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「一人だと短命になる男、一人だと長生きする女」年金すら受け取れない独身男性の虚しい人生

2022年05月08日 23時01分27秒 | 女と男のこと




■結婚しているか、していないかで寿命が変わる  

日本は間もなく「多死社会」に突入します。死亡者年間150万人以上が50年以上も継続する見込みです。150万人のうちの9割以上が75歳以上の高齢者の死亡です。これは、すでに超高齢国家となり日本の人口構成の大きな比率を占める75歳以上の後期高齢者群が、まとめて寿命を迎えるタイミングに入るからです(「戦争中と同じ人数が毎年死んでいく」これからの日本を襲う“少産多死社会”の現実参照)。 


2/23/2022





【図表】男女配偶関係別死亡中央値(50歳以上)  

厚生労働省の「簡易生命表」によると、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳ですが、当然ながらそれより短命の人もいます。そして、この寿命の長さは、男女の違いだけではなく、独身なのか結婚しているのかという配偶関係の別によっても大きく変わります。

  最新の2020年人口動態調査の15歳以上の配偶関係別死亡者数のデータから、男女それぞれで配偶関係別の死亡中央値年齢を算出すると以下の通りです。 

■「一人では生きていけない男、一人だと長生きする女」 

 男女ともに配偶者と死別した人の死亡中央値がもっとも高く、平均寿命を超えます。一方で、男性では未婚の死亡年齢がもっとも若く、67.2歳で未婚男性の半分は亡くなっていることになります。これはほぼ平均寿命平均と同一値の有配偶男性より14年以上も早い。離別男性も平均寿命を大きく下回り、72.9歳です。未婚でも離別でも独身という状態にある男性は短命であることが分かります(ちなみに、2018年時点で算出した時は未婚男性死亡中央値は約66歳でしたので、少しは伸びていることになります)。  

反対に、女性では有配偶女性の死亡中央値が78.6歳と一番低く、女性の平均寿命を大きく下回ります。むしろ、女性の場合、未婚で81.6歳、離別でも80.9歳と、独身のほうが長生きです

ここからは「一人では生きていけない男・一人だと長生きする女」という構造も見えてきます。この傾向は決して2020年だけの特殊な事例ではなく、配偶関係別死亡統計のある1980年代から一緒です。 

 もっとも、これは15歳以上の全年齢を対象とした計算となります。30歳未満の若年層は未婚率も高く、未婚の死亡中央値が低くなるのは当然であるというご指摘もあるでしょう。 

 では、生涯未婚率の考え方をとりいれて、50歳を基準として、50歳まで生きた人たちの配偶関係別死亡構成比をみてみたいと思います。50歳まで未婚であれば生涯未婚と同様であり、今後配偶関係が変化する確率は低い。同様に、熟年離婚が増えているとはいえ、50歳以上での離婚は全体からすれば低い構成比でもあります。

  結果を見ると、50歳以上でも配偶関係別の死亡中央値順位は変動しません。

■未婚男性の半分は年金も満足に受け取れない 

 多少の違いはあっても、50歳以上でさえ未婚男性がもっとも短命です。半数が68歳くらいで死亡しています。ということは、未婚男性の半分は65歳から年金を受け取ったとしても、ほぼ3年程度しか受け取れない計算です。 

 未婚のまま生涯を終える男性に対して、時に既婚者たちから「結婚して子どもを産み育てることもしないフリーライダー」呼ばわりされることがありますが、自分の働いた金で積み立てた年金すらほとんど受け取らずに天に召されるのだとしたら、フリーライダーどころか社会のために身を犠牲にして尽力しているとも言えないでしょうか。 

 独身が短命であるという理由は、生活習慣によるところが大きいと思われます。 

 2020年における死因を配偶関係別に比較してみましょう。データは45~64歳までのいわゆる現役世代の働き盛りの男性の死因を、配偶関係別の構成比と当該年齢全体の構成比と比べたものです。プラス表示になっているものは、全体の構成比より高いもの、すなわちその死因が多いことを意味します。

