新聞で出版広告を見て関心を抱いた。かなり前に『土漠の花』を読んでいた作家の作品ということでの関心もあった。一番の関心は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの脱出(脱北)をテーマとしている点にあった。どのようにフィクションとして扱うのだろうかという関心だ。本書の奥書を読むと、「小説幻冬」(2021年6月号~2022年1月号)に連載の後、加筆、修正し、2022年4月に単行本が刊行されている。
テーマは脱北と日本人拉致問題。着想はシンプルである。北朝鮮からの集団脱出を扱う。何処へ向かうか。それは日本。
このテーマと着想をどのように扱うか、そこから著者の構想が広がりを見せて構築されていったのだろう。シンプルな着想に緻密な肉づけがなされ、納得度のある諸事象の動きが組み込まれて行く。
集団脱走のルートは? 陸路ではなく、海路が選ばれる。
海路での集団脱北がそう簡単にできるのか。何を使うのか。潜水艦による脱出とは・・・・。度肝を抜く手段と言える。
何処へ脱出するか。日本へ。なぜ、日本なのか?
潜水艦という手段では、潜水艦自体の性能、操艦態勢を左右する脱出に加わる人数とその能力、武器並びに関連物資等を総合すると、亡命先までの距離にまず物理的限界がある。さらに、潜水艦が日本の領海を侵犯する時点で、亡命だと日本国に認められることが必須になる。そうでなければ、国際問題、ひいては戦争を誘発する原因になりかねない。
亡命であることを鮮明に印象づけるには? そこで拉致被害者の存在が浮かびあがる。それも拉致被害者として日本国内で周知されている人物であることが、速やかな亡命交渉の条件になる。
ストーリーは、総政治局敵工部所属辛吉夏上佐が、新浦港から内陸部8kmほどの地点にある第48特別招待所に<1号命令>を携えて訪れる場面から始まる。吉夏は、この特別招待所から、兒170号と称される初老の婦人を連れ出すために来た。彼は金正恩直々に発せられる最高機密命令書を偽造して大胆な行動をとる。
この時、共和国(北朝鮮)は陸海空軍による大規模な合同演習を計画していた。それが間もなく開始となる刻限が迫っていた。各部署では演習準備が完了し、開始までのカウントダウンが始まっていた。
新浦港に停留する潜水艦11号は0300にこの合同演習に参加し出港するための準備と待機中だった。艦長は桂東月(ケ・ドンウォル)大佐。副艦長は洪昌守(ホン・チャンス)上佐。機関長は白仲模(ペク・ジュンモ)上佐。航海長は弓勇基(クン・ヨンギ)少佐。通信長は呉鶴林(オ・ハクリム)大尉などである。彼らは桂東月艦長が全幅の信頼を置く部下である。
直前には、演習用航海図に訂正を加えることが周知されていた。
辛吉夏上佐は、本来の[中隊政治指導員]という身分証明書を示し、新浦港のゲートを通り抜け、潜水艦11号に政治指導員として乗り込んだ。その際に、金正恩同志のご発案による極秘訓練だと称して、円筒形バッグに収納された状態のゴムボート6艇と大きくて重そうなトランクを潜水艦に搬入させた。
潜水艦11号は、西側でロメオ級と呼ばれる旧式の033型攻撃型潜水艦である。全長76m、乗組員数54。8発の魚4型魚雷と10発の機雷を装備する朝鮮人民軍の主力潜水艦であるが船体は老朽化している。
つまり、この潜水艦11号が桂東月艦長の指揮の下に、この合同演習から離脱して脱北する。艦長が全幅の信頼を置く乗組員幹部は事前に脱北に合意していた。桂東月には脱北を決意する重大な原因があった。辛吉夏にも彼個人の脱北理由があった。政治指導員の立場を利用し、彼は桂東月の怒りの原因を知っていて、桂東月に千載一遇の機会を利用することを持ちかけたのだ。
潜水艦11号の乗組員には、合同演習への参加としか知らされていない者が大半である。その問題をどう処理するかについては、桂東月艦長と辛吉夏の脱北計画に組み込まれていた。
