◆茜色に焼かれる◆

　今日のシネマ　

2021年　日本

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7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母と子。

母の田中良子はかつて演劇に傾倒していたことがあり、芝居が得意だった。

ひとりで中学生の息子・純平を育て、夫への賠償金は受け取らず

施設に入院している義父の面倒もみている。

コロナ禍により経営していたカフェが破綻し、

花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、

そのせいで息子はいじめにあっている。

そんな彼女たちが最後まで絶対に手放さないものがあった。

社会的弱者として世の中の歪みに翻弄されながらも信念を貫き、

たくましく生きる母の良子を尾野が体現。（映画comより）

 

 

この作品の主人公である良子は、これでもか！というほどの苦労を背負っている

自転車に乗っていた夫（オダギリジョー）が車に轢かれて亡くなるのだけど

「謝罪の言葉が一言もなかった。何でもお金で解決しようとするその姿勢が許せない」　

という理由で、良子は賠償金の受け取りを拒否

加害者は、認知症の疑いがある元官僚の男性で

ブレーキの踏み間違いによって事故を起こした・・って これはまるで

記憶に新しいあの池袋で起きた事故を連想させる

 

コロナ禍で経営していたカフェは破綻、

脳梗塞で施設に入っている義父の入居費を払い、

なんと、夫が別の女性の間につくった娘の養育費まで払っている・・

この点は 全く以って 私には理解不能でした

結果、家計は火の車で、ホームセンターの花売り場の収入だけでは賄えず

風俗でも働いている良子・・・

 

どうみたって救いようがない状況に　見ているこちらの方の心が折れそうになる

しかーし、良子は言います

「まあ、頑張りましょ」

 

息子と風俗店の店長以外、出てくる男どもが最低なクズばかり

しかも息子はいじめに合っている・・

私はどんどん落ち込みました

が、良子は言います

「まあ、頑張りましょ」

 

もう一人、容赦ない不幸を背負っているのが風俗店の同僚の ケイ

こっちの状況もまあ、酷かった

あきらめることを受け入れないこの二人の女性の、

なんとしても生きようとする姿が痛々しい、そして逞しくさえ思ってしまった

 

良子は芝居に傾倒している

だから　「まあ　頑張りましょ」　は　

彼女の中の女優が言わせた言葉なのかな

 

息子の純粋さが救いでした

店長が思ったよりもいい人でそれも救われた

そういういくつかの救いがあってからの

最後の最後のシーン・・・

 

！！！

 

口があんぐり

あれ見たら　もうどうでもよくなった　笑

すごいよ、良子

 

そのすごい良子は 尾野真千子　すごいよ、真千子

ケイ　には　片山有希、息子の純平には　和田庵

風俗店の店長には 永瀬正敏

 

コロナで人々の生活は変わりました

きっとどこかに良子やケイみたいに

辛酸を舐めている人がいるんだろうなと思うと 心が疼きました

「まあ　頑張りましょ」

・・・なんて軽々しく言えない

 

 

2022-7