五輪強行」のほうが経済的損失が大きい、3つの理由
共同通信社の世論調査で東京五輪が予定通り開催できないと回答した人が69.9%にのぼったことが示すように、日本中で「五輪は延期または中止」ムードが高まっている。
【画像】東京スカイツリーに表示された「TOKYO 2020」
その一方で、日本政府、東京都、大会組織委員会、代表選手という「関係者」でもないのに、「五輪は何がなんでも開催すべきだ!」と主張をされている方たちもかなり存在している。
なぜここまで必死になってしまうのかというと、アスリートファーストだから……というわけではなく、中国マネーに媚(こび)を売るWHOのテドロス事務局長と同じく「カネの論理」に思考が引きずられている部分が大きい。
SMBC日興証券によると、もしTOKYO2020をやらないと、大会運営費に加え、観戦客の食事やグッズ購入など6700億円の損失が生じるほか、国内の消費の落ち込みや中国との貿易の減少などの影響と合わせると、7兆8000億円もの経済損失になるらしい。
要は、日本が大損こいてしまうので、これを避けるためには多少の犠牲を払ってでも開催しなければならぬ、という考えに基づいて「五輪強行」を主張しているのだ。
ただ、個人的には「カネ」のことが心配だという人こそ、「五輪中止」を唱えるべきではないかと思う。いまの世界情勢の中では五輪を強行するほうが、五輪が中止や延期になった際の経済損失より、はるかに大きくなりそうだからだ。ポイントは以下の3つである。
(1)「マスギャザリング」で感染が広まり経済活動もマイナスになる恐れ
(2)感染症対策+熱中症対策+外国人対応で医療がパンク
(3)欧米豪、ASEANの観光客が離れて、インバウンドの「中国・韓国依存」がさらに強まる 非常に迷惑なイベント
まず、(1)の「『マスギャザリング』で感染が広まり経済活動もマイナスになる恐れ」は説明の必要はないだろう。感染症というのは一定期間、限定された地域に大勢が集まる「マスギャザリング」と呼ばれる状況で拡大しやすい。その典型例として挙げられるのが、イスラム教におけるメッカの巡礼や、五輪である。
わっと集まって感染してそれぞれの国や地域に戻って感染を拡大していく。要するに、今の世界状況の中では、TOKYO2020は、せっかく終息しかけたウイルスを、再び世界に広げてしまう恐れがある、「非常に迷惑なイベント」なのだ。
もしそのようなことになってしまえば、国際社会からのブーイングは、ダイヤモンドプリンセス号のときの比ではない。どんなに日本側が「うちはちゃんとやっていた」と主張しても参加国から感染者が出れば、自国民の不満をそらすため、露骨な日本バッシングを始める国も出てくるかもしれない。そうなれば、再び日本への渡航制限が始まって、貿易などの経済活動にもブレーキがかかってしまうだろう。
と言うと、「いやいや、夏にはインフルエンザのように終息しているから大丈夫だ」と言う人がいるが、WHOはそのような保証はどこにもないと述べている。しかも、仮にそうだとしても北半球の話で、これから冬になる南半球で感染が拡大していくのではないかという専門家も多いのだ。
ご存じのように、このウイルスは潜伏期間が長いためサーモグラフィーによる水際対策などはほとんど意味をなさない。ということは、200を超える国と地域から人を招く五輪を開催する限り、新型コロナウイルスの日本流入を防ぐ手立てはないということなのだ。
わっと集まって感染してそれぞれの国や地域に戻って感染を拡大していく。要するに、今の世界状況の中では、TOKYO2020は、せっかく終息しかけたウイルスを、再び世界に広げてしまう恐れがある、「非常に迷惑なイベント」なのだ。
もしそのようなことになってしまえば、国際社会からのブーイングは、ダイヤモンドプリンセス号のときの比ではない。どんなに日本側が「うちはちゃんとやっていた」と主張しても参加国から感染者が出れば、自国民の不満をそらすため、露骨な日本バッシングを始める国も出てくるかもしれない。そうなれば、再び日本への渡航制限が始まって、貿易などの経済活動にもブレーキがかかってしまうだろう。
と言うと、「いやいや、夏にはインフルエンザのように終息しているから大丈夫だ」と言う人がいるが、WHOはそのような保証はどこにもないと述べている。しかも、仮にそうだとしても北半球の話で、これから冬になる南半球で感染が拡大していくのではないかという専門家も多いのだ。
