統計ブログはじめました!

各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

新・医学と統計(7)

2018-11-10 17:12:33 | 日記・エッセイ・コラム
JASPで一元配置分散分析をやってみましょう。
例題は、
「統計学入門、第4章 多標本のデータ処理」(杉本典夫 先生)から引用させて頂きます。
下記URLにアクセスし、
一元配置分散分析の「表4.1.1 薬剤投与後の収縮期血圧(mmHg)」のデータを Excel に図1のように入力し「.csv」形式で、例えば、「ANOVA1.csv」などとして保存して下さい。
 
www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat04/stat0401.html

図1 データ入力形式
 
 
図1注釈:
Group=A剤投与群、B剤投与群、C剤投与群、BD=収縮期血圧
 
JASPの実行;
「ANOVA1.csv」の読込→ANOVAアイコン→変数の選択

図1 変数の選択 
 


図2 一元配置ANOVAの結果 
 
 

図3 多重比較の選択 
 
 
☑Effect size(効果量)、☑Confidence intervals[95]%(95%信頼区間)
 
Correation(多重比較)
☑Tukey、☑Standard

図4 多重比較の結果

図5 分散分析の図示の方法(Descriptives Plots)
 
 
☑Display error bars(エラーバー)、☑Standard error(標準誤差)


図6 「平均値±標準誤差」の図示 
 
 
 
以上は、「データに対応がない場合」の一元配置分散分析でした。なお、結果の解釈などは「統計学入門、第4章 多標本のデータ処理」をご参考になさって下さい。

次回は、
「データに対応がある場合」の方法をご紹介するつもりです。
 
次回に続く!
 
情報統計研究所はここから。
 
 
 

新・医学と統計(6)

2018-11-06 11:06:35 | 日記・エッセイ・コラム
前回のベイジアン t 検定はいかがでしたか。
母集団仮説検定との違いに戸惑いがあるなら、ベイズ統計について学習してみて下さい。
ここでは、
統計学的な手法のご紹介を通じ、必要に応じ統計学をひもどく事を期待しています。
さて、
今回は、「T-Test」アイコンから、「対応のあるt検定」の方法をご紹介します。
基本的に前回と変わりませんので、その手順のみをご紹介します。
 
*****
ファイル:「ChemicalData_group.jasp」のデータ(BP、BMI)を使いますが、このファイルのままではJASPで使用出来ませんので、Excelで編集することになります。
 
図1のように「BP.Pre:BP.Pos」(前後の血圧)、「BMI.Pre:BMI.Pos」(前後のBMI)としてデータを配置して下さい。
 
Excel の元データからコピー&ペーストしてし、Excel に「.CSV」形式で保存すれば良いかと思います。
 
図1 「対応のある検定」のデータ形式
 
例えば、
ファイル名を「Paired Sample Data.csv」として保存したなら、
 
File→Computer→保存したホルダー→「Paired Sample Data.csv」を選択→開く
 
そして、データを確認し、
「T-Tests」→「Paired Samples T-Test」→図2
 
図2 変数の選択(BMIの場合)
 
「Paired Samples T-Test」の検定結果(BMI)は図3のように、p値から「有意差なし」と判断されます。
 
図3 「Paired Samples T-Test」の検定結果
 
次に、
ベイズ推定の「対応のあるT検定」は次のようになりました。
 
「T-Tests」→「Bayesiann Paired Samples T-Test」→図4
 
図4BMIの検定結果
 
では、
BP(血圧)の場合はどうでしょうか・・、同様の方法でやってみて下さい。
 
ここで、
JASPをご紹介するのは、
・高価な商用ソフトでなく無料で使用できること。
・「R」より操作が簡単であること。
・統計手法としてベイズ的な分析が可能であること。
 
 
・・・などが挙げられます。ご自身でお確かめ頂ければと思いますが、
統計学的な手法については、
*****
「すぐに役立つ統計のコツ」(オーム社刊)をご参考にして頂けると幸いです。
*****
 
次回に続く!
 
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新・医学と統計(5)

2018-11-01 11:27:51 | 日記・エッセイ・コラム
前回のT検定は、いわゆる通常の検定でした。
JASPの特徴は、最近、話題の”ベイズ推定のT検定”が出来ることかも知れません。
そこで、
JASPの特徴でもある”ベイズ推定のT検定”をご紹介しましょう。
前回と同じように、「T-Test」アイコンから、
“BayesianIndependent Samples T-Test”を選択して下さい。
 
変数の選択は、前回と同じ”GTP”と”Group-1"とします。
 
図1 変数と検定項目の選択
 

 注釈;
*****
Dependent Variables(従属変数)→GPT
Grouping Variable(群分変数)→Group1
Hypothesis(仮説)→Group 1≠Group 2
Bayes Factor(ベイズファクター)→BF10
Test(検定)→Student
*****
 
ここで、
”ベイジアン t 検定”が”通常のt検定”と違うところは、平均値差の効果量が「0」と言う帰無仮説を立てます。
従って、対立仮説は「0」でないことであり、その判定は「ベイズファク ター」(仮説検定の証拠となる指標)で決まります。
通常、
”ベイジアン t 検定”(ベイズファク ター)で、
● BF10の大きさは対立仮説を採用する(2群の平均値に差がある)判断基準となる。
● BF01の大きさは帰無仮説を採用する(2群の平均値に差はない)判断基準となる。
 
・・このことを意味し、表1の基準で判断が出来ます。
 
表1Bayes(BF値)のFactor基準
----------------------------
1- 3:乏しい
3- 10 :中程度
10-30:強い
30-100:とても強い
>100:非常に強い
----------------------------
 
では、
例題(GPT)の結果をみてみましょう(図2)。
 
図2 GPTの”ベイジアンt検定”の結果
 
BF10 の値は「16.98」であり、表1から Factor の基準は「強い」と判断されます。
すなわち、
平均値差に関する効果量が「0」という帰無仮説を破棄し対立仮説(平均値に差があること)を採用することになります。
では、
図1において「BF01」を選択したときは、どうなるでしょうか。
「BF01=0.059」となり、「0」に近く帰無仮説(平均値に差がないこと)の採用は極めてと乏しいと言えます。
 
それでは、
「GOT」ではどうでしょうか。GOTの BF値は次のようになりました。
 
BF10=0.310
BF01=3.221
 
よって、帰無仮説(平均値に差がないこと)を支持することが出来ます。
 
なお、Log(BF10)はBF10の自然対数変換値です。
 
次回に続く!
 
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