ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

フランス県議会選挙の雰囲気

2015-04-29 21:55:54 | フランス物語
「フランス ニュースダイジェスト」 にてフランス県議会議員選挙についての興味深い記事を拝見しましたので転載します。

15. 初の男女平等議席の怪

「夫婦にしては何だか変」―3月末に行なわれた県議会議員選挙(小選挙区制、2回投票)のポスターを見て、そう感じた市民も多いはずだ。候補の男女が必ず1組で登場しているのだが、夫婦やカップルにしてはぎこちなく、親密度にも欠けている。年齢的にも不自然さが感じられる。それにパリ市内ではこの奇奇怪怪なポスターは1枚も見当たらなかった。

エッフェル塔
リヨンの近くのミリベルに貼られた県議会議員選挙のポスター。
候補者は男女一組になり写っている。

この不可思議な選挙ポスターは2013年5月17日発効の法律によって施行が決まった県議会選挙における「2記名投票方式」によるもの。ひらたく言えば県議会での議員数を「パリテ(男女同数)」にするためにとられた措置だ。男女1組の候補者を投票することにより、自動的に議員数が同数になるという仕組みだ。

この「2記名投票方式」が今回の県議会選挙で導入された結果、この奇怪な選挙ポスターの登場になったわけだが、パリ市内で見掛けられなかったのは、今回の県議会選挙で初めて施行されたからだ。

この「男女2記名投票方式」の結果、目的通り、フランス本土で101ある県議会で男女同数の議員が誕生した。これまでの県議会における女性議員は全体の13%にすぎなかったのに比較すれば、約4.5倍という飛躍的な増加だ。

県議会選挙では昨春の市町村議会選挙に続いて左派連合(社会党、ヨーロッパエコロジー・緑の党など)が大敗(選挙前は31県で議員数が過半数以上)した。原因は高失業率、物価上昇、治安悪化などが少しも解消されず、反対に各種税金や物価の上昇などで支持率低下のオランド政権への批判票が多数を占めたからだ。右派連合(国民運動連合= UMPと民主独立連合= UDIなど)は67県で議員数が過半数を超える大勝利に終わった。

ところが、“3回目”の投票、つまり2回の県議会選挙の後の議長選(議員による互選)では、フランス本土101県議会のうち、女性議長が誕生したのはわずか10議会、10%という少なさだ。左右の党派を越えて、まだまだ議長になるだけの政治経験と度量がある女性議員が少ないということか。

そういえば、選挙戦中にテレビのインタビューなどで政治綱領や抱負などを語ったのは、2人1組の候補者のうち、ほとんど例外なく、男性が意見を述べ、女性は、日本の戦前の貞淑な妻よろしく、男性候補者から1歩下がった背後につつましく控え、微笑みを浮かべて男性候補者の話を拝聴するというシーンが多かった。ポスターでもなんとなく、そういう雰囲気が伝わってきていた。地方によっては候補者になり手、というか、ふさわしい人物を探すのに苦労したという。




インタビューなどでは、そのような雰囲気だったのですね。

これはちょっと残念に思います

制度にまだ人間が追いついていないようですね

まあこれからどんどん変えていかないのかもしれませんが




フランスの女性参政権が認められたのは パリ解放後のドゴール将軍による臨時政権時代の1944年だった。45年10月の国民議会(衆議院に相当)選挙では5.6%の女性議員が誕生した。ただ、その後の女性議員数は遅々として伸び悩み、91年には6.1%、97年にやっと10.9%と10%を越えた。時の社会党の首相リヨネル・ジョスパンが社会党に30%の女性候補者を立てるように要請した結果だ。ちなみにジョスパン夫人は哲学者のシルビアンヌ・アガサンスキだ。彼女の元カレは哲学者のジャック・ダリダで彼との間に1児がおり、未婚の母として国民教育相時代のジョスパンと結婚した。彼女の助言があったからとささやかれている。

今回の県議会議員選挙では81歳のベルナデット・シラク元大統領夫人が出馬し、79年以来の議席を堅持した。それもオランド大統領が長年議長を務めた社会党の牙城コレーズ県とあって、右派大勝の象徴的存在として気を吐いていた。さすがに議長選には出馬しなかったが、UMP議長の誕生で「やりやすくなった」と老齢などどこ吹く風だ。若い女性議員の鏡的役割りを果たしそうだ。(昌)

<フランス県議選>新制度 男女1組の候補者に投票→議員同数に

2015-04-17 21:59:36 | フランス物語
このブログで何度も触れた、フランスの「過激な」県議会議員選挙についての記事がありましたので転載します

<仏県議選>新制度 男女1組の候補者に投票→議員同数に

毎日新聞 4月15日(水)19時25分配信


<仏県議選>新制度 男女1組の候補者に投票→議員同数に

仏県議選で張り出された男女1組の候補者ポスター=仏南部マルセイユで2015年3月12日、AP

 ◇女性議長選出は依然少数

 【パリ宮川裕章】フランス全土で先月行われた県議会選挙で、当選者が男女同数になるよう有権者が男女2人1組の候補者に投票する新制度が実施された。歴代の大統領全員が男性である「男性優位社会」のフランスで、男女平等社会の構築はオランド大統領の公約の一つ。今回の県議会選挙もその一環だ。女性の議会進出を促したと評価する声が上がる一方、女性議長の選出は相変わらず少数にとどまるなど、男性優位の政界の改革にはまだ時間がかかりそうだ。




この制度はオランド大統領の公約だったとのことです。

当選してしまったらなかなか公約を守らない中、ちゃんと実行したことは凄いですね。

普通だったら、このような大胆な改革は、既得権を持つ人からの大きい反発で潰されるはずです。

ただ、日本の県議会と比べると

①公職の兼任が認められる

フランスの場合、国会議員で、なおかつ地方議会議員というパターン、また市町村の議員でなおかつ州や県議会の議員というパターンも多く、県議会議員の職を失っても影響は少ない。