ご存じのように、このウイルスは潜伏期間が長いためサーモグラフィーによる水際対策などはほとんど意味をなさない。ということは、200を超える国と地域から人を招く五輪を開催する限り、新型コロナウイルスの日本流入を防ぐ手立てはないということなのだ。
感染症対策をガタガタに
このような直接的な経済的ダメージに加えて、簡単にカネではじき出すことのない損失も生まれる。それが(2)の「感染症対策+熱中症対策+外国人対応で医療がパンク」だ。
治療法が確立されるなど状況が改善しない中で五輪を強行してしまうと、現場の人たちのがんばりで辛うじて維持されている医療インフラがガタガタに崩壊してしまう恐れがある。その甚大な被害はプライスレスというか、お金で換算できるようなものではないほど深刻なのだ。
なぜガタガタになるのか。ここ最近のパニック続きで忘れている人も多いだろうが、実はTOKYO2020には、新型コロナだけではない深刻な医療リスクが指摘されていた。真夏の炎天下の中で、競技をする人たちや、観戦をする人たちがバタバタと倒れていく「熱中症リスク」だ。
つまり、この大会期間中、医療関係者は世界中から集まってくる人々が熱中症になることの対応をしなくてはいけないだけでなく、発熱した人のPCR検査や隔離という感染症対策までしなくてはいけないということなのだ。
TOKYO2020で想定していた医療体制は完全にパンクするだろう。そうなると、1300万都民が受けている医療にも大きな影響が出てくることは容易に想像できる。
「そんな根も葉もないデタラメを言うな! 東京都はすごい金をかけて熱中症対策をしているので、そんなパニックになることはない」と主張される方もいるが、例の傘のようなヘンテコな帽子をつくったり、打ち水がいいとか言い出しているように、東京の「熱中症対策」はかなり怪しい。
例えば、道路を涼しくするという触れ込みで、莫大な税金が投入された「遮熱性舗装」については、2019年8月30日の日本スポーツ健康科学学会で、東京農業大の樫村修生教授がこの道路の上を走っている人間が体感する温度が、普通のアスファルト道路よりも高くなったという研究を発表されている。
熱中症対策のハイテク技術と組織委員会が胸を張るミストシャワーも同様で、昨年7月下旬、お台場のビーチバレーボール大会の会場でテストが行われたが、そこで計測された暑さ指数は、環境省が「全ての生活活動で熱中症になる危険」とする28度を大きく超えた31.1度だった。
治療法が確立されるなど状況が改善しない中で五輪を強行してしまうと、現場の人たちのがんばりで辛うじて維持されている医療インフラがガタガタに崩壊してしまう恐れがある。その甚大な被害はプライスレスというか、お金で換算できるようなものではないほど深刻なのだ。
なぜガタガタになるのか。ここ最近のパニック続きで忘れている人も多いだろうが、実はTOKYO2020には、新型コロナだけではない深刻な医療リスクが指摘されていた。真夏の炎天下の中で、競技をする人たちや、観戦をする人たちがバタバタと倒れていく「熱中症リスク」だ。
つまり、この大会期間中、医療関係者は世界中から集まってくる人々が熱中症になることの対応をしなくてはいけないだけでなく、発熱した人のPCR検査や隔離という感染症対策までしなくてはいけないということなのだ。
TOKYO2020で想定していた医療体制は完全にパンクするだろう。そうなると、1300万都民が受けている医療にも大きな影響が出てくることは容易に想像できる。
「そんな根も葉もないデタラメを言うな! 東京都はすごい金をかけて熱中症対策をしているので、そんなパニックになることはない」と主張される方もいるが、例の傘のようなヘンテコな帽子をつくったり、打ち水がいいとか言い出しているように、東京の「熱中症対策」はかなり怪しい。
例えば、道路を涼しくするという触れ込みで、莫大な税金が投入された「遮熱性舗装」については、2019年8月30日の日本スポーツ健康科学学会で、東京農業大の樫村修生教授がこの道路の上を走っている人間が体感する温度が、普通のアスファルト道路よりも高くなったという研究を発表されている。
熱中症対策のハイテク技術と組織委員会が胸を張るミストシャワーも同様で、昨年7月下旬、お台場のビーチバレーボール大会の会場でテストが行われたが、そこで計測された暑さ指数は、環境省が「全ての生活活動で熱中症になる危険」とする28度を大きく超えた31.1度だった。
中国・韓国依存」が強い
