◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

11月25日

2013-11-25 07:36:07 | Weblog
●小口泰與
寒暁のあからむ山の彫り定か★★★★
次第に明けてゆく山容が、すっきりと詠まれている。(高橋正子)

あけぼのや境内かざる冬もみじ★★★
冬ばらのほころぶ力なかりけり★★★

●古田敬二
冬服を鞄にぎっしり旅支度★★★
包丁に昼の陽光らせ柿を剥く★★★★
日向に柿と包丁を持ち出して、日向ぼっこをしながら、干し柿を作ろうとしているのだろう。すると、刃先に太陽が当たって、刃を光らせるのだ。刃物の鋭さと、柿の色がいい取り合わせだ。(高橋正子)

濡れ縁に陽光浴びて柿を剥く★★★

●河野啓一
手向け山古都の紅葉は神のまにまに★★★
枯れ葉舞う斑鳩町の旧家かな★★★
欅もみじ色さまざまに高々と★★★★
欅もみじは、黄色一色ではない。細やかに色の変化がある。そして高々と空に聳える。これがいい。(高橋正子)

●多田有花
頂に青空向いて冬木立★★★
冬紅葉古刹へ車の列続く★★★
冬の雨冬の嵐となりし午後★★★

●桑本栄太郎
冬めくや笑うごとくに鴉啼く★★★
葛の実の風の冷たき葉陰かな★★★
土乾く畝の並びや冬菜畑★★★★
高く作られた畝であろう。寒風にさらされた冬菜の畝が乾いている。それと好対照に、冬菜は青々と茂っているのだ。(高橋正子)
 
●小川和子
みどり児の重み抱き上ぐ小六月★★★
みどり児のこぶし幼く青すだち★★★
音たてて十一月の夜半更けぬ★★★★

●黒谷光子
ふっくらと一輪挿しの冬椿★★★
道いっぱい濡らし除雪車試運転★★★
色極む村の神社の冬紅葉★★★
コメント (3)
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11月24日

2013-11-24 04:54:18 | Weblog
●小口泰與
熱燗や赤むらさきの赤城山★★★
木枯しや榛名の肌の焦げ茶色★★★
蓼科の湯宿の古りし炬燵かな★★★

●桑本栄太郎
光陰の過ぎし習いや芒枯る★★★

下校子の駅へとつづく冬田かな★★★★ 
冬田の中を下校の子がつぎつぎと駅へ向かって歩く。駅も、下校の子たちも冬田との関わり合いでいい生活風景となっている。(高橋正子)

風吹けば彩の舞いおり木の葉飛ぶ★★★

●多田有花
丘の上冬の朝日が当たる家★★★

坂道が冬青空へ抜けてゆく★★★★
坂道のその上は青空へつながる。坂道の魅力はこんなところに大いにある言える。(高橋正子)

冬枯れの川べりをゆくクラシックカー★★★

●佃 康水
 広島 三瀧寺紅葉祭り
冬瀧や朱の葉隠れに音激し★★★
磨崖仏の顔を掠めて散紅葉★★★

日の温み残る欄干紅葉散る★★★★ 
陽だまりの欄干にたたずめば、紅葉が散ってくる。日に照り映える紅葉や日の温みなど、心が温かく癒される思いだ。(高橋正子)

●古田敬二
良き知らせ真っ盛りなる石蕗の花★★★★
石蕗の花の明るさが、良き知らせそのもののようだ。(高橋正子)
逆光に透かして盛りの黄葉樹★★★
ドングリの豊かに膨らみ輝けり★★★

●小西 宏
音遠き落葉の森に日の斜め★★★
落葉掃く八十余歳来し方を★★★
富士の雪うす影にしてひとつ星★★★
コメント (2)
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11月23日

2013-11-23 00:41:13 | Weblog
●小口泰與
寒暁の湖や白波かがよえり★★★
冬雲や待合室の重き黙★★★
四段の飛び箱飛びし小春かな★★★

●迫田和代
縁側で西日厭わず柿を食ぶ★★★
大いなる幸を喜ぶ菊日和★★★
道々で村の祭りや遠出の日★★★

●古田敬二
温き陽の桜紅葉の尾根に出る★★★★
「温き陽の桜紅葉」がよい。尾根の見晴らしのよさ、心地よさが伝わる。(高橋正子)

億年の模様の石ころ冬陽浴び★★★
淡き影まっすぐに立てて冬の竹★★★

●多田有花
順々に枯枝となり陽のあたる★★★
冬の蝶ひらひら日差しの中へ出る★★★★
日差しの中のか弱い冬蝶が、光の精のように思える。(高橋正子)

展望を指差す小春の頂に★★★

●桑本栄太郎
校門の空や桜の冬紅葉★★★★
校門の空と言われれば、そこには大きな空がある。春は満開の桜で新入生を迎えたであろうが、今は冬紅葉となって凋落の前の美しさを見せている。(高橋正子)

