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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

新・医学と統計(20)

2019-01-05 12:11:48 | 日記・エッセイ・コラム
Gooブログ「新・医学と統計」でご紹介している「フリー統計解析ソフト:JASP」は、ある程度の統計学の知識が必要かと思います。また、
JASPが注目される理由の1つに比較的簡単にベイズ統計を経験できるところかも知れません。
ベイズ統計を経験するつもりで、JASPをお楽しみ下さい。
なお、
杉本典夫先生には「Gooブログ:新・医学と統計」を補完する貴重なコメントでを賜り心より感謝申し上げます。
前回に引き続き、
杉本典夫先生のコメントをご紹介します。
 
杉本典夫先生のコメント1(原文):
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Fisherの正確検定とχ2乗検定の関係と同様のことが、回帰係数の検定と相関係数の検定の関にも存在します。
回帰分析は、
説明変数xの値には誤差がなく、目的変数yの値にだけ誤差があるという前提で理論を組み立てています。そのため回帰分析を適用するデータは、原則として前向き研究から得られたデータです。
そして、
標本回帰係数は自由度(n-2)の t分布をするため、この分布を利用して回帰係数が 0かどうかの検定を行います。
それに対して相関分析は、
両方のデータに誤差があるという前提で理論を組み立てています。そのため相関分析を適用するデータは、原則として横断的研究から得られたデータです。
そして、
標本相関係数は 2次元 t分布をするため、厳密な検定をするのは非常に面倒です。
そこでFisherは、
母相関係数=0 の時、標本相関係数の分布が自由度(n-2)の t分布で近似できることを証明し、相関係数の検定に回帰係数の検定と同じ計算式を用いることを提唱しました。
ただし、
母相関係数≠0 の時は近似が悪いので、z変換という特殊な変換をして正規分布で近似し、それを母相関係数の区間推定に利用することにしました。
これと同様のことを、
Fisherの弟子のYates がχ2乗検定に応用しました。
連続修正を加えたχ2乗分布によって超幾何分布を近似し、出現率の差の検定を、計算方法が簡単なχ2乗検定によっても行えるようにしたのです。
これが、
連続修正(Yatesの補正)付きχ2乗検定です。
ただし
連続修正付きχ2乗検定は連関係数の検定としては誤差が大きいので、連関係数の検定にはオリジナルのχ2乗検定を用いるのが普通です。
連続修正の原理については、
僕のサイトの次のページをご覧ください。
www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat03/stat0302_2.html
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次回は Baysian Contingency Tables の予定です。
 
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