが、そこでもまた涙・涙。
憎しみは憎しみの連鎖しか生まないんだ、ということは、いつの時代にも通じることです。
一気に読ませる筆力のある、なるほど直木賞受賞作でした。おすすめです。
さっそく読書好きの後輩に「面白いから」と頼まれてもいないのに、渡しました。彼女も「面白かった」と言ってくれるといいな。
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