【ひふみんEYE】藤井竜王は「将棋に負けて、勝負に勝った」8冠全制覇の確率が一気に高まった

9/27(水) 22:05配信
日刊スポーツ
終局後、感想戦を行う藤井聡太7冠(撮影・松浦隆司)
<ひふみんEYE>
将棋の最年少7冠、藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が全8冠制覇を目指して永瀬拓矢王座(31)に挑戦する、将棋の第71期王座戦5番勝負第3局が27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われ、先手の藤井が勝ちシリーズ対戦成績を2勝1敗とし、史上初の全8冠制覇にあと1勝とした。
本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。
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藤井竜王は1局で2勝したような感じでしょう。徳俵まで追い詰められましたが、まさに「将棋に負けて、勝負に勝った」状態ですから。こういう対局で勝ったのは、心理的に大きいです。8冠全制覇の確率が、これで一気に高まったと思います。
永瀬王座は66手目の後手4一飛が最後の敗着です。ここは「金底の歩、岩より堅し」の格言通り、後手3一歩でしょう。将棋の防御の基礎ですから。その前に後手6六飛と角を取って、飛車を切った手が「敗着」と思っています。慌てましたね。先に香を成り捨てて金を取り、後手3五歩先手同飛とつり上げ、次に銀を成り捨てて、5六に金を打つスペースを作る味付けから寄せていくべきでした。
私が42歳で名人を獲得した時、「慌てないで、落ち着いて戦え」という聖書の言葉を何度も思い返して盤に向かいました。普遍的な心得が必要です。(加藤一二三・九段)
藤井聡太七冠、大逆転の八冠王手も反省…「苦しい将棋」「負けの形だと」
9/27(水) 21:51配信
スポーツ報知
第71期王座戦五番勝負第3局を指す挑戦者・藤井聡太七冠(日本将棋連盟提供)
将棋の藤井聡太七冠=竜王、名人、王位、叡王、棋王、王将、棋聖=が27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で指された第71期王座戦五番勝負第3局で、永瀬拓矢王座に先手の81手で勝ち、シリーズ成績を2勝1敗とした。
前人未到のタイトル全八冠獲得に王手をかけた挑戦者だが「結果は幸いしましたが、内容的には序盤から押されて苦しい将棋だった」「終盤は負けの形だと思っていました」と反省の弁を述べた。
対局は後手・永瀬が雁木へ。「端の位を取って雁木という組み合わせは考えたことがなくて、構想を立てるのが難しかった。自信のない展開だったので、序盤に工夫の余地があったかな」。夕食休憩前後には永瀬に9筋を中心に攻められ、苦しい展開に。終盤は負けを悟ったように、がっくりとうなだれる場面が多くあったが、永瀬が1分将棋に入ったところで対応を間違えて藤井には好転した。「こちたの玉が寄りづらい形になった」と勝ちを意識したという。
第4局は10月11日、京都府京都市の「ウェスティン都ホテル京都」であり、偉業達成が注目されるが「内容をよくできるよう意識して臨みたい。(八冠は)その点は、意識せずに集中したい」と話した。
一方、永瀬はさすがの強さを示したものの、飛車打ち王手をガードした△4一飛の選択には「『やっとけ』と思って入ってしまった。うまく対応できなかった」と悔やんだ。次局も名誉王座(5期連続)を目指して、タイスコアを狙う。