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TERAKOYAオンライン読書会 資本主義の崩壊がはじまる!「資本主義の崩壊後に来るべき新たなシステム」

2020-04-09 14:41:53 | 組織開発・社風改革

本日はZOOMによる読書会第3弾、書籍「資本主義の崩壊が始まる」の著者野田先生をお呼びした第3回目。




今回は、終章「資本主義の崩壊後に来るべき新たなシステム」を中心に、”ハイポニカ栽培”という植物の栽培方法を絡めながらのお話でした。
 

前回は、中世から近代へのパラダイム転換や資本主義の本質をお話していただきましたが、今回は”ハイポニカ栽培”というお話をするという前回の予告を受け、どんな展開になるのか!と参加メンバーも興味津々。

まずは、”経済と自然はシンクロしている”というお話

不思議なことに、「エルニーニョ発生期間」と「景気後退期間」が10年ごとに順序が入れ替わって発生している!というのです。これがどういうことかと言うと…この二つは同じ期間に発生するのではなく、”エルニーニョ発生→景気後退発生”という期間と”景気後退発生→エルニーニョ発生”という期間が10年毎に繰り返してきているということなんですね。

なぜこのような現象が起きるのか、今の科学では説明がつかないそうですが、ここまで綺麗に繰り返されていると、自然の気象現象と人間の経済活動に何らかの関係があることは間違いなさそう…と思ってしまいますね。

そもそも”景気は必ず循環する”と言われていますが、循環が起こること自体が不思議だとは思いませんか?なぜ、景気の動向に一つの秩序が生まれるのでしょうか。次にそんなお話をしていただきました。




1995年に「複雑系科学」が注目を集めましたが、複雑系で科学を眺めて辿り着いたのが、”物質はエントロピー増大が生まれるが、生命活動ではエントロピー減少が生まれる”と言うことでした。ただ、今の自然科学では、”エントロピーは必ず増大する”とされており、この仮説を証明することは今の科学では難しいとのこと。

野田先生のお話はとても説得力があり、「絶対エントロピー減少の法則もある!」と思ってしまうほどでしたので、誰かそんな研究をしてくれる方がいると良いのに!と思ってしまいますね…

 

そして次は偶然と必然のお話。

1から10のカードを例にお話を進めてくださりました。このカードを無作為に並べて、1から10が順番に秩序立って並ぶ確率は0.0000003%。確率的に考えても、順に並ぶことは限りなく起こりえないですよね。そして、もし順に並んだならば、私たちは”偶然”ではなく”必然”と感じるのではないでしょうか。こんなほとんど起こらないようなことが、頻繁に起こっているのが生命で、”なぜこのようなことが起こるのか”の答えのヒントが、前回の予告話にあった”ハイポニカ栽培”だと言うのです!

ハイポニカ栽培…気になりますねぇ。




1985年の筑波万博で生命科学者の野澤重雄博士が展示した”ハイポニカトマト”をご存知でしょうか?普通は一株に20個ほどの実がなりますが、ハイポニカ栽培のトマトには、およそ1万5000個の実がなると言うのです。

私も写真で拝見しましたが、、、圧巻です。

このハイポニカ栽培で育つと、マスクメロンなら一株から100個、キュウリなら3,000本という信じられない数の実がなるそうなんですね。

キュウリが3,000本…信じられないですね…

仕組みとしては、大きな水槽の中に、肥料を混ぜた液肥と酸素を注入し、水槽の中で循環を起こすと言うもので、ほとんど何も手を加えない放任栽培の手法だそうで、たくさんの実がなるだけでなく、数倍の速さで育ち、害虫に強いという生命力の旺盛さが特徴とのことです。



通常のトマトは成長が進んでいくと必ずピークに達して、そこを過ぎると収穫は下降線をたどり、やがては枯れていく。土が成長の抑制要因としてトマトに働き、成長は止まる。しかし野澤博士は、「生命は放っておいても自ら環境の変化を感知し、適応できる能力が元々備わっている。」と考えたそうです。つまり、”地球上で起きている成長のストップは見かけの現象であって、阻害要因がなければ無限に成長し続ける”と言うのです。

先ほども”エントロピー減少”のお話が出ましたが、野澤博士は「生命には生命を支配している法則があって、物質の法則であるエントロピー増大とは異なる”エントロピー減少の法則”がある。」と、自らのハイポニカ栽培を根拠に仮説を提唱されたそうです。

”宇宙の自然環境の中で生命はその本質が働く”これが生命法則。

 

なるほど…資本主義のお話が中心の読書会のはずが、宇宙の話に!!!なんとも面白い。



そして、次のスライドで改めて”物質と生命の関係”を整理してくださりました。

現代の科学では、生命はあくまでも物質の一つの形態と考えられていますが、ハイポニカ理論では、関係が逆で、物質が生命の中に含まれているとのこと。野澤博士の本には、「生命は情報である」と書かれているそうで、トマトがたとえ枯れたとしても、過去の内部情報によって、再び実がなるまでに回復することがあるそうなんです。実際に、枯れてしまっても、水槽の中で溶液を循環させた環境を保っていたところ、再び葉が出てきて実がなる現象が何度もあったと言うんですね。

これはかなり、興味深いお話です…!!

