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「雨ニモマケズ」

 東日本大震災が起こってから2週間が経った。被災された方々の避難所での暮らしの様子が連日放送されているが、困難な毎日であるはずなのに、決して弱音を吐かず、お互いを思いやり、助け合いながら、秩序立った集団生活を送っておられる姿をかいま見るたびに、遠く離れて安穏な毎日を過ごしている自分が恥ずかしくなる。私のように大災害に遭ったことのない者には、あまりに辛い報道が多く、そこから逃げ出したくなってしまうことも度々だが、明日は我が身かもしれないと思い直して、できる限り目を背けないようにせねばならないと、いつも自戒している。
 しかし、こんな限界状況でも、避難所で暮らす人たち、被災した人たちは、どうしてこんなにも人間としての尊厳を保ち続けていられるのだろう。尊敬の念を持ちながら、TVやラジオを通じて流れてくる被災された方々の肉声を聞きながら、いつ頃からか、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」がオーバーラップしてくるようになった。


           「雨ニモマケズ」
         雨ニモマケズ  風ニモマケズ
         雪ニモ  夏ノ暑サニモマケヌ
         丈夫ナカラダヲ  モチ
         慾ハナク  決シテ瞋(イカ)ラズ
         イツモシズカニワラッテイル
         一日ニ玄米四合ト  味噌ト
         少シノ野菜ヲタベ
         アラユルコトヲ
         ジブンヲカンジョウニ  入レズニ
         ヨク  ミキキシ  ワカリ
         ソシテ  ワスレズ
         野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
         小サナ萱ブキノ  小屋ニヰテ
         東ニ病気ノコドモ  アレバ
         行ッテ看病シテヤリ
         西ニツカレタ母アレバ
         行ッテ  ソノ  稲ノ束ヲ負ヒ
         南ニ  死ニソウナヒトアレバ
         行ッテ  コワガラナクテモイヽトイヒ
         北ニ  ケンクヮヤ  ソショウガアレバ
         ツマラナイカラ  ヤメロトイヒ
         ヒドリノトキハ  ナミダヲナガシ
         サムサノナツハ  オロオロアルキ
         ミンナニ  デクノボウト  ヨバレ
         ホメラレモセズ  クニモサレズ
         ソイウイウモノニ  ワタシハ  ナリタイ

 
 今読み直しても胸が熱くなる。
 東北の人たちは決して負けないだろう、必ず町や村を復興させることだろう。
 
 賢治の心を脈々と受け継ぐ東北の人々に、一日も早く日常生活が戻ってくるよう衷心より祈るのみ。
 もちろんできうる限りの支援はせねばならない!!
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