本書は、<第1章 新浦港-出港の夜>、<第2章 新浦東240km-死闘の昼>、<第3章 隠岐島西北60km-絶望の朝>という3章構成になっている。
このストーリー、ボリュームの大半は、潜水艦11号と共和国軍との戦闘描写となる。なぜなら、辛吉夏上佐が兒170号即ち日本人拉致被害者を連れだし、潜水艦11号に乗り込んだことは少しのタイムラグで発覚する。また潜水艦11号が合同演習の予定航路と異なる動きをとっていることも、合同演習計画の本部ではキャッチできるからだ。
合同演習計画参加の陸海空軍のどこまでの範囲が直接関与するかは不詳だが、演習はただちに潜水艦11号の拿捕あるいは撃沈という実戦に切り替えられる。つまり、潜水艦11号は追われる立場となる。ある時点から戦闘が必然化していく。
潜水艦の戦闘シーンがこのストーリーの幾度かの山場として描写されていく。
潜水艦11号が隠岐の島西北60kmに達した時点では、命令を受けた羅済剛(ラ・ジェガン)大佐が指揮する潜水艦9号が、潜水艦11号を撃沈すべく日本のEEZ(排他的経済水域)を侵犯して追跡し、戦闘に及んでくる。潜水艦9号の方が優れた装備を有していた。日本の領海内で北朝鮮の潜水艦同士が戦闘状態に入っていく。
潜水艦11号が隠岐の島西北60kmに位置した時点で、桂東月艦長は潜水艦11号の亡命希望を表明し、拉致被害者であった広野珠代さんにも救出の発信を併せてさせた。広野珠代さん本人と証明できるような内容での救出要望の発信だった。
この事態に日本の政府、並びに海上自衛隊はどう対応するのか。
海上保安庁の巡視船いわみはこの発信を受信し、現場海域に向かう。
このストーリーのクライマックスは、涙なくしては読めないと思う。それほど感情移入してしまう場面構成と迫真の描写になっている。
このストーリー、読んでいただきたいと思う。仮想状況の設定事例とは言い切れない。
前半でストーリーの背景として、専ら北朝鮮の政治体制とその中に見られる腐敗体質、社会体制の問題事象が描き込まれる。
一方、第3章は、日本のEEZという領海内に亡命希望の潜水艦が出現し、さらに領海侵犯をして撃沈行動に及ぶ潜水艦の出現と、潜水艦同士の死闘が描かれる。そこには、明らかに拉致被害者の一人が片方の潜水艦に乗船している特殊事情が加わっている。この状況に日本はどう対応するのか。著者が想定する一つの仮説を背景に、日本側の対応にリアリティを感じさせる形で描き込まれていく。そこにはあなたはどう思うか・・・・読者への問いかけすら含んでいる気がする。
著者がこの状況設定に関連して、記述している視点を長くなるが引用しておこう。それはこの海域現場に行った海上保安官の思いとして記されている。
「国際VHFを受信した誰かがSNSで発信したのだろうか。
本来それは違法行為に該当するおそれがあるのだが、何もかも承知の上で実行した人たちがいたとしてもおかしくはない。今の時代、一度ネットに流れた情報は瞬く間に拡散する。・・・・・・・
こうなると誤報であったと否定するのも困難だ。世の中を見ようともしない政治家達は一昔以上も前の感覚で、簡単に揉み消せると本気で考えていたのだろうか。いや、むしろ一昔前なら大きな社会問題となったはずの事件も、今や政府与党にとってはなんの脅威でもなくなってしまった。政治家は自分達の不正を堂々と隠蔽し、恥じることもなく虚偽答弁を繰り返した。まるで私物の日記であるかのように公文書を無造作に改竄し、法律どころか憲法まで無視して政権を維持してきた。司法さえまともに機能せず、権力者による明らかな犯罪が裁かれることすらない。国民もマスコミもそのことに慣れきって追及しようともしない。正常な感覚が麻痺したまま常態化したのだ。だからこそ今回も、政治家は自分達に都合よく事を運べると甘く考えていたに違いない。
