国際カジノ研究所の木曽所長は「入金は“預かり金”のようなもので、入金をしたからといって、そのお金をすべて使い切ったとは限らない。勝ち負けを繰り返した結果、お金が残っていて銀行口座のように“プール”されている可能性はある」と指摘している。
ついに24歳男を逮捕…4630万円は「ネットカジノ」で本当に使い果たしたのか?素顔と回収の可能性に迫る
山口県阿武町の4630万円誤送金をめぐる問題で、5月18日夜、無職・田口翔容疑者(24)が逮捕された。現時点で回収の見通しは立っておらず、田口容疑者が本当にお金を使い切ったかが焦点となる。
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長い髪を後ろで束ね、ピースサインをする男。18日夜に逮捕された、田口容疑者だ。
急展開を迎えた誤送金問題。のどかな阿武町をゆるがす騒動は刑事事件に発展した。 残高わずか665円だった田口容疑者の口座に突然、振り込まれた4600万円以上のお金。阿武町が誤って入金した多額の給付金について、田口容疑者は“ネットカジノで使い切った”と供述している。 逮捕を受け、田口容疑者に家を貸していた大家は心境を明かした。 大家の男性: まぁ残念ですよね。素直に(お金を)返してほしかったですね
「空き家バンク」で田舎暮らしを希望…容疑者の素顔とは
電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された田口容疑者。4630万円が誤って振り込まれたお金と知りながら、スマホを使ってオンライン決済代行業者の口座に400万円を振替、不法に利益を得た疑いが持たれている。 田口容疑者は、阿武町の隣の萩市内のホームセンターで社員として働いていた。しかし、先月中旬「阿武町の件で出頭する」と突然退職を申し出たという。
田口容疑者の自宅は、阿武町の中心部から約10キロ。周囲を山に囲まれ、田園風景が広がる集落だ。周囲には別の家も数件建っているが、どれも空き家になっているという。
周辺住民: あそこは空き家だったからね。誰かが入ったとは聞いたけど。(田口容疑者とは)話したことない 周辺住民: 移住者がおられるのは知ってましたけど
田口容疑者が阿部町に住み始めたのは、わずか1年半前のこと。利用したのは、町がYouTubeなどでPRする「空き家バンク」。空き家を活用して若者たちを呼び寄せ、地域の活性化を図る制度だ。
田口容疑者の自宅の家賃は2万5000円。大家の男性には、移住の目的について“田舎暮らしをしたい”と話していて、家庭菜園でトマトやキュウリを育てていたという。
自宅の周辺は一面に畑などが広がり、最寄りのスーパーやコンビニまで10キロほど離れた山の中だ。集落の住民はネットカジノと聞いて、驚いていた。 周辺住民: スマートフォンとかでカジノとかができるんだっていうのを、聞いただけでびっくりですよね
小学校の卒アルには「持ち金をつかいはたす」
小学校の卒業アルバムでは、将来の夢を「造へい局のしょくいん」と記していた田口容疑者。もしもタイムマシーンがあったならとの質問には、「ロト6のばんごうをみらいにみにいく」、地球最後の日が来たらの質問には、「持ち金をつかいはたす」と答えていた。 田口容疑者は本当に今回のお金を使い果たしてしまったのか。
これは阿武町から4630万円が振り込まれた、田口容疑者の口座の出入金記録だ。入金があった4月8日、デビット決済で67万8967円を出金。2日後の4月10日にもデビット決済で約68万円を2回出金。
10日にはさらにネットカジノ代行業者とみられるA社に対して125万6441円を振り込んでいる。こうして4月18日にかけて34回にわたる出金があり、残高は6万8743円。
4630万円のほぼ全額が引き出されていた。 田口容疑者の弁護士はこう話している。 田口容疑者の弁護士: 本人はもうカジノで、海外のカジノサイトで全部使ったというふうには言っております
4630万円は「ネットカジノ」で本当に使い果したのか?
国際カジノ研究所の木曽崇所長が注目したのは、出勤記録の金額が1円単位と端数がある点。木曽所長によると、多くのネットカジノで1回の入金上限額は1万ドル(約125万円)。田口容疑者は、A社などの代行業者に上限の1万ドルずつを振り込みながらカジノを利用し続けた可能性があると指摘する。
では、本当にお金を全て使い切ってしまったのかというと、必ずしもそうとは言い切れないという。ネットカジノの仕組みはまず入金を行い、その金額を上限にチップを購入し、ゲームを行う。 あるネットカジノを見ると、一回のゲームの掛け金は0.2ドルから50ドル。最も高額なものでも750ドル、日本円で約10万円だった。
木曽所長は「入金は“預かり金”のようなもので、入金をしたからといって、そのお金をすべて使い切ったとは限らない。勝ち負けを繰り返した結果、お金が残っていて銀行口座のように“プール”されている可能性はある」と指摘している。