日本共産党の志位和夫委員長は29日、衆議院本会議で菅首相への代表質問に立ちました。質問が終わった後の記者会見で、次ぎのように答えました。以下、「しんぶん赤旗」30日付より紹介します。
「日本学術会議推薦会員候補任命拒否問題で『答弁の体をなしていない』『ことことぐ答弁不能に陥っている』と指摘しました。また、首相が、公務員の選定罷免権が国民にあると定めた憲法15条1項を『根拠』に”すべての公務員の選定罷免権はわれにあり”ともいうべき主張を行ったことについて、『内閣総理大臣が国民の権利を簒や奪(さんだつ)しようとしている。『独裁国家への宣言だ』と痛烈に批判しました。
★「簒奪」(さんだつ)の意味 本来君主の地位の継承資格が無い者が、君主の地位を奪取すること。本来その地位につくべきでない人物が武力や政治的圧力で君主の地位を譲ることを強要するという意味合いが含まれる」(「ウィキペディア」より)
「志位氏は、菅首相が志位氏への答弁で、憲法15条1項を6回も繰り返し、『必ず推薦の通りに任命しなければならないわけではない』と強弁したことについて、『(フランスで絶対王政を敷いた)ルイ14世の”朕は国家なり”を想起した』と指摘。『憲法15条1項で規定された国民の公務員選定・罷免権は、国会が定めた法律で具体化するもので、その法律に照らして問題を聞いているのに、これ(憲法15条1項)を持ち出して、すべての公務員の選定・罷免権はわれにありというものだ』と重ねて批判しました」
「その上で、戦前は天皇にあった官吏(公務員)の任免権を、それが全体主義と侵略戦争を招いたとの反省のうえに、主権在民のもと国民の選定・罷免権へと変更したのが憲法15条1項だと指摘。『そういう大転換を踏まえた国民主権の条項によって国民が選定・罷免権を持っているのに、内閣総理大臣がそれを簒奪しようというわけだから、本当にこれは独裁国家への宣言だ』と指摘しました」
「学術会議推薦の会員候補を『拒否することはない』とした1983年の政府答弁や、公務員の罷免について『明確に客観的に、もう誰が見てもこれは非常に不適当であるという場合に限って任命しない場合もありえる』との69年の国会答弁について、菅首相は『承知している』としか言わず、この答弁に基づいた議論を拒否したと指摘。『いずれの答弁も法解釈についての確定答弁だ。都合が悪い問題は認めず、一応『承知している』がそれに基づいた議論はできないと全部を逃げるという内容だった』と強調しました」
「また、前日(28日)の衆院本会議で学術会議の会員は『多様性が大事だ』から今回の判断をしたと答弁しながら、50代前半の研究者、1人しかいない大学の研究者、女性研究者の任命をなぜ拒否したのかについて、『個々人の任命の理由は人事に関すること』と答弁を拒否したことを示し、『個人の評価の問題を聞いているのではない。昨日自分が言った答弁にてらして理由がたたないことをただした。それについてまともな答弁ができないのはートートロジー(同語反復による理論崩壊)だ。これでは国会の議論は成り立たない』と批判。『予算員会で引き続き徹底的に追及する』と述べました」