踏みしだく落葉さくさく乾きおり★★★
ひと跨ぎほどの川面やつがい鴨★★★

●小西 宏
農夫老い太く真っ赤な薩摩芋★★★
芝草に残る冬日のドッジボール★★★
山の端に日の残りいて冬紅葉★★★

●河野啓一
大通り黄葉落葉の清掃車★★★
川沿いにネオンきらめく冬の街★★★
暖簾越しおでんの湯気は道頓堀★★★

●黒谷光子
空よりも濃き冬の海東尋坊★★★
冬晴れの岸壁を打つ波真白★★★
冬紅葉南北朝の館跡★★★
コメント (2)
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11月22日

2013-11-22 07:01:48 | Weblog
●小口泰與
白壁に二人の影や冬帽子★★★
電柱の影のゆれおる枯野かな★★★
夕映えを湖に収めし白ショール★★★

●黒谷光子
自転車の篭に降り来る紅葉かな★★★★
紅葉の散る季節になった。自転車の篭にも色美しく降ってきている。自転車で出かけようとして、その色合いを楽しんだことだ。ささやかなよろこび。(高橋正子)

陽の燦々桜紅葉の並木出て★★★
木洩れ日の桜紅葉の並木道★★★

●古田敬二
そこだけが今朝から明るし石蕗の花★★★★
石蕗の花は明るい。葉を落とした木や花の少なくなった庭では特にそうである。(高橋正子)
人ごみに男の大根見え隠れ★★★
芒枯れ風の行く道見えにけり★★★

●多田有花
コンビニへ荷物受取り冬の夜★★★
明けてくる小雪の朝鳥の声★★★
シリアルを温め初めし小雪に★★★

●河野啓一
瀬戸の島夕陽の海に浮かびおり★★★
隣家の垣根に顔出す穂芒2本★★★

小粒ですがと柿配りゆく夕べかな★★★★
自宅で取れたものはなんでも嬉しいが、ご近所に配れることもさらに嬉しい。「小粒ですが」も奥ゆかしく暖かい近所づきあいが思われる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
堰堤の水の蒼さよ冬の風★★★
丘上に登れば風の冬日照る★★★
青空に風のさざめき木の葉舞う★★★

●川名ますみ
色葉散る空に樟の葉青々と★★★
樟の葉のみどり輝く冬紅葉★★★

【原句】散紅葉少女ばかりが追うて来ぬ
【添削】散紅葉少女ばかりが追うており★★★★
紅葉が散るのを少女ばかりが喜んで追っている。子どもは散る紅葉をも遊びにしてしまう。散る紅葉に少女たちが混じった風景はよいものだ。(高橋正子)
コメント (1)
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11月21日

2013-11-21 07:14:14 | Weblog
●小口泰與
初霜や長き廊下の診療所★★★★
初霜のおりた朝の診療所。寒いせいか、来院の患者も静かにして、幾分かの不安に廊下の長さが目につく。(高橋正子)

きりきりと身の引き締まる寒さかな★★★
上州や赤城颪とあまないて★★★

●多田有花
山寺の皇帝ダリアに冬陽燦★★★★
皇帝ダリアは木立ダリアとも呼ばれ、丈の高いダリアだ。お寺の方は意外とハイカラで新しいものを受け入れておられる。薄桃色の花が冬陽のなかで燦然と輝いている。(高橋正子)

山頂は凩のエアポケット★★★
凩や海と甍は銀色に★★★

●桑本栄太郎
静謐と言うは朴の葉落葉かな★★★★
大きな朴の落葉が地に落ちている様子を「静謐」と呼んだ。たしかに朴があるところは、たとえ森でなくても、空間に静けさが生まれている。落葉の季節なら特に。(高橋正子)

落葉掃く後へあとへと散りにけり★★★
あおぞらに軽き枝垂れや萩枯るる★★★

●河野啓一
春は花秋は紅葉の丘うれし★★★
初冬の空の青さと日の光★★★

篭いっぱい買いこみ帰る新玉葱★★★★
玉葱は、ふつう夏に収穫されるが、最近はこの季節、沖縄などで作られた新玉葱が出回っているようだ。サラダにすれば甘みがあっておいしく、新ものは喜ばれる。篭いっぱいも買いたくなる。(高橋正子)

●小西 宏
落葉焚く匂いわが街子ら多し★★★★
少子化が進む現代といわれるが、落葉焚ができるような地域もマンションが建ち住宅地となって子供が多い。我が家の近辺も住宅地のせいか、子供が多いと感じる。落葉焚と子どものとリ合わせに詩情がある。(高橋正子)

やわらかき柿しゃぶりおり陽だまりに★★★
日の影の野を追われゆく冬の午後★★★
 
コメント (5)
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