厚労省が新型コロナ検査を「この状況でも広げたくない」ウラの思惑
まだ「保健所の拒否」がまかり通る
厚生労働省は3月4日、新型コロナウイルスに感染したかどうかを調べるPCR検査に6日から、健康保険を適用する、と発表した。一見すると、従来に比べて、一歩前進のように見える。だが、実はそうでもなさそうだ。
【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い
PCR検査を受けたいのに、受けられない「検査難民」が続出しているのは、ご承知の通りだ。日本医師会は4日、医師が検査を求めたにもかかわらず、保健所の判断で断られたケースが3日時点で7道県医師会で30件に上った、と明らかにした。全国では、はるかに多いはずだ。
こうした事態が世間の強い批判を受けて、厚労省は遅まきながら、検査の保険適用に踏み切った。そもそも「医師が必要と判断したのに、保健所が拒否する」仕組みがまかり通っているのが、おかしい。
医師は対面で患者と向き合って診察しているのに、保健所は電話相談にすぎない。それで、どうして医師でもない保健所職員が患者の状態を適切に判断できるのか。常識で分かる話だろう。断られた患者や医師が憤慨するのは、当然だ。
そんな仕組みにしたのは、先週のコラムで指摘したように、そもそも厚労省と国立感染研究所(以下、感染研)が患者の治療よりも、疫学調査を優先したからだ(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70698)。彼らがデータを集めるためには、保健所や各地の地方衛生研究所を通したほうが都合が良かったのである。
それを裏付ける「証拠」もある。
感染研は3月2日、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について」という声明を発表した(https://www.niid.go.jp/niid/ja/others/9441-covid14-15.html)。北海道に派遣された感染研職員が「入院を要する肺炎患者に限定すべき」と発言し「検査をさせないようにしている」と一部で報道されたのを受けて、「それは事実誤認」と反論したのだ。
【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い
PCR検査を受けたいのに、受けられない「検査難民」が続出しているのは、ご承知の通りだ。日本医師会は4日、医師が検査を求めたにもかかわらず、保健所の判断で断られたケースが3日時点で7道県医師会で30件に上った、と明らかにした。全国では、はるかに多いはずだ。
こうした事態が世間の強い批判を受けて、厚労省は遅まきながら、検査の保険適用に踏み切った。そもそも「医師が必要と判断したのに、保健所が拒否する」仕組みがまかり通っているのが、おかしい。
医師は対面で患者と向き合って診察しているのに、保健所は電話相談にすぎない。それで、どうして医師でもない保健所職員が患者の状態を適切に判断できるのか。常識で分かる話だろう。断られた患者や医師が憤慨するのは、当然だ。
そんな仕組みにしたのは、先週のコラムで指摘したように、そもそも厚労省と国立感染研究所(以下、感染研)が患者の治療よりも、疫学調査を優先したからだ(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70698)。彼らがデータを集めるためには、保健所や各地の地方衛生研究所を通したほうが都合が良かったのである。
それを裏付ける「証拠」もある。
感染研は3月2日、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について」という声明を発表した(https://www.niid.go.jp/niid/ja/others/9441-covid14-15.html)。北海道に派遣された感染研職員が「入院を要する肺炎患者に限定すべき」と発言し「検査をさせないようにしている」と一部で報道されたのを受けて、「それは事実誤認」と反論したのだ。
そんなに検査を囲い込みたいのか
声明は「感染症が流行した際は、法律に基づき、積極的疫学調査が実施される」としたうえで「調査では、医療機関において感染の疑いがある患者さんへのPCR検査の実施の必要性について言及することは一切ありません」と強調した。
当該職員は「軽症の方(あるいは無症状)を対象とした検査については、積極的疫学調査の観点からは『PCR検査確定者の接触者であれば、軽症でも何らかの症状があれば(場合によっては無症状の方であっても)、PCR検査を行うことは必要である』と述べた。『一方、接触歴がなければ、PCR検査の優先順位は下がる』と述べた」という。
読みにくい文章だが、彼らがPCR検査を実施するのは、自分たちの疫学調査のためであるのはよく分かる。保健所や地方衛生研究所を通さずに、街のクリニックの依頼で民間検査機関がどんどん検査するようになったら、データ収集に支障をきたしかねない。だから、公的機関の世界で、全部のプロセスが完結するようにしたのである。
