今年4月こども家庭庁が発足する。これまで我が国は様々な少子化対策を行ってきたが、残念ながら出生率は現在1.3と上昇する気配はない。そこで新たな組織を作って総合的に少子化対策を行おうとしているが、果たしてその成果や如何。まずは日本の人口の推移を簡単におさらいしておこう。現在大河ドラマの主人公徳川家康の生きていた時代は1227万人(1603年徳川幕府成立)であった。この後、新田開発が盛んに行われたこともあり、1716年には3128万人に達した。しかし、その後新たな新田を開発することができなかった、天候不順による飢饉などもあり、人口は伸び悩み明治維新(1868年)のときに3330万人と150年の間、人口はほとんど増えなかった。明治になり、人口は急激に増え、2004年には12,784万人と最高を記録した。その後、まるで時代を遡るかのように人口は減少しつつある。
日本の人口推移
ここで、少しおじさんの生まれた1949年あたりに注目してみたい。第一次ベビーブーム(47年~49年)の最終年であり、その年生まれたのは269万6638人(出生率4.32)で、現在の3倍より多い。そして、おじさんたちの子どもともいうべき1971年~74年が第二次ベビーブーム。普通にいけば、第三次が2000年前後に起きていてもおかしくなかったのだが、出生率の低下(74年で2.04)や就職氷河時代とも称される若者の状況(結婚したくともできない)などがあり、起こらなかった。さらにおじさんの生まれる年の前年に優生保護法が成立した。この法律は、経済的理由による中絶を世界に先駆けて認めた法律であり、1950年から中絶件数が急増(出生総数の7割にのぼった)し、戦後のベビーブームを終わらせる原因となった。現在でも2割前後に達している。もし、この法律がなければ、現在の状況は大きく変わっていた可能性があるのである。今は一般的に死亡率(特に乳児死亡率)を下げることはできる(経済が発展した国では既に下げ止まっている)が出生率を上げることはかなり困難であると言われている。
ここで世界に目を転じてみよう。現在1億人以上の人口をようする国は、14カ国となっている。2022年現在世界全体では79億5400万人で、おじさんが習った(中学校?)のは確か27億人だったから、3倍近くになったことになる。ではこの先どうなるのか。ここから平野克己著「人口革命ーアフリカ化する人類」によって話を進める。すでに大部分の国は人口増加率が減りつつあるが、アフリカに限り、人口増加率は2.5%(2019年予測、計算上28年前後で2倍になる)となっている。このまま増えると、2087年アフリカの人口は人類の半分に達するというのが表題の意味である。
2027年頃インドが中国を抜くという予測
ロシアの現在の苦境は人口が減り続けていることもある。かつては高い出生率を持っていたが、第一次大戦とロシア革命で総人口の14%、第二次大戦で20%を失った。ちなみに日本は第二次大戦で4%。
アメリカはイングランドなど欧州から大量の移民を集め、19世紀初頭には人口増加率は3%を超え、イギリスに変わり覇権国となった
※出生率の謎
出産が母体の危険を伴う著しい苦痛を伴うにもかかわらず、なぜ人類は頻繁な出産を繰り返してきたのか。説明の一つとして、近代まで児童労働は農業においても家事においても不可欠だったことである。今は育児に多くの時間を要するようになり、かつての収入項目から支出項目に移り、低下した。
下記の世界人口増加率を見るとわかるように1700年あたりに人口は増えだしている。人口革命(人口増加率が1%を超えること)はブリテン島から始まった。イングランドでは、天災や疫病による突発的人口喪失が収って、死亡率の変動幅が小さくなり、それと同期して出生率が向上した。1720年頃イングランド全域で初婚年齢が低下した。人口増加を支えたのは食糧生産力の向上とその後のアメリカからの食糧の大量輸入の開始であった。
世界の人口増加率推移
世界の人口推移
アフリカの人口がなぜ増え続けるかをみてみよう。(まず、アフリカ各国の人口捕捉力は極めて低いことに注意する必要がある。出生数についてデータがない国が3(全54カ国中)だが、死亡数となると30カ国となる。このため人口増加率の予測が極めて難しいことになる。)かつてアフリカで猖獗を極めたHIV/AIDSの治療が可能となったことにり死亡率が低下したが、出生率が他の国のように低下していないことである。その理由として、生産性は低いが耕地面積の継続的拡大が起こっていることである。この拡大を支えているのが、高い出生率であり、アフリカ人が何人の子どもを望んでいるかの質問に対し、41カ国中20カ国で6人以上というのが最も多くなっていることである。耕作地の増加は物理的に限界があることから、果たしてこのアフリカの人々の食糧を今後まかなうことができるかがアフリカ人さらには人類にとって大きな課題となる。
最後に有名なマルサスの人口論とそれに基づくマルサスの主張を紹介しておこう。
「人口は幾何級数的に増加するが食糧は算術級数的にしか増加しない」
「貧困は一種の自然現象であって、社会制度の欠陥によるものではない、禁欲、早婚の禁止が必要である」
