プラハの憂鬱
佐藤優 著
新潮社 発行
2015年3月30日 発行
佐藤優さんの本は、「十五の夏」上・下に引き続き三冊目です。
この本の題名はプラハの憂鬱となっていますが、舞台はプラハではなくイギリスとなっています。
1986年から1987年8月まで、イギリスでの外務省の研修時期に出会ったチェコ人との遭遇がメインストーリーです。
あたかもバルコニーの上で
フロマートカというチェコスロバキアの神学者の研究を志す筆者。チェコスロバキアに留学するために外務省に入るという道を選ぶ。しかし研修語はロシア語となり、更に研修先はモスクワではなくロンドン郊外の英国陸軍語学学校となる。
インタープレス
フロマートカの本を探す過程でインタープレスという古本屋にたどり着き、店主でチェコスロバキアからの亡命者であるマストニーク氏に出会う。
チェコ人の存在論
ナチス・ドイツによる占領、スターリン主義体制、『プラハの春』の鎮圧という三重の挫折が、チェコ人の存在論に影響を与えた。結局、人間性というものを信用することができないという実感。p74
チェコスロバキア・クラブ
亡命チェコ人のクラブ。パブとレストランがある。
カレル・チャペックの『山椒魚戦争』
インコグニト
ドストエフスキーに関するフロマートカの記述
神父(ファーザー)
チェコ出身のイエズス会の神父とマストニーク夫妻との夕食
召命
パウロがユダヤ人共同体に対して覚えたのと同じような不満を将来、筆者が外務省に対して抱くようになる予感
ジョージ・ホテル
海軍中尉のテリーとの夕食。北アイルランドについて
ダンスパーティーの夜
テリーの彼女のクリス。アメリカ・インディアンのナバホ族の血が流れている。
「ミッション」
映画を観た後、日本料理店へ
亡命ロシア人
外務省を辞職する同期の英語研修生
研修所のブラシュコ先生は亡命ロシア人
ブラシュコ先生
レフチェンコ事件
日本を舞台とした戦後最大規模のスパイ事件
旧ソ連から日本社会党へ資金が流入していた
最終講義
カウンターパート
マストニーク氏、同期のキャリアの武藤君との最後の会話
あとがき
鈴木宗男疑惑における、佐藤優の役割を調査する外務省の内部委員会の責任者が、武藤氏だった。