うつろい

前回のブログで過去に札幌に住んでいたことに触れたが、先月、7年ぶりに札幌を訪れた。
引っ越してから7年も経っているので、きっといろいろなものが変わっているのだろうと思った。
札幌に住んでいる友人に「昔住んでいた時に行ったいろいろな場所に行きたい」と連絡をすると、快く返事をくれた。

9月下旬、半袖では少し肌寒いと感じるくらい札幌は寒かった。
友人に車で迎えに来てもらい、2泊3日でさまざまな場所を訪れた。

小学生の時に校外学習で訪れた科学館は一部の展示がリニューアルされ綺麗になっていた。それでも外観や全体の展示内容は変わらず、この日も小学生の団体見学で賑わっていた。
海から野生のトドが入ってきたり、言うことを聞かないペンギンショーでおなじみの小樽の水族館は、記憶の中の風景と同じ、年季が入った建物が出迎えてくれた。
牧羊犬のショーや広大な庭園を楽しめる恵庭の観光農場は今年の10月で閉園することが決まっていた。閉店セールをしていた花売り場はお値打ち価格の観葉植物を求める人で賑わっていた。

その中でも特に印象に残ったのが千歳にあるアウトレットモールのレラだ。
2005年にオープンした施設だが、今回私が訪れた時には7店舗しかテナントが入っていなかった。
レラは近隣に新しい商業施設ができたことなどを理由に利用者が減少し、具体的な時期は未定だが、近いうちに営業終了することが決まったアウトレットだ。
散策をすると、ほとんどが空き店舗にもかかわらず明るいBGMが流れており、人間が存在しない世界に迷い込んでしまったような気分になった。

歩いていると、賑わっていた頃のレラを訪れた記憶もぼんやりと蘇ってきたが、当時はどんなテナントが入っていたかはあまり思い出せなかった。
友人が仕事用の靴を買うため、営業中の看板を出している靴屋に向かった。

お買い得な商品に溢れた店内は意外と人が多く、普通のアウトレットと同じように賑わっていた。
そんな光景があっても、次に北海道を訪れた時にはこの場所はなくなっているのだろうと思うと、過去にたった1回だけ訪れた場所でも寂しく、名残惜しい気持ちが溢れた。

6年間住んだ土地の思い出に加え、7年という長い空白のおかげで、さまざまな風景やものの変化や発見を得ることができた。
また、「旅行」とは行ったことのない施設や土地に行くことだと思っていたが、かつて行ったことがある場所にもう一度行ってもいいと自分の考えを広げることもできた。
毎日少しずつ起きている身の回りの変化にも気付けるようになりたい。
(しは)

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