◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

11月20日

2013-11-20 07:16:44 | Weblog
●小口泰與
茜さす雪の浅間や風ゆたか★★★★
「風ゆたか」が意外であり、この句を特徴づけている。まだ寒くない夕日に染まる浅間山である。(高橋正子)

冬空へ雲版強く叩きけり★★★
あけぼのや顔を打ちゆく北颪★★★

●多田有花
風吹けば赤さ冴えたり実南天★★★
めくや昼の地震が揺らす窓★★★
自転車をこいで去りゆく冬帽子★★★★
なんのことはない。冬帽子を冠った人が自転車を漕いで行ったということ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
青空のあくまで蒼く冬紅葉★★★
冬紅葉峰の奥まで日差しけり★★★★
紅葉すると、天文的にはそういう季節であることなのだが、日差しは斜めに遠くから差し入る。冬紅葉が透明感を増す。(高橋正子)

川べりの風の瀬音や冬紅葉★★★

●川名ますみ
着信は母の写せし散紅葉★★★
目黒川桜紅葉を載せ静か★★★

【原句】川の面に桜紅葉のふれ流る
【添削】川の面の桜紅葉にふれ流る★★★★
桜紅葉の枝が枝垂れて川面に届いている。川の水は桜紅葉をさらうことなく触れては流れている。桜の花の咲くころとは、また違った趣。(高橋正子)

●河野啓一
ポインセチア並ぶ街角明るくて★★★
朝日差す並木の紅葉は桜と銀杏★★★★
桜と銀杏の「もみじ」は、桜は紅葉、銀杏は黄葉と書き分けられる。その色の対比も美しいが、さらに朝日が差して桜紅葉も銀杏黄葉も色があざやかになった。(高橋正子)

山茶花のの苗掘り上げて鉢に植え★★★
コメント (5)
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●投句箱11月11日~20日●

2013-11-20 06:05:20 | Weblog
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
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11月19日

2013-11-19 02:45:02 | Weblog
●小口泰與
帰り花阿吽の朝日昇りけり★★★
山風や瑞枝あえかな冬のばら★★★
息白しうす紫の赤城かな★★★

●河野啓一
箕面山空を分け合う谷紅葉★★★★
谷の紅葉がそれぞれ空に広がり美しさを見せている。「空を分け合う」に、それぞれの紅葉が調和して美しいことが読み取れる。(高橋正子)

初冬の六甲縦走雨の中★★★
鴨群れて子らと距離置く池の端★★★

●多田有花
冬晴れに誘われ髪を切りにゆく★★★★
髪を切って気持ちが爽やかになるときもあれば、また逆に天気のよさに誘われて髪を切りに出かけることもある。「髪を切る」という行為は心のありように左右されていいることが多い。(高橋正子)

風の音初めてストーブをつける★★★
木枯しの吹く窓辺には明るき陽★★★

●桑本栄太郎
神官の水色袴の落葉掃く★★★
手にとれば五色彩なす柿落葉★★★
新駅の高架開通冬田べり★★★★
新駅は田んぼの中に作られることがよくある。駅の高架も冬田べりに堂々とその構造を見せている。高架と冬田は不似合なだけに、新しい変化を印象づけている。(高橋正子)

●小西 宏
浮かぶ葉の小春日和に糸垂れる★★★
しわがれて軽き落葉の坂くだる★★★
冬雲の渦巻くところ群れ鴉★★★
コメント (3)
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11月18日

2013-11-18 00:31:57 | Weblog
●小口泰與
日を乗せて舟のくだるや小六月★★★★
下る舟を鳥瞰した図か。川をながめると、舟が日を乗せて下って行く。まさに小六月の日差しである。(高橋正子)

冬ばらの咲くに力の限りかな★★★
夢覚めて蹠つめたき仏間かな★★★

●小川和子
落葉踏む文学館へと続く道★★★
欅落葉どっと降らせて風去りぬ★★★★
一陣の風が欅の葉をどっと降らせたのだ。そして去って行った。風の又三郎の仕業を思う。見事というほかない。(高橋正子)

影を置くみずきに空の冴えゆけり★★★

●黒谷光子
団栗を踏みつつ山に佛花切る★★★★
光子さんは、仏花を探しに山へよく行かれる。花屋で求められるのではなく、この度は団栗を踏んで花を切った。季節折々の花や木の枝が気持ちを籠められて仏花となる。(高橋正子)

冬晴れの木の間はるかに竹生島★★★
あざやかに赤と黄杜の冬はじめ★★★


●多田有花
鉄塔がつなぐ山々十一月★★★★
冬になると、山々に立つ鉄塔が目につく。送電線が伸びて山々をつなぐ。ただそれだけの景色なのに、十一月の特徴をよく伝えている。(高橋正子)

峪深く金鉱跡や冬紅葉★★★
時雨去る露天のお湯にひとりいる★★★

●桑本栄太郎
散策の歩が伸び遠き冬田かな★★★★
散策も、ついつい予定より遠くへ来てしまった。そこからは、遠くに冬田が見える。望郷の冬田でもあるのだろう。(高橋正子)

冬紅葉どうだんつつじの緋の色に★★★
つわぶきや何処に在りても石の供★★★
コメント (4)
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11月17日

2013-11-17 06:29:32 | Weblog
●小口泰與
逆光をとらえ華やぐ枯尾花★★★
山茶花の二つ三つと咲きにけり★★★
小春日やお香の香り身の内に★★★

●河野啓一
ベランダの冬菜も摘んて鍋に入れ★★★★
ささやかなベランダ菜園。そこでの収穫はささやかさに反比例して嬉しいものだ。鍋の一品に加われば、なおのこと。(高橋正子)

無農薬無肥料続く庭の柿★★★
山茶花の苗をポットにお隣りへ★★★

●多田有花
小春日の谷あいの湯に母といる★★★★
鄙びた谷あいの湯はほっかりとした温かさがある。小春日和の暖かさも加わって、母と入る湯は深々としていい湯であっただろう。(高橋正子)

柿をもぐ小春の庭の広さかな★★★
冬紅葉囲む落人伝説の村★★★

●桑本栄太郎
ジャージーの校庭駆ける冬紅葉★★★
わた虫の浮かぶ葉陰の緋色かな★★★
籾摺りの日暮れて寒し精米所★★★

●小西 宏
葉の落ちて丸き枝先空へ張る★★★★
葉を落とした枝先に、「丸さ」を見た目が優しい。どんなに尖っているように見えても、よくよく見れば丸さがある。(高橋正子)

彩の木の葉ぶら下げプラタナス★★★
ハンバーガー買いシャンペンの小春かな★★★

●高橋秀之
朝食後みかんの皮が爪の先★★★
手に余る大きな荷物はみかん箱★★★

遠征の子の背に冬の朝日差す★★★★
遠征に出かける子を励ますような朝日の輝かしさ。それは親の心でもある。冬の朝日の緊張感と明るさが今日の試合の勝ちを約束しているようだ。(高橋正子)
コメント (3)
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