ゴルフの予定が雨のため延期となり、午前中はスイミングで、午後は読書と
なりました。
歌手で有名な さだ まさしさん最近は本もたくさん著し、毎日新聞コラムに
エッセイ「さだまさしの日本が聞こえる」を10年余も掲載し「まほろばの国で」
の著書となっています。楽しく読めます。
今日はエッセイでなく小説「眉山」を読んでみました。「眉山」と言うのは四国
の徳島にある山の名です。パーキンソンの上、多臓器癌の母とその娘の物語
です。冒頭から亡くなった母の献体後の慰霊祭(徳島の大学病院)から始まる
のですが、ここまでたどり着くまでの母の生きざまに感動させられました。
母はかつて「神田のお龍」といわれた気風のよい料理屋の女将で、娘は、
父は死んだと聞かされていたが、事実は結婚は出来なかったけれど、大好き
な人の子として産んだ。自分のエゴのために産んだからには、一人で頑張って
育ててきた。
60歳を過ぎてからパーキンソン病になり郷里の徳島 眉山の見えるケア
ハウスへ(娘の重荷にならぬように)と入居、そして亡くなるまでの癌とのたた
かい、ある時若い医師と看護士の不用意な言葉を耳にし啖呵を切った。
その言葉「やい!若造!”神田のお龍”ばばあになったとて江戸っ子だい。
粋が命だい。どうせ直ぐにベッドが空くからちょっとの辛抱だって?生命へ
の敬意も年寄りへの感謝も無いとは。」と、
そして啖呵を切った後は、丁寧な言葉で、
「私ども患者は病院へ入ってしまうと 先生方が頼りです。弱い者です。
どんな卑屈な思いで先生方の顔色を伺い気遣っているか、想像だにしな
いでしょう。心あり才能ある若者がどこで去勢され、歪んでいくのか、嘴の
黄色い頃から、先生様と頭を下げられることしか知らなくては、人格者でなく
ともおかしくなるも 道理かも・・・しかしこの世に生きる者同志、命の重さは
お互いと、平等にお診たてくださるように。」と言う。
このときの若い医者も後で陳謝し目を覚ましたのです。
自分で献体の申し込みもし、最後まで凛として生きた「お龍さん」、自分の
身の始末まできちんとしていったのです。
「献体」をテーマに現代の医療の在り方も突いています。一人の女性の生き方
を通して・・・・・ (献体も今はホルマリン漬けではないようです)
徳島で映画化 松嶋奈々子さん 宮本 信子さん 主演
5月12日 全国一斉 封切されました。