②そもそも議員報酬自体が日本に比べて少ない

などにより、県議会議員の地位にそんなに固執していなかったというのが考えられます。



 新選挙制度は、仏国会両院で昨年採択された男女平等法に盛り込まれた。改選対象となった98県議会で男性議員1746人に対し、女性議員は280人(14%)だったが、新制度によって男性議員と同数の2054人の女性議員が誕生した。ただ、県議選を受け、議員間で議長を選出したところ、女性議長は98県議会中8人のみだった。

 トゥーレーヌ厚生女性権利相は結果を受け、「女性の進出に進歩はあったが、議長の数は少なく、まだ進むべき道のりは長い」との声明を発表。男女平等高等会議、男女平等委員会のセナック委員長はパリジャン紙に「放っておいても男女の権力分担は実現しない。法律が必要で一定の効果は示したが、政治権力からの女性の排除を見直すところまでは進まなかった」と総括した。

 女性議長が伸び悩んだ理由について、社会党のボルジェル下院議員はリベラシオン紙に「議長の多くは再選されており、新しく当選した女性議員は経験不足と見られた」と見る。ボワタール女性権利担当閣外相は「女性議員が多く誕生したことは将来につながる。(議会で男女平等に向け)考え方が変わっていくだろう」と長期的な効果を強調した。




やはり議長という職はベテランの実力者がなるものなので、いきなり半数の女性が当選しても、議長になるのは難しいのは当然のことです。

 フランスでは歴代の大統領全員が男性で、現在上位40企業の社長にも女性がいないなど男性優位が続いている。議員に占める女性の比率も市町村議会で40%、下院で26%、改選前の県議会では今回選挙のなかった県も含めて12%だった。




上院・下院は部分的または緩やかなパリテ(男女同数)規制なので、こんなものでしょうか。

しかし1000人以上の市町村(コミューン)、州、そして欧州議会では厳格なパリテ規制(名簿搭載順を男女交互に)なので女性の割合は50%に近いです。

 国際議会協会(本部ジュネーブ)の統計(2月1日時点)によると、仏下院の女性議員割合は世界45位。9.5%で115位の日本の衆院よりは上位だが、6位スウェーデンの44%など上位を占める北欧諸国や、12位のスペイン、21位のドイツに比べると大きく見劣りしている。

 2012年大統領選で男女平等を公約に掲げたオランド大統領は、閣僚の男女同数(男性17人、女性16人)などにも取り組んでいる。政界では「単なる数合わせだ」との批判もあるが、男女平等法案の作成の中心となったベルカセム教育相や、同性婚を実現したトビラ法相など、女性閣僚の活躍が目立つ。

 また昨年、女性として史上初のパリ市長となったイダルゴ氏も五輪誘致にリーダーシップを発揮。支持率を伸ばす極右政党「国民戦線」でもマリーヌ・ルペン党首と、めいのマリオン下院議員の清新なイメージが、同党の「普通の政党」化戦略を後押しするなど、男性優位社会に変化の兆しも出ている。




先日も国民戦線での大塚家具のような(笑)親子喧嘩があり、ひとまず問題発言の多いお父さんが負けて引退するようです。

今後、こうしたパリテ規制を礎として、女性大統領が出てくるのかも興味の一つです。

アントレはいつ食べる?

2015-04-11 21:41:12 | ヨーロッパあれこれ
アントレ、って、自分は前菜のことだと思っていました。

しかし今日聞いたNHKラジオの「実践ビジネス英語」によると、




(米)主要料理、食事の主菜として出る料理、(英)正式のコースの食事で魚と肉の主菜の間に供される料理




とありました。

アメリカ英語では主菜になるんですね。それだけでも驚きだったのですが、イギリス英語でも前菜ではなかったのです。

そして手元のフランス語の辞書だと、

スープまたは前菜とメインディッシュの間に出される料理;牛豚の内臓、鳥獣肉、魚介類など

とありました。

更にwikiで調べてみると




アントレ(仏:entrée)は、主にフランス料理のコースの中でオードブル、前菜という意味で使われる。 語源はフランス語の「入り口」という意味から。冷前菜は「アントレ・フロワード entrée froide」、温前菜は「アントレ・ショード entrée chaude」という。

英語の語彙にも借用語として定着しており、北米の英会話では「メインディッシュ」という意味で使われ、北米以外の英語圏では「オードブルよりも多めの前菜」という意味で使われる。英語の発音は「アントレイ」に近い。

日本でも少し前までメインディッシュという意味で使っていた料理人が多く、一般にも混乱が見られる。昭和33年に発行された本山荻舟の「飲食事典」においては、アントレー(アントレ)を「洋食の献立中最も技巧を凝らした料理で、魚料理とローストの間に供し、1種~5種くらい並べる場合があり、材料は牛肉、子牛肉、豚肉、牛舌、鶏肉、鶏卵、小禽類など…」[1]との記載があり、アントレという語をメインディッシュという意味で使用していたことが伺える。




とのこと、やはり混乱しているようですね。

他には

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説


アントレ【entrée(フランス)】
①西洋料理、特にフランス料理のコースで、オードブル。⇒オードブル
②西洋料理、特にフランス料理のフルコースで肉料理が2種類出る場合に、魚料理の次、ローストした肉料理の前に出る(最初の)肉料理。



と、二例をきっちりあげていました。

結局、英米の違いと共に、種類の多い高級料理か、シンプルな料理かで、アントレの定義も違ってくるようです。

自分なんぞは、シンプルな料理の方しか知らないので、アントレ=前菜という思考しかなかったです。