12日放映されたNHK番組で、志位委員長は中東への自衛隊派兵について、「事態が悪化した根本はトランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことです。そのトランプ政権がよびかけた『有志連合』に事実上、呼応する形で自衛隊をだすことになると、軍事的緊張をいっそう悪化させることになる。『自衛隊を出すのではなく、トランプ政権に対して、イラン核合意に復帰せよ』と求める外交活動こそ必要です」強調しました。
中東派兵の自衛隊の情報収集活動地域は、「オマーン湾、アラビア海北部及びバブルマンデブ海峡東側のアデン湾の3海域の公海(沿岸国の排他的経済水域を含む)」(「閣議決定」12月27日)です。
この海域は、ホルムズ海峡を除いてほぼ「有志連合」の作戦海域と一緒です。同海域では、駆逐艦やフリゲート艦など船体の大きい艦船が要衝を監視し、小型船が海域を巡回。空中からも船の流れを点検する計画です。
そして、これらの海域周辺には、バーレーンに米海軍第5艦隊司令部(7000人)、カタールには、米中央軍前線司令部(17000人)の2つの司令部が設置されるなど、5万人規模の米軍戦闘部隊が駐留し、4000人規模の増派も予定されています。また、アラビア海には、空母ハリー・トルーマン打撃軍が派遣され作戦任務を遂行中です。
こうした準戦時態勢下の海域に自衛隊のP3Cや護衛艦「たかなみ」が派遣されることは、いくら日本政府が「独自の取り組み」と言っても、その行動は、「有志連合」の指揮下で行うことにならざるを得ないでしょう。自衛隊が、「独自活動」を行うことは、「有志連合」全体の作戦行動の障害になってしまうことは、軍事上のj常識ではないでしょうか。
安倍政権は、自衛隊の派遣を「調査・研究」のためだ、と強調していますが、仮にそうだとしても、『海賊対処」の行動とは、全く違う事態のなかの「軍事行動」であるとうことです。
軍用機・艦船による「調査研究」という、「哨戒、偵察、監視活動」は軍事行動そのものです。相手側からは、当然、「警戒・攻撃」対象になります。
安倍政権は、自衛隊の現地・中東地域での活動が、どのような危険が伴うのものなのか、犠牲者が出るようなことはないのか。何よりも、日本が中東地域の平和のためにできる貢献とは何か。
20日から始まる国会で徹底した審議を行い、自衛隊の中東派兵を中止し、徹底した対話と外交による平和への道を切り開いていくことが何より重要だと思います。
今朝(10日)のネットニュースに励まされています。
【AFP=時事】は、次のように報じています。
「米下院は9日、ドナルド・トランプ大統領のイランに対する軍事行動を制限する決議案を賛成224、反対194で可決した。議員らは、議会の戦争遂行権限をホワイト・ハウスから奪還することを目指している。決議案は、議会の承認がない限り、大統領がイランに対する軍事行動を取ることはできないとする内容で、法的拘束力はない」
「トランプ氏がイランのカセム・ソレイマニ司令官の殺害を命じ、イランが報復としてイラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃するなど、両国間の緊張が高まり、戦争に発展する懸念が生じていた」
トランプ米大統領が8日、行った国民向け演説は、「米兵の死者・負傷者が出ていないことを理由に、軍事的応酬を行わない姿勢を示しました。
「『(報復されたら)直ちに激しく攻撃する』というこれまでの方針を転換した形です」(「しんぶん赤旗」=ワシントン=遠藤誠二)
同記者の記事で注目したのは、米議会議員の発言です。以下、紹介します。
「ー ポール上院議員(共和)= 戦争を避け米軍を中東地域から帰還させ、平和と繁栄にむけてともに取り組むべきだ」
「ー 初のイスラム教徒女性の連邦議員となったー イルハン・オマル下院議員(民主)は、イラン国民の困窮をさらに招くと指摘し『制裁は経済的な戦争だ』と強く反対しています」
「- 2001年アフガニスタン軍事力行使の決議に上下両院合わせてただひとり反対した バーバラ・リー下院議員(民主)は『確かなことは、今回の危機を招いた責任はトランプ大統領にあるということだ。彼は就任1日目から外交を無視してきた』と厳しく批判します」
「ー ファインスタイン上院議員(民主)は『外交を開始する時だ。他のすべては意味をなさない』と断言します」
前記の米下院の大統領の軍事行動制限決議の採択は、こうした議員の活動の反映だと思います。そして、議員の活動を支えているのが、全米各地の米国市民の戦争に反対する運動ではないでしょうか。
日本でも、市民と野党が国会内外で共同のたたかいを発展させ、中東への自衛隊派兵を中止させることがいよいよ重要になっています。