 ■未婚は腎不全、離別は肝疾患が飛びぬけている 

 一目瞭然で、有配偶男性が上回るのは悪性新生物(癌)のみで、他はほとんど未婚と離別の独身者が上回ります。未婚の死因では、腎不全比率がもっとも高く、続いて高血圧性疾患、糖尿病と続きます。一方、離別男性は肝疾患が飛びぬけています。いずれにしても、明らかに未婚・離別の独身男性と有配偶男性とでは死因も異なることが分かります。独身者に癌が少ないのは、決して癌に対する耐性があるわけではなく、癌が発症する以前の年齢で、上記生活習慣病によって死亡しているものと推測します。 

 未婚中年男性がこうした生活習慣病に罹患しやすいのは、ほぼ食生活です。

家計調査によれば、単身男性(勤労者)のエンゲル係数は高く、特に外食費は、コロナ前の2019年まででいえば、1家族の外食費の2倍近い出費を一人でしています。日本の外食産業は独身男性が支えていたといっても過言ではありません(「ノーリスクで高単価」ソロ外食を締め出す“時短罰則”が日本を滅ぼす参照)。ただし、そうなると当然、栄養の偏りが起きます。何十年に及ぶそうした偏食生活のツケが生活習慣病という形で返ってきます。 

 コロナ禍以降は、運動不足気味の独身者も多いのではないでしょうか。また、離別男性が、圧倒的に肝臓を患ってしまうのは、離婚によって生じたストレスや寂しさなどによる酒量の増加などが関係するでしょうか。


■女性は結婚すると寿命が縮んでしまう? 

  その点、有配偶男性は、日々の食事を管理してくれる妻がいる家庭ならそのリスクは軽減されます。いかに日々の食事が健康に重要な役割を果たしているかが分かります。 

 もちろん、未婚や離別男性であっても、食生活に気を付けて、健康的な人もいると思いますが、これだけ死亡中央値が異なるとすると、配偶関係の違いは大きな影響があると考えられます。性別だけではない寿命ファクターとしての配偶関係による違いについてはもっと注目されてよいと思います。 

 一方、女性は男性と真逆の傾向です。有配偶女性がもっとも短命で、未婚や離別女性のほうの死亡中央値が上回ります。結婚生活中の女性は寿命が縮むのでしょうか? 

 長生きのためには、有配偶女性は離婚したほうがよいのでしょうか?   いいえ、そうではありません。  

有配偶女性の死亡中央値が低くなるのは、有配偶である期間が男性より短いため、総数の母数が小さくなるために起きた計算上の問題です。大抵の妻は夫より長生きです。

つまり、多くの有配偶女性はそのまま死別女性へと移行します。実際、実数では有配偶のまま死亡する女性の数は少ない。50~64歳での人口千対死亡率で見れば、有配偶の男性は3.1人、女性は1.9人です。つまり、結婚しているから女性が短命になるというわけではありません。 

 実際、有配偶と死別あわせた既婚者群で見ると、既婚女性の死亡中央値は男性を上回ります。 

■女性の「孤独耐性」は男性の1.3倍  

注目すべきは、条件が一緒であるはずの未婚男女の死亡中央値の圧倒的格差です。未婚女性のほうが未婚男性より15年以上も長生きします。これは食生活だけの問題だけではないような気もします。  

孤独に強い」のは男性というイメージがあるかもしれませんが、逆です。実際、一人や孤独を快適だと感じる割合は圧倒的に女性のほうが多いことが分かっています。私のラボで2020年に調査した結果によれば、「孤独を楽しめる」と回答した割合は、未既婚ともに女性のほうが男性より1.3倍も「孤独耐性」が高いのです(1都3県20~50代未既婚男女約1万5000人を対象)。1.3倍とは未婚男女の死亡中央値年齢の差とも一致します。  



孤独耐性」が高いというのは「いつも一人でいようとする」指向ではなく、ましてや「一人でいる状態を耐えしのぶ」力でもありません。むしろ、社会生活として必要な人とのつながりを保ちながら、「一人の時間も楽しめる」力です。多かれ少なかれ、仕事を辞めれば人は、物理的に一人になることが多くなるし、この一人の時間をどう生きるかが試されてくるのです(「誰も話せる相手がいない」日本の既婚男性が次々と発症する“見えない病”の正体参照)。


■「一人を楽しめない」者から早く死んでいく

 一人であることが寂しい、つらい、苦しいとばかり思っている人は永遠に「一人を楽しめない」どころか、周りに人がいてもその苦しみから逃れることもできなくなるものです。そして、多分「一人を楽しめない」者から、人間は死んでいくのではないでしょうか