真夏の五輪にある程度の「犠牲者」がつきものだということは過去の大会でも証明されている。2008年8月に開催された北京五輪でも、夜8時の開会式で570人が熱中症で病院に担ぎ込まれている。
TOKYO2020も例外ではなく、熱中症でかなりの人々が医療を受ける前提に加えて、今の情勢で開催に踏み切ることは、感染拡大にも備えてなくてはいけない。予防や啓発も含めて外国人観光客に対してかなり手厚いケアもしなくてはいけないだろう。
そうなれば、そのための人件費、対策費用、実際にかかる医療コストも莫大に膨れ上がる。「五輪開催をすればチケット代や宿泊代、グッズ代でウハウハだ!」と無邪気に喜んでばかりもいられないと筆者が考えるのは、これが理由だ。
さらに、TOKYO2020による経済的損失は、大会が終わった後もズルズルと尾を引く可能性もある。それが(3)の「欧米豪、ASEANの観光客が離れて、インバウンドの『中国・韓国依存』がさらに強まる」である。
ご存じの方も多いかもしれないが、実は日本のインバウンドがあまりおいしくないのは、「中国・韓国依存」が強すぎることがある。フランスやタイなど観光立国に成功している国は、さまざまな国や地域から観光客が訪れる。その中には、リゾートでバカンスをする国や、豪遊が好きな国もあるので、長く滞在してそれなりにカネを落とす。ゆえに、観光収入もそれなりに高い。観光は稼げる産業になるのだ。
しかし、日本の外国人観光客は極端に中国・韓国が多い。このような周辺国からの観光客は、2泊3日などの短期旅行も多く、東京の人が箱根に行くようなノリで手軽に行けるので、そこまで贅沢(ぜいたく)をしない。ドラックストアや家電量販店でのショッピングなど普段の生活のような庶民的な観光に走りがちなのだ。
また、この2カ国からの団体客にホテルや観光業がドップリと依存するので、歴史問題や外交で対立をすると、すぐに「観光地が閑古鳥」なんて感じでダメージを受けてしまう。さらに依存の強い観光地では、中国・韓国マネーなくしてまわらない「観光植民地化」も進行してしまう。
そこで日本としては現在、欧米豪、そして経済成長著しいASEAN諸国からの観光客を増やして、観光収入もアップさせようとがんばってきたのだ。要するに、もはや「観光」が経済の大きな柱となっている日本にとって、過度な中国・韓国依存から脱け出して世界を相手にしなくてはいけないということである。
TOKYO2020も例外ではなく、熱中症でかなりの人々が医療を受ける前提に加えて、今の情勢で開催に踏み切ることは、感染拡大にも備えてなくてはいけない。予防や啓発も含めて外国人観光客に対してかなり手厚いケアもしなくてはいけないだろう。
そうなれば、そのための人件費、対策費用、実際にかかる医療コストも莫大に膨れ上がる。「五輪開催をすればチケット代や宿泊代、グッズ代でウハウハだ!」と無邪気に喜んでばかりもいられないと筆者が考えるのは、これが理由だ。
さらに、TOKYO2020による経済的損失は、大会が終わった後もズルズルと尾を引く可能性もある。それが(3)の「欧米豪、ASEANの観光客が離れて、インバウンドの『中国・韓国依存』がさらに強まる」である。
ご存じの方も多いかもしれないが、実は日本のインバウンドがあまりおいしくないのは、「中国・韓国依存」が強すぎることがある。フランスやタイなど観光立国に成功している国は、さまざまな国や地域から観光客が訪れる。その中には、リゾートでバカンスをする国や、豪遊が好きな国もあるので、長く滞在してそれなりにカネを落とす。ゆえに、観光収入もそれなりに高い。観光は稼げる産業になるのだ。
しかし、日本の外国人観光客は極端に中国・韓国が多い。このような周辺国からの観光客は、2泊3日などの短期旅行も多く、東京の人が箱根に行くようなノリで手軽に行けるので、そこまで贅沢(ぜいたく)をしない。ドラックストアや家電量販店でのショッピングなど普段の生活のような庶民的な観光に走りがちなのだ。
また、この2カ国からの団体客にホテルや観光業がドップリと依存するので、歴史問題や外交で対立をすると、すぐに「観光地が閑古鳥」なんて感じでダメージを受けてしまう。さらに依存の強い観光地では、中国・韓国マネーなくしてまわらない「観光植民地化」も進行してしまう。
そこで日本としては現在、欧米豪、そして経済成長著しいASEAN諸国からの観光客を増やして、観光収入もアップさせようとがんばってきたのだ。要するに、もはや「観光」が経済の大きな柱となっている日本にとって、過度な中国・韓国依存から脱け出して世界を相手にしなくてはいけないということである。