さらに、人間も生命なので、”人の心はもっとも高度な情報作用である”とも書かれていて、たとえば、トマトを栽培する人間の心を、実はトマト側が読み取っていて、心の状態が生育に影響するそうなんです。「生命力を信じる気持ちを持って栽培すると、ハイポニカ現象が現れるのだ。」とも野澤博士はおっしゃっていたそうです。

これは、”生命は物質である”という考えから”生命は情報である”への大きなパラダイム転換ですね!

物質と生命のパラダイム転換のお話の後は、様々な分野で起こるパラダイム転換もご紹介してくださりました。

農業、経済、医学、心理学、教育、倫理学、宗教と本当に多種多様な分野でパラダイム転換が起こるんですね。たとえば、経済。資本主義は”競争”の原理によって支えられているが、生命にとっての自然な原理は ”共生”であります。”部分と全体は切り離せない”、”全体で一つ”、これが生命にとっての自然な状態。だからこれからの経済は、この自然の”共生原理”に沿ったようなものへとパラダイム転換が起こっていくそうです。

前回の話でもあったように、歴史は再び転換期を迎えています。近代は、中世で一つに繋がっていたものがバラバラになっていましたが、新たな時代ではバラバラになったものが再び一つとなり、神を頂点とした生命の時代が来るのではないかというお話を伺いました。

 

そして最後は、宮沢賢治さんの『生徒諸君に寄せる』という詩をご紹介してくださりました。

これを読むと、宮沢賢治さんが物質の法則を超えた生命の法則を肌で感じていたのだろうと本当に思えます。言葉の一つ一つが生命法則によって現れてくる世界を象徴しているように感じるんですね。

コペルニクスやダーウィン、マルクスといった偉人の名を出し、物質法則と生命法則を対比した詩が書かれているんです。たとえば、コペルニクスの文を紹介すると『新しい時代のコペルニクスよ あまりに重苦しい重力の法則から この銀河系統を解き放て』。重力の法則は物質の法則を、銀河系統は生命の法則を指しているように思えませんか?

 

この部分を読んだとき、鳥肌が立つくらいに、「宮沢賢治さんは生命の時代が来ることをわかっていたんだ。」と、感じてしました。

そして野田先生は、宇宙飛行士の毛利衛さんが、この詩を紹介している新聞記事もご紹介してくださりました。

毛利さんは、宮沢賢治さんの詩をスペースシャトルで朗読したそうなんですね。そして、「実際に宇宙を見て、この光景を宮沢賢治はすでに感じていたんだと思った。」と毛利さんは記事に書いているそうですが、毛利さん自身が宇宙に行って生命法則を感じたからこそ、記事のような文がきっと書けたのでしょう、と野田先生は仰っていました。

おおよそ一時間の間に、ハイポニカトマトから宮沢賢治さんの詩まで幅広く紹介してくださり、新しい知識によって頭がパンパンになりながらも、生命法則についての理解を深めることができました。




さて、野田先生の解説が終わると参加者との気づきのシェアと問いかけを踏まえての対話の時間に。

今回は、「アフターコロナから始まる日本はどんな社会になると思いますか?」という問いの下でのダイアログ。

 

「宮沢賢治の詩がすごい!!!」

「私たちが作ってきた都市がどれだけ不自然で不思議なことか…」

「きっとパラダイム転換はどこかの分野一つで起こるのではなく、全部がいっぺんに変るのでは?!生きている間にそんなことが起こることに期待!!」

「コロナでの混乱を見ていると、薬がないことへの人々の過敏さが際立っていて、これからは自然治癒力を生かす東洋哲学、東洋医学が見直されるのでは…!」

「モノから心への転換、調和するタイミングになってきている。日本人は調和が得意な種族だから率先した役割を担えるといいのに!」

「自分を犠牲にするのではなく、自分に妥協のないあり方を追求することがきっと大事…」

 

 と皆さんそれぞれが感じた野田先生の解説や問いへの想いが次々と。

 

偶然と必然はきっと一つのキーワードになるでしょう。今のコロナでさえ、そう思うと偶然ではなく必然で起こっているのかもしれませんね。アフターコロナ、そんな言葉が巷でも耳にするようになってきていますが、”物事は全て必然性を伴って目の前に現れる”と見方を変えて捉えてみると、コロナもより良い社会の実現には必要なことだから発生しているのかも…そんな風に少し思えてきますね。

次回は、これからの新しい時代、社会、共同体がどのようなものなのか、まだまだ姿ははっきりとせずにぼんやりとしている次のステージですが、第5章「秩序崩壊へと突き進む世界経済の諸相」を中心に、現時点で野田先生が感じていることを踏まえながらお話してくださるそうです。

 

次回はいよいよ最終回。

これからどんな時代が来るのかを考えるヒントが頂けると思うと、とても楽しみです。

第4回もどうぞよろしくお願いいたします。