醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  801号  白井一道

2018-07-25 11:08:32 | 随筆・小説


  明治150年に思う


句郎 戦後日本の国体というものを形作ったのはアメリカ政府なんじゃないのかな。
華女 戦後日本の政治体制をアメリカの意向に従って形作ったのが吉田茂や岸信介という人々だったということなのね。
句郎 岸信介はアメリカの意向に従ってA級戦争犯罪人として断罪されながら無罪放免されているからね。吉田茂もアメリカの意向にそって日本の政治を行ったようだから。孫崎享さんの『戦後史の正体』を読んでそんな感想を持った。
華女 そんな時代があったのね。
句郎 韓国政府がアメリカの手先としてベトナム戦争に協力させられたようにね。
華女 731部隊の隊長であった石井四郎も戦争犯罪人として訴追されることなく、放免されているんでしょ。
句郎 中国民間人に細菌の生体実験をして、殺した石井細菌部隊の責任者だよね。隊長はじめ幹部たちも戦争犯罪人として訴追されることなく、無罪放免になっているからね。
華女 連合国はなぜ石井細菌部隊を訴追することなく、放免したのかしら。
句郎 石井細菌部隊の研究成果のすべてを米軍に提供したようなんだ。その結果、米軍は石井細部隊
は訴追を免れたようだよ。
華女 米軍と戦った日本軍人たちは敗戦すると米軍に命乞いをしたのね。
句郎 悲しい話だよね。日本人としての自尊心というか、誇りのようなものがない人々だったのかもしれないな。
華女 官僚とか、軍人という人々には、その時々の強い者に付き従うという傾向があるのかもしれないわよ。そうすることによって出世できると考えているのかもしれないわ。
句郎 米ソ冷戦、中国封じ込め政策の最前線基地として日本を利用するには岸信介を戦争犯罪人として処刑するわけにはいかなかった。石井四郎の戦争犯罪も免責にした。こうしてアメリカは米ソ冷戦に立ち向かったということなんじゃないかと思うんだ。
華女 米ソ冷戦の影が戦後日本政治に大きな影響を与えていたということなのね。
句郎 ソ連の指導者であったスターリンに大きな問題があったように思うんだ。それは独ソ不可侵条約だ。第二次世界大戦は1939年、ドイツのポーランド侵略が始まりだといわれている。ドイツヒトラー軍がポーランドに侵攻したのが1939年9月1日だ。その直前の1939年8月24日早朝、ソビエト連邦とドイツは期間10年の独ソ不可侵条を調印している。この条約には秘密議定書がある。その内容はバルト三国、エストニア、ラトビアおよびリトアニアの三国をソ連が併合することをドイツは認めている。またソ連は同年フィンランドへも侵攻しているからね。これはスターリンの膨張政策だった。米ソ冷戦というのはアメリカの覇権主義とソ連の覇権主義が戦った冷たい戦争だったのかもしれない。特にソ連の覇権主義は冷酷だった。今の北朝鮮を見るとその冷酷さのようなものがわかる。だからといって、アメリカの覇権主義が優しいものであったということはいえない。ベトナム戦争中、アメリカはベトナムの密林に大量の枯葉剤を散布した。その結果が二重体児や目のない子供が生れているというからね。
華女 戦争は人を不幸にするわね。