コロナデルタ株の感染が爆発的に広がっている。感染者数、死亡者数が他の国と比べて少なかったのだが、急速に追いつきつつある。さらに天気は悪く、できることは本を読むことくらいしかない。2年前に「もしお隣がネアンデルタール人だったら?}(19.9.23のブログ)を書いたが、いわばこの続編となる話を書きたい。下の写真「主な人類」を見て欲しい。左上が私たち「ホモサピエンス」(「サピエンス」とは賢いという意味)で、全部で25種類以上いた人類の最後の種である。人類の祖先を大型の類人猿まで遡れば、1500万年前にその祖先は生きていた。そこからまずオランウータンの系統が分かれ、次にゴリラの系統、さらに700年前にチンパンジーの系統と分かれた。その人類の大祖先は「サヘラントロプス・チャデシス」、ここから人類の歴史は始まった。
主な人類 「絶滅の人類史」から
今回の種本は更科功「絶滅の人類史」ーなぜ「私たち」が生き延びたのか」。「ホモサピエンス」以下著者のように「ヒト」と呼ぶ。人類の祖先が何らかの理由で絶滅してしまったので、ヒトの最も近縁は「チンパンジー」ということになる。しかし、この近縁との溝は大きい。チンパンジーの脳は約390cc、一方ヒトの脳は1350cc。絶滅したネアンデルタール人は1550ccだった。人類の古い祖先ほど脳は小さく、チンパンジーと大差はなかったのだが、新しい祖先になると次第に脳が大きくなっていった。この脳が大きくなったことと直立二足歩行というのが、ヒトの女性に難産という困難をもたらした。ちなみに脳が大きいということと賢いということはつながっていないようである。小型のエンジンでも大きなパワーを生み出すことができるのに似ている。また、脳が大きいということは、それだけエネルギーを消費することになる。脳はその体重に占める割合は数パーセントなのにエネルギーの2割を消費する。ヒトは道具を作ったり、他のヒトとコミュニケーションやものごとの記憶をする。古い人類では道具(石器ですら随分あとに生み出された、細かい作業、忍耐が必要だからである)は使わず、ほとんど自然採集の生活を送っていた。今のチンパンジーの生態と大差はなく、森林、疎林で生活し、夜は肉食獣の捕食から逃れるために木の上で寝ていたようである。
雨の合間を見つけて城台山に登った 一心寺横の小さな神社に咲いていたタカサゴユリ(テッポウユリ)
人類の特徴として、直立二足歩行がある。この歩行、さらには走ることも進化の過程で上達してきた。なぜ人類は、この歩行をするようになったのか。この問いに答えるのは随分難しいようだ。チンパンジーなどは、手はもちろんのこと足を使って枝をつかむことができる。初期の人類では足の指が長かったようだが、手のように足を使うことはできなかった。例えば樹上の果物をとることはできても、チンパンジーなどと比べるとその能力は劣る。そうチンパンジーに食物獲得において人類は負けたのである。人類は森林を出て、疎林に暮らすことを強いられたのである。疎林、そして隣接する草原は果物などは乏しいので、その行動範囲は広くなる。さらには肉食をするようになる。最初の頃は、死んだ動物の肉を探した。そして、その見つけた食物を自分の家族や仲間に運んだ。運ぶためには、自由になる手が必要となる。これが直立二足歩行になった大きな理由だと著者は言う。ただ、直立二足歩行には大きな欠点がある。すなわち敵である肉食獣から逃げるのは、足が遅いから難しい。ウサインボルトでも最大スピードで時速44.6km、比較的足が遅いライオンでも80kmだから人類は食べられてしまう。このため集団を作ることとたくさん子どもを生むことができなければ絶滅してしまう。さらに人類は他の類人猿と比べると多産である。人類には年子はいるが、チンパンジーなどには年子はいない。子育ての方法も随分違う、他の類人猿は母親が育てるのに対し、ヒトは父親や他の親類、仲間も育児に協力する。そして人類は基本的に一夫一婦制だったと言われている。
ムクゲ
ネアンデルタール人は、ヒトより脳が大きく、肌は白く(メラニン色素が少ない)、ヨーロッパという高緯度の地域に住んでいた。ヒトに比べてがっしりとした体格であった。このためヒトより約1.5倍のエネルギーを必要とした。寒冷地への適応はある程度していたようだが、地球の寒冷化そしてヒトとの食物獲得競争に敗れたことがその絶滅と関係していると著者は言っている。ネアンデルタール人も槍は使っていたようだが、これでは遠くの獲物には届かない。ヒトは、投槍器を使い、離れた獲物を仕留めることができた。結局、ネアンデルタール人は、寒冷化とヒトの進出により約4万年前に絶滅した。
唯一生き残った人類の種ホモ・サピエンスすなわちヒトはこの先絶滅するのだろうか。ホモ・エレクトゥス、この系統でジャワ島に住んでいたのがジャワ原人(約160万年前から10万年前)と中国周口店で見つかったのが北京原人(約75年前)、(この二つは学校で習ったので特に懐かしい)は170万年生きた(脳の大きさは初期850cc、末期1200cc)。ヒトの歴史はまだ30万年程度だからまだしばらくは生き延びるかもしれない。脳はAIなどが一般化すればむしろ退化する、すなわち小さくなる可能性はある。ヒトは自分たちが住む環境を大きく変えてしまった。その結果が温暖化でありコロナの蔓延ということである。エレクトゥスのようには長く生存することはできそうもない。