声明には、明らかな矛盾もある。一方で「医療機関で疑い患者へのPCR検査の必要性に言及することは一切ない」と言いながら、他方で、職員は「接触者なら検査は必要」とか「接触歴がなければ優先順位が下がる」と発言した、という。それなら、感染研職員は必要性に言及しているではないか。
だが、それはひとまず措こう。問題は「保健所を通さずに」PCR検査を受けられるようになったのかどうか、だ。
報道によれば「保健所を通さずに検査を受けられる」ようになった、という(たとえば、https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200305-OYT1T50015/)。だが、必ずしもそうとは言えない。なぜなら、検査を依頼するのは、全国860カ所の医療機関に設けられた「帰国者・接触者外来」の医師に限られているからだ。
当該職員は「軽症の方(あるいは無症状)を対象とした検査については、積極的疫学調査の観点からは『PCR検査確定者の接触者であれば、軽症でも何らかの症状があれば(場合によっては無症状の方であっても)、PCR検査を行うことは必要である』と述べた。『一方、接触歴がなければ、PCR検査の優先順位は下がる』と述べた」という。
読みにくい文章だが、彼らがPCR検査を実施するのは、自分たちの疫学調査のためであるのはよく分かる。保健所や地方衛生研究所を通さずに、街のクリニックの依頼で民間検査機関がどんどん検査するようになったら、データ収集に支障をきたしかねない。だから、公的機関の世界で、全部のプロセスが完結するようにしたのである。
声明には、明らかな矛盾もある。一方で「医療機関で疑い患者へのPCR検査の必要性に言及することは一切ない」と言いながら、他方で、職員は「接触者なら検査は必要」とか「接触歴がなければ優先順位が下がる」と発言した、という。それなら、感染研職員は必要性に言及しているではないか。
だが、それはひとまず措こう。問題は「保健所を通さずに」PCR検査を受けられるようになったのかどうか、だ。
報道によれば「保健所を通さずに検査を受けられる」ようになった、という(たとえば、https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200305-OYT1T50015/)。だが、必ずしもそうとは言えない。なぜなら、検査を依頼するのは、全国860カ所の医療機関に設けられた「帰国者・接触者外来」の医師に限られているからだ。
国民の誤解を狙っているのか?
発熱があって感染を心配する患者は帰国者・接触者外来を訪れて、医師の診断を受ける必要がある。ところが、肝心の外来がどこにあるかは、一般に公開されていない。所在や電話番号を知るには、保健所の帰国者・接触者相談センターに電話して、教えてもらうしかないのである。
患者はまず保健所のセンターに相談して、帰国者・接触者外来の電話番号を教えてもらい、診察を予約する。そこで、医師が「検査しましょう」と判断して初めて、PCR検査を受けられる仕組みだ。それでは「保健所を通さずに」という話にならない。最初に保健所のセンターに相談しないことには、プロセスがそれ以上、前に進まないからだ。
そもそも、検査の可否を決めるのが860カ所の外来に限られているのも問題だ。これでは事実上、ほとんどの街のクリニックや診療所は手が出せない。今回の対応はどうも、そういう仕組みである「ようだ」。
ようだ、と書いたのは、以上の点を厚労省のホームページで確かめようにも、文書がなく確認できなかったからだ。検索すると「PCR検査の保険適用について、記者ブリーフィングを実施します」という連絡メモ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09971.html)は見つかったが、肝心の政策説明文書は3月5日12時時点でアップされていない(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09964.html、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html など)。
国会でも問題になった重要案件を説明する文書をアップしないとは、厚労省はどういうつもりなのか。まったく信じられない対応である。邪推すれば、国民が「保健所を通さずに検査を受けられるようになった。ああ良かった!」と誤解するように仕向けているか、に見える。
政府の規制改革に関わる委員として、厚労省の姿勢を目の当たりにしてきた私の経験で言えば、厚労省は「悪知恵に長けた役所」である。一見、前進させたように見えても、肝心な部分では絶対に降りない。今回で言えば、保険適用では折れたが「保健所を通す」ことや「医療機関を限定する」点では、一切妥協していないのである。
患者はまず保健所のセンターに相談して、帰国者・接触者外来の電話番号を教えてもらい、診察を予約する。そこで、医師が「検査しましょう」と判断して初めて、PCR検査を受けられる仕組みだ。それでは「保健所を通さずに」という話にならない。最初に保健所のセンターに相談しないことには、プロセスがそれ以上、前に進まないからだ。