 とはいえ、単に長生きをすればいいというものではありません。ラーメンやスイーツなどおいしい食事を一切我慢して、それで何の楽しみがあるのかと思う人もいるかもしれません。食べたい物を我慢してストレスを溜めたら本末転倒です。何歳で死ぬにしろ、心と身体を害してしまうことは避けたいものです。いずれにしても、有配偶男性と比べて未婚男性は50~64歳あたりの高齢者助走期における死亡リスクが高いことは事実なので、ご自身の日々の生活習慣を見直すきっかけとしてはどうでしょうか。



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荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
コラムニスト・独身研究家










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引き揚げはとても難しい」現役飽和潜水士が語る知床観光船事故

2022年05月08日 20時05分11秒 | 事件と事故
引き揚げはとても難しい」現役飽和潜水士が語る知床観光船事故



(報告:村上亜沙) 「午後5時前です、いま新日丸が網走港を出発しました」 KAZU Iの沈没現場からおよそ80km離れた網走港。 午後5時ごろ民間のサルベージ船「新日丸」が出航しました。 事故から2週間、行方不明となっている乗客乗員12人の捜索に進展はあるのでしょうか? 停泊中の「新日丸」ではROV=無人潜水機「はくよう」のチェックが行なわれていました。


5/7/2022


 (水難学会 斎藤秀俊会長) 「無人潜水機でいろいろ観察するメリットは長時間にわたって観察できる点がある」 「要するに人が入れば、それだけ人的リスクが上がりますので、できるだけ、人のリスクを少なくするためには、まずロボットを使ってできるところまでやって、それから人を入れて、という手順かなと思います」 

人が簡単にはいけない深海で長時間の調査が可能な無人潜水機。 ただ現場に行くだけではありません。 その特徴は、装備されたロボット・アームで発揮されます。 「はくよう」には、どんなことが期待されるのでしょうか。 製造したメーカーは、深さは問題ないといいます。 潮流については…。

 (ISE ドン・ムース 上級技術顧問) 「コンピュータにより無人潜水機の位置を固定します。音波探知機能を搭載しているので、強い潮流でも無人潜水機は固定されます」 これは、アメリカ近海での沈没船を調査した映像。 無人潜水機がロボット・アームの先端を回転させてタンクの栓を、抜きとっています。 その小さな穴へ、カメラと見られるアームを近づけると… 穴から丸い油の塊が出てきました。 こうした細かい部分を見ることも可能です。 

(ISE ドン・ムース 上級技術顧問) 「1本のアームで船をつかみながら、もう一本のアームで操作が可能です。そうすることで、コンピュータ制御で正確で緻密な作業が可能です」 

(水難学会 斎藤秀俊会長) 「この『はくよう』での大体の捜索終わりましたら、今度はいよいよ船内に入るんですけれども、これはもう飽和潜水士が今現場に向かってますので、飽和潜水士によって人の目で、それぞれ船内に確認をしていくという作業になると思います」

 では、水深120mでの作業とは、どんなものなのか。

 飽和潜水士として、東南アジアや中東の深海で、パイプラインなどの設置や解体、引き上げ作業をしているロメオさんに聞きました。

 (飽和潜水士 ロメオ・ストーリさん) 「今回のような場合、まず船体の損傷を調べます。沈没船の場合、オイルが漏れている可能性が高く、そのオイルで、機材が故障したり腐食する恐れがあるので、とても危険なんです」 「その後、船内に入りますが、この船は観光船で窓が多いので、割れていればスーツが傷つき命取りになることもあります」 「また、水深120mは真っ暗で、船内では方向感覚が失われ、出口が分からなくなり、パニックになる危険性もあります」

 調査後の引き上げ作業は、どう進められるのでしょうか? 

(飽和潜水士 ロメオ・ストーリさん) 「難しいのはワイヤーを通す作業ですが、そのために船の周囲にある泥などを吸い取り、隙間を作る必要があります。その際に巨大なホースを使うのですが、吸引力がとても強く、吸い込まれる危険もあり、飽和潜水士の仕事の中でも、船の引き揚げは、とても難しいミッションと言えます」 現役の飽和潜水士が難しいと評価する船の引き揚げ作業。 いったいいつ行われるのでしょうか? 

