【1月5日投稿分】
正月の三ヶ日(盆三ヶ日と同義、ご先祖さんの帰省)には毎年、納骨堂参りに沢山の檀家さん達が参拝して参ります。ご先祖さんを敬うという心があるというは、いい事ですよね。今年の元日は、檀家の娘さん(20代)から事前(大晦日)に電話があって「父親に言い聞かせて下さい」と拙僧に懇願を。そこで拙僧、納骨堂参り後のその家族を本堂に呼んで、何気ない話をしながら、娘さんに懇願されていた話題へと徐々に移行していきました。
「昨年は、こんな話をする機会が何度かあったんですよね。まだその子は赤ん坊なのに、若い父親が『住職、この子(娘)が将来、誰かに奪われるのかと思うと、堪らんですよ。この子は、絶対に嫁には出しません』と、すっとぼけた事を。そこで、その若い父親に拙僧『自分は嘗て、義父から娘さん(奥さん)を奪っておきながら、自分は娘を奪われるが嫌とは、どういう事やねん。自分が他界する時、親のいなくなった60代の娘が、1人で晩年を生きていく姿を想像してごらん』とその若い父親に。更に続けて『拙僧にも娘が1人いて、昨年の2月に孫(男の子)をプレゼントしてもらったが、この娘が3年前、結婚したい男性がいます。東京からリモートで挨拶をしていいですか、と連絡が。その頃はまだ、コロナ禍真っ只中だったからね。映像で対面した時、誠実そうで、優しそうで、凄く雰囲気のいい方で、何の文句もなかったが、結婚後の娘を守る事を考えた時、親の手立てはただ1つ、この父親を怒らせたら怖い、の抑止力を与えておく事。そこで拙僧、心とは裏腹に、猫の子をやる訳じゃないからな、とリモート越しで娘の彼氏に。娘が言うには、暫くの間、猫の子、猫の子、と呟きながら、彼が怖がってたよ、との事。実はこのリモート対面の後に、家内から拙僧、なんて事を言うの、と無茶苦茶に怒られてね。娘に限らず、子供というは可愛いよ。幸せになってもらいたい、と思う親の心は皆共通のこと。だが、子供は親の所有物ではない、というを忘れちゃあかんよな。拙僧が何が言いたいかは、わかるよね』と、その若い父親に言ったんだよね。昨今では、こんな父親は減ってきた様な印象があったんですが、まだまだ、いるんですな、後先も考えず、娘を雁字搦めにしたいという父親が」と、元日に来られたその家族に。
後日(1月4日)、その檀家の20代娘さんから電話があって「私の父ですが、住職の話を聞いて帰った後、娘溺愛の態度(日常的に何をするにも娘を身近に置きたい)に少々変化が出てまいりました。折を見て、結婚したいと思っている彼氏を、父に合わせようと思います。実際、その場面に遭遇したら、父がどの様な態度をするかは未知数ですが、少しは期待が持てそうな気がします。本当に有難うございました」と、お礼の電話が。うまく事が運ぶといいですよね。
さて、1月1日は、石川県で大変な事が起きました。どの震災でもそうですが、地震が起きる数分前まで、そんな事がこれから起こるなど、恐らく誰1人も予測は。まさしくこの世は『一寸先は、闇』です。コロナもそうですが、縁という縁は全て、一旦受け入れて、乗り越えていくしかないですもんね。その他の天災も、事故も、病気も、人間関係(夫婦、親子、友人なども)も、どれもこれも『何で私だけが、こんな目に』と文句を言っても、嘆いても、どうなる訳でもないですもんね。わが寺の檀家さん達には拙僧、仏さんにご祈願するなら、細々としたものは願わず、『どんな縁がやって来ようと、受け入れて、乗り越えられる、強い心を私に授けて下さい』と、この1点を願いなっせ、と指導を。しかしながら、この寒い時期に、被災者の皆様には、何とも物の言い様がございません。
思えば、福岡沖地震、阪神淡路大震災、東北大震災、新潟地震、福知山脱線事故、9、11同時多発テロ(これ全て過去の法話で詳細に説明を)など、全てわが寺の檀家さんが、何かしらで絡んでおりました。皆、運良く命は助かりましたが、異口同音に「今ここに、命があるに、何不足」の類似言葉を、後に拙僧と対面された時に。
次回の投稿法話は、1月10日になります。