インバウンドバブルの実態
そう聞くと、「そのためにも世界の人々が楽しみにしている五輪を開催することが必要なのだ!」と考える人もいるかもしれないが、「五輪開催」にはそこまでの効果を求めるのは「過大評価」だ。
日本人は1964年の東京五輪のせいでこのスポーツイベントを、全世界の人々を熱狂させる夢の祭典のようなイメージを持っているが、実はそういう感覚は日本を含めて数えるほどしかない。アメリカからすれば、バスケ、アメフト、メジャーリーグ、アイスホッケーがやっていないオフシーズンに放映されているスポーツ大会くらいの位置付けだし、ほとんどの国では「へえ、オリンピックって今年だったんだね」くらいの認識のイベントなのだ。
例えば、昨年10月、日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通社に公表した「DBJ・JTFB アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2019年度版)」という世界の12地域、6000人を対象とした調査がある。それによれば、アメリカで東京2020を「知っている」と回答したのはわずか34%、オーストラリア(38%)、イギリス(39%)、フランス(40%)と欧米豪では3~4割の人しか関心がないスポーツ大会なのだ。
この傾向はASEAN諸国でも同様で、タイは22%、シンガポール17%、マレーシア16%、インドネシア21%と欧米豪よりもTOKYO2020の認知度が低い。
もちろん、日本並に関心を持ってくれているありがたい国もある。75%という驚くべき割合が「知っている」と回答した中国、そして台湾(66%)、香港(55%)、韓国(49%)である。これらだけで訪日外国人観光客の7割を占める。つまり、日本の”インバウンドバブル”を支えてくれている人々でもあるのだ。
もう何を言わんかお分かりだろう。残念ながら世界ではTOKYO2020にそこまで思い入れはない。このイベントに関心が高いのは「日本経済の起爆剤に!」と叫ぶ我々と周辺国だけなのである。では、世界がそこまで思い入れのない五輪を、新型コロナの感染リスクがくすぶるこのタイミングで強行した場合、日本という国は、ヨーロッパ、アメリカ、ASEAN、そしてこれから感染が広がる恐れがある南半球の国の人々の目にどう映るだろうか。
「おお! さすが日本だ! ますますファンになったぜ!」なんてリアクションをする外国人は少なく、「へえ、これだけ世界中で流行している中で、スポーツイベントをゴリ押しするなんて日本って国は変わってるな」と冷ややかに見る国が圧倒的に多いだろう。
日本人は1964年の東京五輪のせいでこのスポーツイベントを、全世界の人々を熱狂させる夢の祭典のようなイメージを持っているが、実はそういう感覚は日本を含めて数えるほどしかない。アメリカからすれば、バスケ、アメフト、メジャーリーグ、アイスホッケーがやっていないオフシーズンに放映されているスポーツ大会くらいの位置付けだし、ほとんどの国では「へえ、オリンピックって今年だったんだね」くらいの認識のイベントなのだ。
例えば、昨年10月、日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通社に公表した「DBJ・JTFB アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2019年度版)」という世界の12地域、6000人を対象とした調査がある。それによれば、アメリカで東京2020を「知っている」と回答したのはわずか34%、オーストラリア(38%)、イギリス(39%)、フランス(40%)と欧米豪では3~4割の人しか関心がないスポーツ大会なのだ。
この傾向はASEAN諸国でも同様で、タイは22%、シンガポール17%、マレーシア16%、インドネシア21%と欧米豪よりもTOKYO2020の認知度が低い。
もちろん、日本並に関心を持ってくれているありがたい国もある。75%という驚くべき割合が「知っている」と回答した中国、そして台湾(66%)、香港(55%)、韓国(49%)である。これらだけで訪日外国人観光客の7割を占める。つまり、日本の”インバウンドバブル”を支えてくれている人々でもあるのだ。
