なぜ、感染する? 知っているつもりの「感染症」を検証!
8/22(月) 7:32配信

新型コロナウイルス流行の第7波まっただ中の2022年7月現在、感染症対策の必要性は認めつつも、正直うんざり、という方も多いことでしょう。 思えば、この新型コロナウイルス、本邦上陸の頃は、コロナは空気感染ではない、とされていたのに、最近は空気感染する、と言われるようになってきました。

ニュースでよく聞く「エアロゾル感染」など、なんとなくイメージはできるものの、お子さんに「どういうこと?」なんて聞かれて、ちょっとまごついてしまった、なんて方もいるのではないでしょうか? 新型コロナの他にも、インフルエンザやO157、ノロウイルスなど、世間を騒がせた「病原体」は数多くあります。意外に知らなかったあんなことや、こんなことを、微生物学の専門家による、『最小にして人類最大の宿敵 病原体の世界』から、ご紹介します。 今回は、「感染」とは何か、原因となる病原体はどうやって私たちの体に侵入するのかについての解説を、ご紹介します。
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感染のカギは「入り込んで、増殖する」こと
感染は医学上、「(病原性の)微生物が、宿主の体内に侵入し、安定して増殖する状態になること」と定義されます。そして、微生物が「感染して」起きる病気が感染症です。
ここで「感染」を強調して書いたのには、ちょっとだけ理由があります。似たような「微生物」が原因になる病気でも、例えばカビアレルギーは、生きたカビ胞子でなく含まれる成分への反応であって、感染症とは呼べません。
ほかにも古くなって傷んだものをうっかり食べたとき、吐いたり下したりすることがありますが、こうした場合の多くも、厳密には「感染症」にはあたりません。もともと嘔吐や下痢は、体内から異物を排出するための生理反応でもあって、病原菌以外の雑菌なら、「安定して増殖」する前に追い出されてしまい、せいぜい2~3回の嘔吐や下痢で自然に治まるからです。
一方、同じように下痢や嘔吐を起こすものでも、食中毒の原因になる大腸菌は、腸の粘膜上皮にしっかりくっついたり、細胞の中に入り込んだりすることで、追い出されることなく「安定して増殖」が可能です。これが典型的な「感染症」の特徴で、前述の例に比べて重篤になりやすいのです。
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感染から発病をわかりやすく「天秤モデル」
天秤モデル
実際の感染症においては、病原体が感染しても必ず発病するとは限りません。感染したときに発病するかどうかは、図に示したような「天秤モデル」で理解することが可能です。
天秤の左の皿に載っているのは「毒性の強さ×菌数(ウイルス数)」で、病原体が病気を起こす力の強さを表します(厳密に言うと単純な掛け算ではありませんが、簡略化のため×の記号で示します)。対する右の皿は「宿主の抵抗力」で、免疫系を中心にした、病原体を抑え込む力の強さです。
この天秤は、いつもは「右に傾いた」状態です。実は私たちヒトは知らず知らずのうちに、環境中のさまざまな病原体(そのほとんどは弱毒性)と接しながら暮らしています。ただ、宿主側の力が病原体側を上回っている(天秤が右に傾いている)ため、健康な状態を保っていられるのです。
感染しても発病しない「不顕性感染」
症状が出ないので、本人が知らないうちに感染していることも多い
ところがここに、強毒型の病原体がどこからともなく現れ、しかも一定以上の数で私たちの体内に侵入したとします。すると、天秤のバランスが崩れて左に傾き、感染・発病に至ります。これが最も典型的な感染症のパターンで、顕性感染と呼ばれます。
ただし強毒型でも、菌数が少なすぎる場合などには「感染しても発病しない」不顕性感染になることがあります。
不顕性感染の多くは症状が出ないまま治ってしまいますが、検査してみると、その病原体に対する抗体が増えていて、本人が知らないうちに感染していたことが後から判明することが珍しくありません。
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