どうやって健康を維持したのだろうか。実は海舟には「刺絡」という秘密
の健康法があった。刺絡とは鍼療法の一種で、指や体のツボなどから悪血
を抜く療法。末梢の血行を良くして全身の血液循環を促進する効果がある。
海舟はたばこ盆の引き出しに様々な小道具と共に、必ず鋭利なナイフを入れ
ておき、これでしらくをおこなっていた。
「海舟は砥石をひきよせ、静かにナイフをといでいる。とぎ終わると、ナイ
フを逆手に持って、チョイと後ろ頭をきる。懐紙を取り出して、存分に悪血
をしぼりとっている。それがすむと、今度は指をチョイときる。そして存分
に血をしぼる」。海舟が名探偵として登場する坂口安吾の推理小説集「明治
開化安吾捕物帖」には、刺絡を行っている海舟が出てくるが、こうしてちょく
ちょく悪血を取っているのが、海舟の日常であったらしい。
刺絡は素人がすべきではないが、手や足の指の爪をよく揉めば同様の効果が
ある。手足を指を1本1本丁寧に揉んでいると、手足がポカポカと温かくなり、
やがて全身の指先にはツボの中でもとりわけ重要な「井穴」がある。
爪の生え際の角あたりに位置するツボだが、指先を揉むと井穴も刺激され、
免疫を高めるとも言われている。運動不足の人はよく指を揉むようにしたい。
堀田宗路(医学ジャーナリスト)
の健康法があった。刺絡とは鍼療法の一種で、指や体のツボなどから悪血
を抜く療法。末梢の血行を良くして全身の血液循環を促進する効果がある。
海舟はたばこ盆の引き出しに様々な小道具と共に、必ず鋭利なナイフを入れ
ておき、これでしらくをおこなっていた。
「海舟は砥石をひきよせ、静かにナイフをといでいる。とぎ終わると、ナイ
フを逆手に持って、チョイと後ろ頭をきる。懐紙を取り出して、存分に悪血
をしぼりとっている。それがすむと、今度は指をチョイときる。そして存分
に血をしぼる」。海舟が名探偵として登場する坂口安吾の推理小説集「明治
開化安吾捕物帖」には、刺絡を行っている海舟が出てくるが、こうしてちょく
ちょく悪血を取っているのが、海舟の日常であったらしい。
刺絡は素人がすべきではないが、手や足の指の爪をよく揉めば同様の効果が
ある。手足を指を1本1本丁寧に揉んでいると、手足がポカポカと温かくなり、
やがて全身の指先にはツボの中でもとりわけ重要な「井穴」がある。
爪の生え際の角あたりに位置するツボだが、指先を揉むと井穴も刺激され、
免疫を高めるとも言われている。運動不足の人はよく指を揉むようにしたい。
堀田宗路(医学ジャーナリスト)