JR東日本が7月から、顔認識カメラを使って、刑務所からの出所者と仮出所者の一部を駅構内などで検知する防犯対策を実施していることが、わかった。必要に応じて手荷物検査を行うとしている。刑期を終えた人らの行動が監視、制限される可能性があり、議論を呼びそうだ。
JR東や関係者によると、
検知の対象は、〈1〉過去にJR東の駅構内などで重大犯罪を犯し、服役した人(出所者や仮出所者)〈2〉指名手配中の容疑者〈3〉うろつくなどの不審な行動をとった人。
JR東は、これらの対象者の顔情報をデータベースに登録。主要110駅や変電所などにはネットワーク化されたカメラ8350台が設置されており、映った人の顔情報と登録された顔情報を自動照合する。実際に使用するカメラの台数は公表されていない。
JR東は以前から、事件の被害者や目撃者、現場管理者らに加害者の出所や仮出所を知らせる「被害者等通知制度」に基づき、検察庁から情報提供を受けている。〈1〉については情報が提供された際、JR東や乗客が被害者となるなどした重大犯罪に限って氏名や罪名、逮捕時に報道されるなどした顔写真をデータベースに登録する。痴漢や窃盗などは対象外で、9月初旬時点で登録者はいないという。
不審者や指名手配者も含め、対象者を検知した際は、警備員が目視で顔を確認したうえで、必要に応じて警察に通報したり、手荷物を検査したりする。
JR東は7月6日、東京五輪・パラリンピックのテロ対策などとして、顔認識カメラの導入を発表。不審人物や不審な荷物、指名手配中の容疑者の検知を行うと説明していた。同19日から運用を開始し、ホームページや駅構内でも顔認識カメラの使用を明示している。一方で、出所者と仮出所者を検知対象に含むことは明らかにしていない。
個人情報保護法では、前科などは「要配慮個人情報」に位置付けられ、本人の同意なしに取得することは禁じられている。ただ、今回の被害者等通知制度のような法令に基づく場合などは例外として認められている。
9・21・2021
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