そもそも、検査の可否を決めるのが860カ所の外来に限られているのも問題だ。これでは事実上、ほとんどの街のクリニックや診療所は手が出せない。今回の対応はどうも、そういう仕組みである「ようだ」。
ようだ、と書いたのは、以上の点を厚労省のホームページで確かめようにも、文書がなく確認できなかったからだ。検索すると「PCR検査の保険適用について、記者ブリーフィングを実施します」という連絡メモ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09971.html)は見つかったが、肝心の政策説明文書は3月5日12時時点でアップされていない(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09964.html、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html など)。
国会でも問題になった重要案件を説明する文書をアップしないとは、厚労省はどういうつもりなのか。まったく信じられない対応である。邪推すれば、国民が「保健所を通さずに検査を受けられるようになった。ああ良かった!」と誤解するように仕向けているか、に見える。
政府の規制改革に関わる委員として、厚労省の姿勢を目の当たりにしてきた私の経験で言えば、厚労省は「悪知恵に長けた役所」である。一見、前進させたように見えても、肝心な部分では絶対に降りない。今回で言えば、保険適用では折れたが「保健所を通す」ことや「医療機関を限定する」点では、一切妥協していないのである。
患者が病院に行くのは止められない
それは、なぜか。最大の理由は先述したように、データを集めるためだろう。
なぜ、帰国者・接触者外来を一般に公開しないのか。厚労省に言わせれば「公開したら、患者が押し寄せて医療が崩壊しかねない」という理由である。それは一理あるかもしれない。それでも、発熱患者がクリニックか病院に行こうとするのは止められない。
いくら厚労省が「保健所の相談センターに電話して」と宣伝しても、わざわざ電話番号を調べて電話する人が、どれほどいるか。患者本位で考えれば、まずは近くのクリニック、かかりつけ医を頼りにするのは当然だ。
ただし、厚労省は「一般にはマル秘の帰国者・接触者外来」で事が足りるかどうか、について、自分でも自信がないようだ。それは、3月1日付の「患者が増加した場合の対策移行について」という事務連絡文書にうかがえる(https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf)。
そこには「地域の感染拡大で受け入れ患者が増大した場合」にどう対応するか、次のように記されている。
1. 地域の感染状況や医療需要に応じて帰国者・接触者外来を増設し、帰国者・接触者相談センターの体制を強化した上で、今の枠組みのまま、外来を早急に受診できる体制とする。その際、同センターは柔軟に帰国者・接触者外来へ患者をつなげる。
2. 原則として、一般の医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行うこととする。新型コロナウイルスへの感染を疑う方は、受診する医療機関に事前に電話連絡を行うよう周知し、電話を受けた医療機関は、受診時刻や入口等の調整(時間的・空間的な感染予防策)を行った上で、患者の受入れを行う。
つまり、帰国者・接触者外来がパンクしたら、仕方ないから「一般の医療機関でも受け入れざるを得ない」と覚悟しているのだ。私は、そうなる可能性が高い、とみる。そうなったら、どうすべきなのか。
厚労省は、クリニックや診療所の感染対策に全力で取り組むべきだ。医療用マスクや防護衣、ゴーグルなどを整えるのはもちろん、クリニックの入り口に、事情に応じて、大きく患者向けの注意事項を掲示するくらいは当然である。
なぜ、帰国者・接触者外来を一般に公開しないのか。厚労省に言わせれば「公開したら、患者が押し寄せて医療が崩壊しかねない」という理由である。それは一理あるかもしれない。それでも、発熱患者がクリニックか病院に行こうとするのは止められない。
いくら厚労省が「保健所の相談センターに電話して」と宣伝しても、わざわざ電話番号を調べて電話する人が、どれほどいるか。患者本位で考えれば、まずは近くのクリニック、かかりつけ医を頼りにするのは当然だ。
ただし、厚労省は「一般にはマル秘の帰国者・接触者外来」で事が足りるかどうか、について、自分でも自信がないようだ。それは、3月1日付の「患者が増加した場合の対策移行について」という事務連絡文書にうかがえる(https://www.mhlw.go.jp/content/000601816.pdf)。
そこには「地域の感染拡大で受け入れ患者が増大した場合」にどう対応するか、次のように記されている。
1. 地域の感染状況や医療需要に応じて帰国者・接触者外来を増設し、帰国者・接触者相談センターの体制を強化した上で、今の枠組みのまま、外来を早急に受診できる体制とする。その際、同センターは柔軟に帰国者・接触者外来へ患者をつなげる。