いずれにしても、そこには拉致被害者に対する共感どころか一片の関心も見出せない。最初からなかったのだ。与野党を問わず、日本の政治家には。・・・・・・・・・」(p299-300)
ここには、読者がこの小説を離れたとしても、日本の現状を考えるための視座が含まれていると思う。この引用部分を納得して読めるところが哀しいこととともに、日本の将来に対する警鐘でもあると感じてしまう。
もう一点、触れておかねばならない一筋の底流がこのストーリーに流れている。それが最終局面で大きな影響力を及ぼしていくことになる。
それは、元島根県警の巡査部長で今は交番指導員となっている岡崎誠市、島根県波子港の老漁師である山本甚太郎、今はある財団法人の理事を務めているが、45年前には海保第八管区の巡視船みうらの主任航海士だった五月女武夫の3人に共通する。彼等3人はそれぞれ違う立場に居ながら、45年前の拉致問題に対して、それぞれが痛恨の思いを胸に抱き続けて生きてきたのだった。言い知れない重みを彼らの人生にひきずってきたのだ。その痛恨がこのストーリーの底流に流れている。
ご一読ありがとうございます。
本書からの関心の波紋でネット検索してみた。一覧にしておきたい。
ロメオ型潜水艦 :ウィキペディア
【第68回】ロメオ級 <潜水艦> :「ホビコム」
潜水艦 :ウィキペディア
北朝鮮による拉致問題とは:「北朝鮮による日本人拉致問題」(政府拉致問題対策本部)
北朝鮮による日本人拉致問題 :「外務省」
拉致問題は現在進行形の私たちの問題です :「大阪市」
特定失踪者問題調査会 ホームページ
横田めぐみさん拉致事件から42年 :「新潟新報」
北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」:「政府インターネットテレビ」
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 :ウィキペディア
救う会 全国協議会 「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」ホームページ
序でに目にとまった情報:
金委員長の視察写真から分析、北朝鮮「新型」潜水艦の危険度 :「BUSINESS INSIDER」
想像より狭くなかった! 海上自衛隊「おやしお」型潜水艦「まきしお」の内部
Living Underwater: How Submarines Work YouTube
【ミサイル原子力潜水艦の内部】最高機密・オハイオ級の艦内構造はどうなっているのか? YouTube
【機密の塊 3,000億円の原子力潜水艦】その内部を特別大公開!! 艦内での日々の暮らしとは? YouTube
How does a Submarine work? / Typhoon-class submarine // The worlds largest submarine ever built. YouTube
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こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『土漠の花』 幻冬舎
テーマは脱北と日本人拉致問題。着想はシンプルである。北朝鮮からの集団脱出を扱う。何処へ向かうか。それは日本。
このテーマと着想をどのように扱うか、そこから著者の構想が広がりを見せて構築されていったのだろう。シンプルな着想に緻密な肉づけがなされ、納得度のある諸事象の動きが組み込まれて行く。
集団脱走のルートは? 陸路ではなく、海路が選ばれる。
海路での集団脱北がそう簡単にできるのか。何を使うのか。潜水艦による脱出とは・・・・。度肝を抜く手段と言える。
何処へ脱出するか。日本へ。なぜ、日本なのか?
