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手術

 12月になったら、猫のチョボに避妊手術を受けさせる手はずになっていた。家から外に出て行って、一晩中帰ってこないことも度々になってきたので、いつの間にか孕んでしまったら大変だと、獣医との約束通り連れて行った。
 この猫は殺処分される寸前のものを拾って来たようなものだったから、家に来た時は本当にひどい状態だった。痩せさらばえ、まさに骨と皮の状態で、見るも無残だった。その上、体中にノミが巣食っていて、すぐに何度も洗ってやったが、きれいになるまでにはかなりの時間がかかった。しかも、鼻に障害があるようで、やたらくしゃみを連発する。ひどい時は1分くらいずっとくしゃみを続け、鼻水を周囲に撒き散らす。顔を見ても鼻の周りが茶色くなっていて、お世辞にも可愛いとは言い難い・・。
 そんな猫でも、縁あって我が家にやってきた以上、家族の一員だ。一応の世話を焼いているうちに体全体が丸々してきた。


 これは手術前夜の写真。これを最後に手術まで絶食となった。ミャ―ミャ―うるさかったが、我慢してお腹をすかせた状態で獣医まで連れていった。オス猫の去勢手術なら日帰りでいいだろうが、メス猫の場合は一晩入院しなければならないだろうと思っていたが、案に反して日帰りできるのだそうだ。事実、11時半くらいに連れて行って、「手術が無事終了しました」と獣医から電話があったのが2時頃。実にはやい!でも、獣医が説明したところによると、チョボの卵巣と子宮はかなり小さくて、妊娠はたぶんできなかっただろう、それは生まれてすぐの環境が劣悪で、発育不全だったのが原因と思われる、とのことだった。この話を聞いたときは、チョボの哀れな境遇に同情したが、今こうやって生きていられるだけでもチョボは幸せ者かな、とも思った。チョボと一緒にケージの中で鳴いていた兄弟たちはとっくの昔に死んでいるだろうから、生きているだけでも儲けものかもしれない・・。

 塾が終わって家に帰ったら、椅子の上でチョボが寝ていた。


 獣医から独りで引き取ってきた妻から、ちょっとした説明を聞きながら、チョボの様子を見ていたら、まだ麻酔が切れていないようで、あまり痛そうではないようだった。舐めてもいいとかで、手術箇所に特別ガーゼが当ててあるようなこともなく、手術跡もむき出しらしい。傷跡とかを見るのが大の苦手の臆病者の私では、とても正視に耐えられないだろうと、傷跡を見ることもしなかったが、妻は動物病院でチョボから取りだされた子宮を見せてもらったそうだ。なんて豪胆・・。
 しばらく見ていたら、私の気配に気付いたのか、ゆっくりと起き上がって椅子からそっと下りた。ゆっくり歩き出したので、「チョボ!」と声をかけたら、ちょこんと座ってポーズを決めてくれたので、写真に収めた。まあ、なんてけなげ・・。


 傷口は時間が治していってくれるだろう。今は痛いかもしれないが、もうこれでどれだけ外で遊んできても、誰も何も言わないよ。腹いっぱい食べて、元気に遊んで、疲れたら家でゴロゴロしてくれ。もっともっと大きくなれよ!!
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