(水難学会 斎藤秀俊会長) 「飽和潜水士が入って捜索までだいたいこの辺のスケジュール感で今月いっぱいぐらい」 「このデータを見ながら引き上げをするかどうか決定するでしょう」



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あの日、予約を変更してカズワンに乗った2人>小学生と母親?: カズスリー乗員が証言>

2022年05月08日 15時01分06秒 | 事件と事故
>別記事に、予約変更は小学生と母親の二人だったとありました。

北海道・知床半島沖で観光船「KAZUI(カズワン)」が沈没した事故をめぐり、同船の出航前後の状況が新たに判明した。事故当日、カズワンの出航準備作業に加わり、その後、同じ会社が運航する観光船「KAZUIII(カズスリー)」で船上ガイドをした甲板員の男性が取材に応じた。 


5/6/2022

【一目で分かる図解】沈没した船内の様子と水中カメラの写真  

事故が起きたのは4月23日。カズワンは午前10時に斜里町・ウトロ漁港を出発し、知床半島先端の知床岬までの往復3時間のコースを航行中に沈没した。取材に応じた男性は、カズワンの30分後に出航し、半島の途中で引き返す1時間コースを巡って午前中に帰港したカズスリーの甲板員。

  男性によると、荒天の予報が出ていたことから、23日の朝、カズワンの豊田徳幸船長に「午後から波が高くなるから気をつけろ」と忠告したという。

  カズワンの乗客24人のなかには、カズスリーを予約していたものの、当日、希望してカズワンに乗った乗客が2人いた。 

 カズワンに異変が起きたことがわかったのは午後1時ごろ。運航会社の事務所に同業者が続々と集まり、対応にあたった。午後3時ごろには海上保安庁関係者も訪れ、事務所内は騒然としたという。(佐野楓)



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知床「KAZUⅠ」の悲劇…遊覧船は釣り船とは違う 乗客は強風・高波を想定できない【「表と裏」の法律知識】

2022年05月08日 11時03分53秒 | 事件と事故


【「表と裏」の法律知識】#133 


 日本の数少ない世界自然遺産である知床で悲痛な事件が起きてしまいました。遊覧観光船が遭難し沈没してしまったというニュースです。

 僕は船釣りが好きなので、遊漁船によく乗ります。予約をした船の船長に、出船の前日に「明日の海は大丈夫でしょうか?」という確認をすることが多いのですが、ほとんどの場合、「大丈夫だよ。凪(なぎ)だよ凪」などと言われます。しかし、実際乗ってみると、強風・高波で船に乗っているだけでもつらいというケースは少なくありません。

一番ひどかったエピソードは、乗船料を徴収して、出船して、外海に出た途端に「今日はダメだ」と言って、引き返されたことがあります。遊漁船もビジネスですから、波の高さを理由にした直前キャンセルを防止したいという気持ちがあるのはわかりますが、さすがに詐欺的だなぁと感じてしまいました。それ以降、波の高さや風は、自分で見て確認するようにしています。 


 これは釣りの話であって、遊覧船は別でしょう。強風・高波を受けることを想定して遊覧船に乗る人はほとんどいないのではないでしょうか。同じく知床半島で遊覧船を出している運航会社は、出船を取りやめていたとのことですので、今回の運航会社の判断は非難されています。

観光船の運航会社の社長が行った記者会見でも、荒れる海への出航を決めたのは巻き込まれた船長であったかのような説明がなされました。これは真実だったのかもしれませんが、やはり「死人に口なし」ともいうべき社長の弁解は、強い批判を受けています。

  今後は刑事処罰と民事上の賠償が問題になっていきます。荒天での出航という判断、引き返さなかったという判断、船体に傷があったとの話もありますし、ライフジャケットを着用させていたのかどうか、船内に乗客全員分のライフジャケットが装備されていたのかなどさまざまな状況調査がなされていくと思われます。 

 過去の刑事裁判でも、船の運転をしていた船長だけでなく、運航会社の社長や役員の過失が認められ、業務上過失致死罪で有罪とされた件もあります。今後の捜査に注目ですが、まずは何より全員を発見していただきたいと思います。

 (髙橋裕樹/弁護士)


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道端に咲く、ヒメジョオンの花ですね❗

2022年05月08日 09時00分25秒 | いろいろな出来事
目立たない花ですが、野草のハイライトですね❗


5/8/2022
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