SaltyDog

               by kaji

ヨーロッパ旅行記(6)

2005-06-20 | ヨーロッパ旅行記
 キャンパーも200人前後になってきた頃か、ある朝、食事をしているとなんだかいつもと違う雰囲気が漂っていた。話している英語が何を言っているのかよくわからなかったので、知らん顔していたが、あとで友人に何を話していたのか聞いてみると、昨晩、女性が宿泊しているバンガローに地元の悪い連中が夜這いに来たそうで、どうしたものか話し合っていたらしい。夕食の時にもその話題が持ち上がり、「よし、今度やつらが来たら、俺達が追っ払ってやるから安心しろ」的な話でまとまり、そして夜が来た。

 僕は胸騒ぎってわけではないが、その夜寝付けず本を読んでいた。みんな寝静まったころ、「バリー-ン」ガラスが割れる音と共に「キャーッ」女性の叫び声、「来た」と瞬時に頭が回転を始め、近くで寝ている仲間を「おい、起きろ、来たぞ、やつらが来たぞ」とおそらく5人くらいに声をかけ、僕は女性のバンガローめがけて駆け出した。「こらっ、てめーら、なにさらしとんじゃい ボケ。なめとったら承知せんぞこのバカタレが」 こういうときは日本語。ケンカするときは日本語です。しかも関西弁が最高?。 敵は5人、一人はナイフを持っていた。車で来ていたようだ。 やつらは僕に罵声をあびせつつもかかってくる様子もなく、慌てて車で逃げていった。僕の後から男達が最低でも10人くらいは来ているだろうと思った。多勢に無勢ってことで逃げ出したんだとばかり思っていた。がしかし、後ろを振り向いて愕然とした。誰も居ない。敵5人に対して僕1人だったわけだ。どうやらやつらは、アジアの人間はみんなカンフーの達人だと思い込んでいたようだ。(割と本気で)だから僕も無事で居られたのかも。今考えてもあのときのことはぞっとする。

 全て決着がついたあとで、他の男連中がぞろぞろとバンガローから出てきた。ちょっと英語ができるからって、女性に「大丈夫か、怪我はないか」とか言っちゃって、この俺の存在なんか無視されちゃってさ、もう、気分悪い。おいしいところ全部持っていかれたって感じ。 チェッ。