2. 原則として、一般の医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行うこととする。新型コロナウイルスへの感染を疑う方は、受診する医療機関に事前に電話連絡を行うよう周知し、電話を受けた医療機関は、受診時刻や入口等の調整(時間的・空間的な感染予防策)を行った上で、患者の受入れを行う。
つまり、帰国者・接触者外来がパンクしたら、仕方ないから「一般の医療機関でも受け入れざるを得ない」と覚悟しているのだ。私は、そうなる可能性が高い、とみる。そうなったら、どうすべきなのか。
厚労省は、クリニックや診療所の感染対策に全力で取り組むべきだ。医療用マスクや防護衣、ゴーグルなどを整えるのはもちろん、クリニックの入り口に、事情に応じて、大きく患者向けの注意事項を掲示するくらいは当然である。
感染疑いの定義」がナンセンス
もう1点。どんな患者が検査を受けられるのか、と言えば、厚労省は「感染疑いのある患者」に対象を絞っている。そんな患者の定義について、厚労省は2月27日付の自治体・医療機関向けの事務連絡文書の添付資料で、次のように書いている(https://www.mhlw.go.jp/content/000601671.pdf)。
(問2)疑似症の定義を教えてください。
(答)現時点では疑い例とは、患者が次のア、イ、ウ又はエに該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、新型コロナウイルス感染症を疑う場合をいいます。ただし、必ずしも次の要件に限定されるものではありません。
ア、発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む)を呈する者であって、新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの
イ、37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域とは中華人民共和国湖北省及び浙江省をいう)に渡航又は居住していたもの
ウ、37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域とは中華人民共和国湖北省及び浙江省をいう)に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの
エ、発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの
もはや、ア、イ、ウが示すような中国帰国者との接触うんぬんを言っている場合ではないのは、明白だ。自分がどうして感染したか分からない人はたくさんいる。そうだとすると、エの条件が焦点になる。ここで「集中治療」とあるように、対象は重症患者なのだ。軽い人は検査の対象にならない。
ようするに、ちょっと発熱が続いた程度では、PCR検査にたどり着くのは、相変わらず容易ではないのである。「PCR検査をして、入院など面倒を見るのは重症患者だけ」と理解しても、そう間違いではない。読者は万が一の場合、自宅で休む態勢を整えたほうがよさそうだ。
(問2)疑似症の定義を教えてください。
(答)現時点では疑い例とは、患者が次のア、イ、ウ又はエに該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、新型コロナウイルス感染症を疑う場合をいいます。ただし、必ずしも次の要件に限定されるものではありません。
ア、発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む)を呈する者であって、新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの
イ、37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域とは中華人民共和国湖北省及び浙江省をいう)に渡航又は居住していたもの
ウ、37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域(新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域とは中華人民共和国湖北省及び浙江省をいう)に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの
エ、発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの
もはや、ア、イ、ウが示すような中国帰国者との接触うんぬんを言っている場合ではないのは、明白だ。自分がどうして感染したか分からない人はたくさんいる。そうだとすると、エの条件が焦点になる。ここで「集中治療」とあるように、対象は重症患者なのだ。軽い人は検査の対象にならない。
ようするに、ちょっと発熱が続いた程度では、PCR検査にたどり着くのは、相変わらず容易ではないのである。「PCR検査をして、入院など面倒を見るのは重症患者だけ」と理解しても、そう間違いではない。読者は万が一の場合、自宅で休む態勢を整えたほうがよさそうだ。