ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

白猫スマイリーの奇跡の猫背②

2019-05-11 21:07:54 | 小説
スマイリーはその晩、ホテルの部屋で意識を取り戻しました。

みんながスマイリーの背中を覗き込み、不思議がっています。

「これってどう見ても聖母マリアさまだよな・・・」とFちゃんの旦那さんがつぶやきます。

そうなんです。スマイリーの真っ白だった丸っこい背中に、カラーでマリア様らしきお姿が浮かび上がっているのです。あたかもライトで照らされ焼き付けられたかのごとく・・・。

大聖堂のファサードの壁によじ登ったとき、強い光に照らされて、変色してしまったのでしょうか?

それでも、こんなにくっきりと写るわけもないので、奇跡としか言いようがありません。



スマイリーのことは、たちまち話題になりました。

ホテルでも、帰りのTGVでも、知らない人たちがスマイリーの背中を覗き込みます。

ブリュッセルのおうちに帰ったときには、すでにうわさが広がっており、テレビ局や新聞社までが来て、スマイリーの背中を撮っていきます。

更には教会の人や熱心な信者まで来て、ありがたやありがたやとばかりにしげしげと背中を見つめ、お祈りしていきます。

スマイリーも注目を浴びて、まんざら悪い気はしなかったのですが、さらにうれしいことがありました。

やれお供えとかで、おいしそうな食べ物を持ってきてくれるのです。

生クリームいっぱいのケーキとか、骨付きの脂ののったお肉とか・・・。

スマイリーは、Fちゃんの作ってくれるバランスのいい食事には見向きもせず、みんなが持ってきてくれる豪勢な食べ物にむしゃぶりつくのでした。

おかげでスマイリーはもともと小太りだったのが、更にぶくぶく太ってしまいました。

もう大好きなにゃんこトンネルにも入れません。また一生懸命練習した階段のぼりもできなくなってしまいました。

それでも目の前のご馳走には勝てません、相変わらず信者が持ってきてくれる食べ物に嬉しそうにむしゃぶりついています。



そんなある晩、スマイリーは満腹して寝ていると、女性の声で「スマイリー、スマイリー」と声をかけてきます。

はっと目を開けると、そこには見たことのある女性の姿が・・・。

(続く)
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白猫スマイリーの奇跡の猫背①

2019-05-11 21:00:07 | 小説
ある初夏の日の朝、ベルギーのブリュッセルから西へ向かうTGVの中、子猫がバスケットの中でどきどきしていました。

その猫の名はスマイリー、黒いお鼻以外は全身真っ白で、小太りののんきな子猫です。飼い主のFちゃん夫婦、そしてかわいい妹猫のハッピーと一緒にブリュッセルから、フランスのアミアンに向かっているのでした。

アミアンには世界遺産である大聖堂があります。

そのライトアップのショーがみんなの一番のお目当てなのでした。



お昼過ぎにアミアンに着きます。

日中は、大聖堂を見学したり、歩行者天国をうろちょろしたり、大聖堂の見える運河沿いの公園で遊んだりしました。

そしていよいよお待ちかねの夜がやってきました。

大聖堂の前は、人だかりができています。

白いファサードを、色鮮やかな光が照らし出します。

そうすると、あたかも彫像が白黒からカラーになったように浮かび上がってくるのでした。

観衆はみんな見とれています。

あまりの美しさに感動したスマイリー、思わず興奮してFちゃんたちのもとを離れ、ファサードに向かって走り出し、そのまま壁によじ上ってしまいました。

強烈な光がスマイリーに襲い掛かります。

その光を受けたスマイリ-、あまりのまぶしさで目がぐるぐる回り、次第に気を失っていくのでした・・・。(続く)



(めぐみい様のブログの記事を参考にして、呑気に空想を広げてみました)

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ベルギーのデブ猫スマイリーのお話

2019-05-02 21:13:12 | 小説
めぐみぃ様
ところで・・・スマイリーの近況ですが、最近、やつは勝手にお引越しをしました。というのが飼い主Fちゃんがダイエットさせようと食事を変えたところ気に入らなかったらしく、1週間家出。Fちゃんは3日目から近所の森などを探したのですがおらず、1週間目にお隣のおばあちゃんに話したところ「うちにいるわよ」。その後、帰ってきたものの、だんだんおばあちゃんの家にばかりいるようになり、ついに「帰っておいで」と言っても家に入ってこなくなったのでした。働いて昼間いないFちゃんと違ってお隣は昼間も暖炉がついてますから、そこもあるのかなぁ・・・。スマイリー、すっかりデブ猫らしいです。あーあ。

jetmk
スマイリーくん、相変わらず面白いですねえ。
ごはんいっぱい食べて、暖炉のそばでお昼寝しているデブ猫の姿が目に浮かびます。
まあおばあさんもスマイリーくんが居てくれて楽しいのでしょうが。
ヨーロッパで一番幸せな猫ですね( ^_^)
でももう彼もいい歳なので、健康面が心配ですね。

めぐみぃ様
Fちゃんはスマイリーのダイエットは無理だろうと言っていました。おばあさんは最近、20歳近い老猫をなくしたばかりでスマイリーがいるのがうれしいらしく、Fちゃんもそういうおばあさんからスマイリーを引き離せず・・・というわけで、スマイリーの引越しは完了したのでした。

jetmk
おばあさんにとっては、スマイリーくんが来てくれて本当に良かったですね。
Fちゃんも寂しくても、スピーディー(スマイリーの弟ネコ)達がいてくれるので大丈夫でしょうね。
まあすぐお隣なので、いつでも会いに行けますし( ^_^)


(以前にいただいたコメントを再構成しました)
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