もう何を言わんかお分かりだろう。残念ながら世界ではTOKYO2020にそこまで思い入れはない。このイベントに関心が高いのは「日本経済の起爆剤に!」と叫ぶ我々と周辺国だけなのである。では、世界がそこまで思い入れのない五輪を、新型コロナの感染リスクがくすぶるこのタイミングで強行した場合、日本という国は、ヨーロッパ、アメリカ、ASEAN、そしてこれから感染が広がる恐れがある南半球の国の人々の目にどう映るだろうか。
「おお! さすが日本だ! ますますファンになったぜ!」なんてリアクションをする外国人は少なく、「へえ、これだけ世界中で流行している中で、スポーツイベントをゴリ押しするなんて日本って国は変わってるな」と冷ややかに見る国が圧倒的に多いだろう。
日本に悪い印象
冷静に考えれば当然だ。多くの国ではほんの2~3カ月前まで非常事態宣言やらで苦しめられていた。そんな中で、自国の利益のためとはいえ、またしても感染拡大の恐れのあるイベントを開く国に好感を抱くわけがない。ましてや、五輪をやるということは、感染が発生したと言われる中国からの選手や観光客もわっと日本に集うことでもある。これを海外の人々がみな問題なく受け入れるとは思えない。下手すれば、「ウイルスをバラまいているのはアジア人」という人種差別を助長するかもしれないほどの悪手なのだ。
みなさんがこの夏休み、中国人の友人から「武漢でバカンスを楽しもう」と誘われてどう感じるのかというのと一緒だ。大丈夫だという人もいるが、「冗談じゃない」という人もいる。その議論が割れているうちは、「平和の祭典」とかフワっとしたスローガンで押し切るべきような問題ではない気がしている。
では、具体的にどうすればいいのか。個人的には、早々に五輪を中止して損失もかぶることを条件に、アメリカやIOC、WHOと話をつけ、日本主導で「新型コロナ撲滅の記念イベント」を開催する方向へ持っていったほうがいいのではないかと考えている。
今回のウイルスは過去の感染症と比べてそれほど人間は殺していないが、人間の醜さを残酷なまでに浮かび上がらせている。国や民族を断絶して、人種差別、デマ、買い占めなど人間をエゴに走らせた。そういう意味では、人類に与えたダメージは深刻である。
だからこそ、ウイルスを完全に制圧できたときに、国際社会でもう一度改めてこの戦いに勝利をしたことを確認するようなイベントが必要なのではないか。もちろん、そこでスポーツをやってもいいが、世界中でさまざまなエンタメも自粛をしている。
みなさんがこの夏休み、中国人の友人から「武漢でバカンスを楽しもう」と誘われてどう感じるのかというのと一緒だ。大丈夫だという人もいるが、「冗談じゃない」という人もいる。その議論が割れているうちは、「平和の祭典」とかフワっとしたスローガンで押し切るべきような問題ではない気がしている。
では、具体的にどうすればいいのか。個人的には、早々に五輪を中止して損失もかぶることを条件に、アメリカやIOC、WHOと話をつけ、日本主導で「新型コロナ撲滅の記念イベント」を開催する方向へ持っていったほうがいいのではないかと考えている。
今回のウイルスは過去の感染症と比べてそれほど人間は殺していないが、人間の醜さを残酷なまでに浮かび上がらせている。国や民族を断絶して、人種差別、デマ、買い占めなど人間をエゴに走らせた。そういう意味では、人類に与えたダメージは深刻である。
だからこそ、ウイルスを完全に制圧できたときに、国際社会でもう一度改めてこの戦いに勝利をしたことを確認するようなイベントが必要なのではないか。もちろん、そこでスポーツをやってもいいが、世界中でさまざまなエンタメも自粛をしている。
思い切ったことを
TOKYO2020のためにつくった新国立競技場や選手村などをうまく活用して、そのような世界中のエンタメイベントを日本に招く。今回の騒動で得た知見を各国で交換するような学術会議やシンポジウムを開いたっていい。これならば五輪中止で消し飛んだ損失も穴埋めできるし、日本のインバウンドにとっても大きなメリットになる。
スポーツで平和を実現するのも結構だが、「人類共通の敵」の封じ込めによって平和を実現するという方向もアリなのではないか。西村康稔経済再生相は、経済対策として「前例にとらわれることなく、相当思い切ったことをやらないといけない」と述べている。ぜひこれくらい思い切ったことをやっていただきたい。
スポーツで平和を実現するのも結構だが、「人類共通の敵」の封じ込めによって平和を実現するという方向もアリなのではないか。西村康稔経済再生相は、経済対策として「前例にとらわれることなく、相当思い切ったことをやらないといけない」と述べている。ぜひこれくらい思い切ったことをやっていただきたい。