図説 中世ヨーロッパの暮らし
河原温 堀越宏一 著
河出書房新社 発行
2015年2月28日 初版発行
この本の第一部では、まず当時のヨーロッパの人口の大半が暮らしていた農村社会を取り上げています。
農村は十三世紀のうちに中世農村としての完成域に達し、十八世紀に産業革命が始まるまで、農村における変化は小さかった。
第二部では都市世界を取り上げています。
都市は十二世紀以降、とりわけ地域の拠点として成長し、王侯貴族による領域支配のなかで、商工業者を中心に農民とともに「働く者」という第三の身分を形成していきます。
第三部では、農村と都市の人々の日常生活の諸相について、暦や衣食住の在り方などを論じています。
バスティード
ボルドーからトゥールーズ周辺地域に及ぶ西南フランスの平野部で、13~14世紀に建設された一群の定住地の呼称。
半都市半農村的であると同時に、軍事防衛的要素も兼ね備えた特徴的な姿を持ち、その数は500余りにも上る。
バスティードの典型的な形は、各辺数百メートル程度の長方形の囲壁に囲まれ、中心の広場を核にして、格子状に直交する街路がめぐらされている。p29
中世最大の建築と言えば、大聖堂(カテドラル)の建立であろう。
12世紀から13世紀は大聖堂の建設ブームであり、パリのノートル・ダム大聖堂をはじめ、北フランスを中心に数多くの大聖堂が建てられた。
建設に関わった建築職人は、石工を筆頭に、石切工、大工、タイル工、左官、屋根葺き工、レンガ工の他、ガラス工、鍛冶匠などに及んでいた。
それに未熟練労働者を加え、数十人から数百人規模で工事が行われた。
(J・キャンベル『カテドラルを建てた人々』より)p79
ジョヴァンニ・ヴィッラーニ(1280頃-1348)
フィレンツェ出身の商人、政治家
20代の初めから北フランスやフランドル地方に滞在し、14世紀前半のヨーロッパの情勢を広く見聞した。
彼の生涯は、広く国際的な商業取引に従事したのち、引退して母国に戻り、故郷の都市政治に参与するという、当時のフィレンツェ商人の典型的な生き方に従ったものであった。
加えて、彼は「物書き商人」として、商業、政治活動だけでなく、さまざまな著述を残した。
『中世イタリア商人の世界 ルネサンス前夜の年代記』清水廣一郎 著 平凡社 に紹介されている。p95