潜水艦という手段では、潜水艦自体の性能、操艦態勢を左右する脱出に加わる人数とその能力、武器並びに関連物資等を総合すると、亡命先までの距離にまず物理的限界がある。さらに、潜水艦が日本の領海を侵犯する時点で、亡命だと日本国に認められることが必須になる。そうでなければ、国際問題、ひいては戦争を誘発する原因になりかねない。
亡命であることを鮮明に印象づけるには? そこで拉致被害者の存在が浮かびあがる。それも拉致被害者として日本国内で周知されている人物であることが、速やかな亡命交渉の条件になる。
ストーリーは、総政治局敵工部所属辛吉夏上佐が、新浦港から内陸部8kmほどの地点にある第48特別招待所に<1号命令>を携えて訪れる場面から始まる。吉夏は、この特別招待所から、兒170号と称される初老の婦人を連れ出すために来た。彼は金正恩直々に発せられる最高機密命令書を偽造して大胆な行動をとる。
この時、共和国(北朝鮮)は陸海空軍による大規模な合同演習を計画していた。それが間もなく開始となる刻限が迫っていた。各部署では演習準備が完了し、開始までのカウントダウンが始まっていた。
新浦港に停留する潜水艦11号は0300にこの合同演習に参加し出港するための準備と待機中だった。艦長は桂東月(ケ・ドンウォル)大佐。副艦長は洪昌守(ホン・チャンス)上佐。機関長は白仲模(ペク・ジュンモ)上佐。航海長は弓勇基(クン・ヨンギ)少佐。通信長は呉鶴林(オ・ハクリム)大尉などである。彼らは桂東月艦長が全幅の信頼を置く部下である。
直前には、演習用航海図に訂正を加えることが周知されていた。
辛吉夏上佐は、本来の[中隊政治指導員]という身分証明書を示し、新浦港のゲートを通り抜け、潜水艦11号に政治指導員として乗り込んだ。その際に、金正恩同志のご発案による極秘訓練だと称して、円筒形バッグに収納された状態のゴムボート6艇と大きくて重そうなトランクを潜水艦に搬入させた。
潜水艦11号は、西側でロメオ級と呼ばれる旧式の033型攻撃型潜水艦である。全長76m、乗組員数54。8発の魚4型魚雷と10発の機雷を装備する朝鮮人民軍の主力潜水艦であるが船体は老朽化している。
つまり、この潜水艦11号が桂東月艦長の指揮の下に、この合同演習から離脱して脱北する。艦長が全幅の信頼を置く乗組員幹部は事前に脱北に合意していた。桂東月には脱北を決意する重大な原因があった。辛吉夏にも彼個人の脱北理由があった。政治指導員の立場を利用し、彼は桂東月の怒りの原因を知っていて、桂東月に千載一遇の機会を利用することを持ちかけたのだ。
潜水艦11号の乗組員には、合同演習への参加としか知らされていない者が大半である。その問題をどう処理するかについては、桂東月艦長と辛吉夏の脱北計画に組み込まれていた。
本書は、<第1章 新浦港-出港の夜>、<第2章 新浦東240km-死闘の昼>、<第3章 隠岐島西北60km-絶望の朝>という3章構成になっている。
このストーリー、ボリュームの大半は、潜水艦11号と共和国軍との戦闘描写となる。なぜなら、辛吉夏上佐が兒170号即ち日本人拉致被害者を連れだし、潜水艦11号に乗り込んだことは少しのタイムラグで発覚する。また潜水艦11号が合同演習の予定航路と異なる動きをとっていることも、合同演習計画の本部ではキャッチできるからだ。
合同演習計画参加の陸海空軍のどこまでの範囲が直接関与するかは不詳だが、演習はただちに潜水艦11号の拿捕あるいは撃沈という実戦に切り替えられる。つまり、潜水艦11号は追われる立場となる。ある時点から戦闘が必然化していく。
潜水艦の戦闘シーンがこのストーリーの幾度かの山場として描写されていく。
潜水艦11号が隠岐の島西北60kmに達した時点では、命令を受けた羅済剛(ラ・ジェガン)大佐が指揮する潜水艦9号が、潜水艦11号を撃沈すべく日本のEEZ(排他的経済水域)を侵犯して追跡し、戦闘に及んでくる。潜水艦9号の方が優れた装備を有していた。日本の領海内で北朝鮮の潜水艦同士が戦闘状態に入っていく。
潜水艦11号が隠岐の島西北60kmに位置した時点で、桂東月艦長は潜水艦11号の亡命希望を表明し、拉致被害者であった広野珠代さんにも救出の発信を併せてさせた。広野珠代さん本人と証明できるような内容での救出要望の発信だった。
この事態に日本の政府、並びに海上自衛隊はどう対応するのか。
海上保安庁の巡視船いわみはこの発信を受信し、現場海域に向かう。
このストーリーのクライマックスは、涙なくしては読めないと思う。それほど感情移入してしまう場面構成と迫真の描写になっている。
このストーリー、読んでいただきたいと思う。仮想状況の設定事例とは言い切れない。
前半でストーリーの背景として、専ら北朝鮮の政治体制とその中に見られる腐敗体質、社会体制の問題事象が描き込まれる。
