聖書はエネルギーの取り扱いを教える書ではありませんが、興味深い次の言葉が、聖書の巻末の啓示の書に記されています。「・・・地を損なっている人々が滅ぼされる時」です、と記されています（啓示１１：１８）。この「地を損なう」とは、「環境破壊」と考えて良いようです。
現在の私たちの生活の中で電気・電力は生活に欠かせないものであり、いつでも安定的に安全に使用できるようになっているありがたいエネルギーです。これらの電力は、主に火力発電所、水力発電所、原子力発電所、地熱、再生エネルギー発電等々があり、事故時の復旧費用を含まなければ発電単価は原子力が最も安くなっています。そのため経済優先の考えに立つ人たちは原子力発電の再稼働と継続、新規建設を唱えます。
しかし、福島第一原発の事故に見られるように、一度事故が発生すると計り知れない環境破壊が生じ、周辺での安心、安全な生活は１０年経過しても取り戻せず、廃炉に向けた取り組みも４０年が必要とされ、その技術と安全性が確証されていません。
私がエンジニアの一人として原発の再稼働の取りやめや、廃止を願う理由は次の通りです。
１．上にも書きましたが、原発の廃炉に向けた技術と安全性は確証されていないこと。
２．原発の使用済み核燃料は、水で冷やし続け安全になる年数は、計算上１，２００年～１，３００年かかると言われ、その時、本当に安全であることの確証が出来ていない。そのため、使用済み核燃料であってもご自分の家の庭に置いて良い、という人はいないはずです。現に原発の使用済み燃料の保管場所の確保が出来ないのではないでしょうか。
３．火力発電設備と同じく、原子力発電所も同じく複合施設で成り立っている。各発電所は国によって事故を最小限にするために１年または２年に１度定期検査を受けることになっている。
４．しかし、その定検検査前に諸設備の事故を起こすことがある。この事実を電力会社と国の監督省庁はよく理解しているはずである。定検後万全を期し、再稼働し、わずか３６時間の運転で、事故が発生した火力発電所の事例もある。このように時と予見しえぬ不具合が残ることもある。
５，火力発電所も原子力発電所も同じ人間が設計している。しかも、設計、製作、検査、現地での建設、運転、維持管理には非常に多くの人が関与し、誰かの誤りが這い込む要素がある。そのため人間が設計製造するものに絶対安全ということはありません。
６．人間は完全ではなく不完全であるゆえ、原子力は安全いう論拠は成りたたない。誰でも知っている通り、人間の設計製造したものには、事故、不具合が生じ、かつ経年変化が進む。例えば自動車や家電製品のように品質が安定しているものでも、初期故障や保証期間内にも不具合が生じることがあります。
７．火力発電所の場合は、事故、不具合が生じても停止し、現物に触れ、原因究明を即行え、対策し、短時間で復旧できます。しかし、原発の場合、特に炉の不具合の場合、福島原発事故で分かっている通り、素早く原因を究明し対策を施せないばかりか、１０年経過しても復旧できない。このように原発は安全・安心の発電設備ではなく、事故時の環境破壊を含め、人間に危険な設備です。放射能は人間の目に見えないため、特に厄介な環境汚染物質です。
８．福島原発の事故後、日本国内の全原発を停止したが、火力、その他の再生エネルギー発電等々で、安定し電力が供給できた実績が既にあり、原発の再稼働は止めるべきであり、廃炉にし、真に安全な環境にすべきです。
以上
アラスカの「クジラ」
ー アラスカの写真家松本紀生氏の作品 ー