主な人類 「絶滅の人類史」から
今回の種本は更科功「絶滅の人類史」ーなぜ「私たち」が生き延びたのか」。「ホモサピエンス」以下著者のように「ヒト」と呼ぶ。人類の祖先が何らかの理由で絶滅してしまったので、ヒトの最も近縁は「チンパンジー」ということになる。しかし、この近縁との溝は大きい。チンパンジーの脳は約390cc、一方ヒトの脳は1350cc。絶滅したネアンデルタール人は1550ccだった。人類の古い祖先ほど脳は小さく、チンパンジーと大差はなかったのだが、新しい祖先になると次第に脳が大きくなっていった。この脳が大きくなったことと直立二足歩行というのが、ヒトの女性に難産という困難をもたらした。ちなみに脳が大きいということと賢いということはつながっていないようである。小型のエンジンでも大きなパワーを生み出すことができるのに似ている。また、脳が大きいということは、それだけエネルギーを消費することになる。脳はその体重に占める割合は数パーセントなのにエネルギーの2割を消費する。ヒトは道具を作ったり、他のヒトとコミュニケーションやものごとの記憶をする。古い人類では道具(石器ですら随分あとに生み出された、細かい作業、忍耐が必要だからである)は使わず、ほとんど自然採集の生活を送っていた。今のチンパンジーの生態と大差はなく、森林、疎林で生活し、夜は肉食獣の捕食から逃れるために木の上で寝ていたようである。
雨の合間を見つけて城台山に登った 一心寺横の小さな神社に咲いていたタカサゴユリ(テッポウユリ)
人類の特徴として、直立二足歩行がある。この歩行、さらには走ることも進化の過程で上達してきた。なぜ人類は、この歩行をするようになったのか。この問いに答えるのは随分難しいようだ。チンパンジーなどは、手はもちろんのこと足を使って枝をつかむことができる。初期の人類では足の指が長かったようだが、手のように足を使うことはできなかった。例えば樹上の果物をとることはできても、チンパンジーなどと比べるとその能力は劣る。そうチンパンジーに食物獲得において人類は負けたのである。人類は森林を出て、疎林に暮らすことを強いられたのである。疎林、そして隣接する草原は果物などは乏しいので、その行動範囲は広くなる。さらには肉食をするようになる。最初の頃は、死んだ動物の肉を探した。そして、その見つけた食物を自分の家族や仲間に運んだ。運ぶためには、自由になる手が必要となる。これが直立二足歩行になった大きな理由だと著者は言う。ただ、直立二足歩行には大きな欠点がある。すなわち敵である肉食獣から逃げるのは、足が遅いから難しい。ウサインボルトでも最大スピードで時速44.6km、比較的足が遅いライオンでも80kmだから人類は食べられてしまう。このため集団を作ることとたくさん子どもを生むことができなければ絶滅してしまう。さらに人類は他の類人猿と比べると多産である。人類には年子はいるが、チンパンジーなどには年子はいない。子育ての方法も随分違う、他の類人猿は母親が育てるのに対し、ヒトは父親や他の親類、仲間も育児に協力する。そして人類は基本的に一夫一婦制だったと言われている。
ムクゲ
ネアンデルタール人は、ヒトより脳が大きく、肌は白く(メラニン色素が少ない)、ヨーロッパという高緯度の地域に住んでいた。ヒトに比べてがっしりとした体格であった。このためヒトより約1.5倍のエネルギーを必要とした。寒冷地への適応はある程度していたようだが、地球の寒冷化そしてヒトとの食物獲得競争に敗れたことがその絶滅と関係していると著者は言っている。ネアンデルタール人も槍は使っていたようだが、これでは遠くの獲物には届かない。ヒトは、投槍器を使い、離れた獲物を仕留めることができた。結局、ネアンデルタール人は、寒冷化とヒトの進出により約4万年前に絶滅した。
唯一生き残った人類の種ホモ・サピエンスすなわちヒトはこの先絶滅するのだろうか。ホモ・エレクトゥス、この系統でジャワ島に住んでいたのがジャワ原人(約160万年前から10万年前)と中国周口店で見つかったのが北京原人(約75年前)、(この二つは学校で習ったので特に懐かしい)は170万年生きた(脳の大きさは初期850cc、末期1200cc)。ヒトの歴史はまだ30万年程度だからまだしばらくは生き延びるかもしれない。脳はAIなどが一般化すればむしろ退化する、すなわち小さくなる可能性はある。ヒトは自分たちが住む環境を大きく変えてしまった。その結果が温暖化でありコロナの蔓延ということである。エレクトゥスのようには長く生存することはできそうもない。
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