一方、第3章は、日本のEEZという領海内に亡命希望の潜水艦が出現し、さらに領海侵犯をして撃沈行動に及ぶ潜水艦の出現と、潜水艦同士の死闘が描かれる。そこには、明らかに拉致被害者の一人が片方の潜水艦に乗船している特殊事情が加わっている。この状況に日本はどう対応するのか。著者が想定する一つの仮説を背景に、日本側の対応にリアリティを感じさせる形で描き込まれていく。そこにはあなたはどう思うか・・・・読者への問いかけすら含んでいる気がする。
著者がこの状況設定に関連して、記述している視点を長くなるが引用しておこう。それはこの海域現場に行った海上保安官の思いとして記されている。
「国際VHFを受信した誰かがSNSで発信したのだろうか。
本来それは違法行為に該当するおそれがあるのだが、何もかも承知の上で実行した人たちがいたとしてもおかしくはない。今の時代、一度ネットに流れた情報は瞬く間に拡散する。・・・・・・・
こうなると誤報であったと否定するのも困難だ。世の中を見ようともしない政治家達は一昔以上も前の感覚で、簡単に揉み消せると本気で考えていたのだろうか。いや、むしろ一昔前なら大きな社会問題となったはずの事件も、今や政府与党にとってはなんの脅威でもなくなってしまった。政治家は自分達の不正を堂々と隠蔽し、恥じることもなく虚偽答弁を繰り返した。まるで私物の日記であるかのように公文書を無造作に改竄し、法律どころか憲法まで無視して政権を維持してきた。司法さえまともに機能せず、権力者による明らかな犯罪が裁かれることすらない。国民もマスコミもそのことに慣れきって追及しようともしない。正常な感覚が麻痺したまま常態化したのだ。だからこそ今回も、政治家は自分達に都合よく事を運べると甘く考えていたに違いない。
いずれにしても、そこには拉致被害者に対する共感どころか一片の関心も見出せない。最初からなかったのだ。与野党を問わず、日本の政治家には。・・・・・・・・・」(p299-300)
ここには、読者がこの小説を離れたとしても、日本の現状を考えるための視座が含まれていると思う。この引用部分を納得して読めるところが哀しいこととともに、日本の将来に対する警鐘でもあると感じてしまう。
もう一点、触れておかねばならない一筋の底流がこのストーリーに流れている。それが最終局面で大きな影響力を及ぼしていくことになる。
それは、元島根県警の巡査部長で今は交番指導員となっている岡崎誠市、島根県波子港の老漁師である山本甚太郎、今はある財団法人の理事を務めているが、45年前には海保第八管区の巡視船みうらの主任航海士だった五月女武夫の3人に共通する。彼等3人はそれぞれ違う立場に居ながら、45年前の拉致問題に対して、それぞれが痛恨の思いを胸に抱き続けて生きてきたのだった。言い知れない重みを彼らの人生にひきずってきたのだ。その痛恨がこのストーリーの底流に流れている。
ご一読ありがとうございます。
本書からの関心の波紋でネット検索してみた。一覧にしておきたい。
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【第68回】ロメオ級 <潜水艦> :「ホビコム」
潜水艦 :ウィキペディア
北朝鮮による拉致問題とは:「北朝鮮による日本人拉致問題」(政府拉致問題対策本部)
北朝鮮による日本人拉致問題 :「外務省」
拉致問題は現在進行形の私たちの問題です :「大阪市」
特定失踪者問題調査会 ホームページ
横田めぐみさん拉致事件から42年 :「新潟新報」
北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」:「政府インターネットテレビ」
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 :ウィキペディア
救う会 全国協議会 「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」ホームページ
序でに目にとまった情報:
金委員長の視察写真から分析、北朝鮮「新型」潜水艦の危険度 :「BUSINESS INSIDER」
想像より狭くなかった! 海上自衛隊「おやしお」型潜水艦「まきしお」の内部
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【ミサイル原子力潜水艦の内部】最高機密・オハイオ級の艦内構造はどうなっているのか? YouTube
【機密の塊 3,000億円の原子力潜水艦】その内部を特別大公開!! 艦内での日々の暮らしとは? YouTube
How does a Submarine work? / Typhoon-class submarine // The worlds largest submarine ever built. YouTube
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
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『土漠の花』 幻冬舎