醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  790号  白井一道

2018-07-13 11:00:59 | 随筆・小説


  鳥取の名酒「諏訪いずみ」を楽しむ


侘助 今日の酒塾、唎酒は唎酒でも趣向を変えて、美味しいと感じたことを言葉で表現をする。その言葉の表現を競うというのはどうかな。
呑助 どこの酒を唎酒するんですか。
侘助 鳥取のお酒なんだ。
呑助 鳥取というと何か、めぼしいお酒があるんですか。
侘助 鳥取というと智頭(ちず)の「諏訪泉」、鳥取市にある「日置桜」、それから境港の「千代むすび」が有名かな。
呑助 境港というと、水木しげるの生まれ故郷です
よね。
侘助 そうなんだ。漫画「ゲゲゲの鬼太郎」を書いた水木しげるの故郷が境港かな。
呑助 今日はどの酒を唎酒するんですか。
侘助 境港の「諏訪いずみ」の酒を唎酒して、一番気に入った酒を言葉で表現してもらう。その後、誰の表現が一番良かったか、皆で手を上げ、一番手の上がった人が一位ということにしては、と考えているんだがね。「諏訪いずみ」の五本の酒は試供品だから、全部飲むことはできないんだがね。
呑助 そりゃ、いいですね。
侘助 「諏訪いずみ」の酒を唎酒したら、今日は四本の酒をマッチングしようと思っているんだ。
呑助 時間が大丈夫ですかね。
侘助 時間が難しそうだったら、四本の酒を飲み比べ、「水芭蕉」の酒、二本と「雪の茅舎」「美冨久・三連星」を楽しみましょう。
呑助 そうですね。今日のポイントは「千代むすび」ですね。
侘助 初めて飲む人が多いんじゃないかと思うんだ。今は取り扱ってはいないんじゃないかと思うんだけれども、川間の中田屋酒店さんが昔、取り扱っていた。その後は同じ川間のマコト酒店が「千代むすび」の酒を扱っていたから、「千代むすび」の酒に親しんだ方がこの中にもいるかもしれないよ。
呑助 マコト酒店が主催していた「本物の酒を楽しむ会」ですか。
侘助 うん、きっと「本物の酒を楽しむ会」に出品されたことがある酒なんじゃないかなと思うけれどね。
呑助 その会を私は知りませんけれどね。
侘助 今は昔のことになってしまったよ。野田には「吟醸酒を飲む会」という飲ン平の会もあったらしいから、そこで楽しんだことがあったかもしれない酒が「千代むすび」の酒なんだ。
呑助 いろいろ同好の士の集まりがあったんですね。
侘助 それもこれも、みな特定名称酒という上級酒が普及した結果なんだと思う。特級酒より美味しい二級酒の出現が特定名称酒を生み、日本全国の吟醸酒を飲み比べ、楽しむ吟醸酒メッセが東京赤坂プリンスホテルで開催されるようにもなったからね。また酒場詩人の吉田類の「酒場放浪記」がテレビ放送されるようになったのはいつからなのかな。もう何年も放送しているからね。ノミちゃんは見たことあるかい。
呑助 へぇー、そんな番組あるんですか。
侘助 日本全国の酒蔵の社長たちはほとんど皆、この番組を見ているらしいよ。うちの蔵の酒が飲まれていたというと何かしら、励みになるみたいらしい。