前者については「緑の革命」(1960年代~70年代に行われた品種改良による穀物類の増産などによって解決された(もちろん今後はわからない)。後者は日本を始め世界で晩婚化が進んでいるので禁止する必要はないであろう。
日本が戦後急速に経済成長できた理由が大幅な人口増加であったとするならば、現在の日本がなぜ低迷するのかはおのずと明らかである。もちろん日本人であるから、なんとかして欲しいという気持ちは人並み以上にあるのだが。
日本の人口推移
ここで、少しおじさんの生まれた1949年あたりに注目してみたい。第一次ベビーブーム(47年~49年)の最終年であり、その年生まれたのは269万6638人(出生率4.32)で、現在の3倍より多い。そして、おじさんたちの子どもともいうべき1971年~74年が第二次ベビーブーム。普通にいけば、第三次が2000年前後に起きていてもおかしくなかったのだが、出生率の低下(74年で2.04)や就職氷河時代とも称される若者の状況(結婚したくともできない)などがあり、起こらなかった。さらにおじさんの生まれる年の前年に優生保護法が成立した。この法律は、経済的理由による中絶を世界に先駆けて認めた法律であり、1950年から中絶件数が急増(出生総数の7割にのぼった)し、戦後のベビーブームを終わらせる原因となった。現在でも2割前後に達している。もし、この法律がなければ、現在の状況は大きく変わっていた可能性があるのである。今は一般的に死亡率(特に乳児死亡率)を下げることはできる(経済が発展した国では既に下げ止まっている)が出生率を上げることはかなり困難であると言われている。
ここで世界に目を転じてみよう。現在1億人以上の人口をようする国は、14カ国となっている。2022年現在世界全体では79億5400万人で、おじさんが習った(中学校?)のは確か27億人だったから、3倍近くになったことになる。ではこの先どうなるのか。ここから平野克己著「人口革命ーアフリカ化する人類」によって話を進める。すでに大部分の国は人口増加率が減りつつあるが、アフリカに限り、人口増加率は2.5%(2019年予測、計算上28年前後で2倍になる)となっている。このまま増えると、2087年アフリカの人口は人類の半分に達するというのが表題の意味である。
2027年頃インドが中国を抜くという予測
ロシアの現在の苦境は人口が減り続けていることもある。かつては高い出生率を持っていたが、第一次大戦とロシア革命で総人口の14%、第二次大戦で20%を失った。ちなみに日本は第二次大戦で4%。
アメリカはイングランドなど欧州から大量の移民を集め、19世紀初頭には人口増加率は3%を超え、イギリスに変わり覇権国となった
※出生率の謎
出産が母体の危険を伴う著しい苦痛を伴うにもかかわらず、なぜ人類は頻繁な出産を繰り返してきたのか。説明の一つとして、近代まで児童労働は農業においても家事においても不可欠だったことである。今は育児に多くの時間を要するようになり、かつての収入項目から支出項目に移り、低下した。
下記の世界人口増加率を見るとわかるように1700年あたりに人口は増えだしている。人口革命(人口増加率が1%を超えること)はブリテン島から始まった。イングランドでは、天災や疫病による突発的人口喪失が収って、死亡率の変動幅が小さくなり、それと同期して出生率が向上した。1720年頃イングランド全域で初婚年齢が低下した。人口増加を支えたのは食糧生産力の向上とその後のアメリカからの食糧の大量輸入の開始であった。
世界の人口増加率推移
世界の人口推移
アフリカの人口がなぜ増え続けるかをみてみよう。(まず、アフリカ各国の人口捕捉力は極めて低いことに注意する必要がある。出生数についてデータがない国が3(全54カ国中)だが、死亡数となると30カ国となる。このため人口増加率の予測が極めて難しいことになる。)かつてアフリカで猖獗を極めたHIV/AIDSの治療が可能となったことにり死亡率が低下したが、出生率が他の国のように低下していないことである。その理由として、生産性は低いが耕地面積の継続的拡大が起こっていることである。この拡大を支えているのが、高い出生率であり、アフリカ人が何人の子どもを望んでいるかの質問に対し、41カ国中20カ国で6人以上というのが最も多くなっていることである。耕作地の増加は物理的に限界があることから、果たしてこのアフリカの人々の食糧を今後まかなうことができるかがアフリカ人さらには人類にとって大きな課題となる。
最後に有名なマルサスの人口論とそれに基づくマルサスの主張を紹介しておこう。
「人口は幾何級数的に増加するが食糧は算術級数的にしか増加しない」
「貧困は一種の自然現象であって、社会制度の欠陥によるものではない、禁欲、早婚の禁止が必要である」
前者については「緑の革命」(1960年代~70年代に行われた品種改良による穀物類の増産などによって解決された(もちろん今後はわからない)。後者は日本を始め世界で晩婚化が進んでいるので禁止する必要はないであろう。
日本が戦後急速に経済成長できた理由が大幅な人口増加であったとするならば、現在の日本がなぜ低迷するのかはおのずと明らかである。もちろん日本人であるから、なんとかして欲しいという気持ちは人並み以上にあるのだが。
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