中国四国歴史学地理学協会に投稿していた標記の論説を掲載する『年報』第17号(2022年3月)が完成し発行されました。
近年日本史学界で議論を深めつつある「自治体史論」ですが、私の場合は、専門的に取り組む「『鎖国』下異国船対応をめぐる情報ネットワーク」研究の副産物的なものを随時論文化している感じです。今回は、朝鮮船の漂着事件が発生していた山陰2県域の自治体史誌を分析対象にしました。
ただ、2県を1本の論文にまとめて発表したのは失敗だったなと、正直後悔しています。そうしたのは、同じ『年報』第16号(2020年)で現代史用語「モータリゼーション」の場合を分析した論説と対照しやすくする意図なのですけど、読んだ自治体史誌全冊の一覧表を2県分挿入しただけで協会規定の過半数、400字詰原稿用紙30枚強ものスペースを割いてしまいました。「異国船」という用語につき、
(古文書において、いかなる意味づけで記述されているのか)→(その古文書を読んだ研究者がいかに解釈しているのか)→(研究者の見解が各自治体史誌へいかに反映されたのか)
を江戸時代の支配領域ごとに系統立てて説明できれば、研究論文らしくなるでしょう。しかし、そうするためのスペースは残っていませんでした。やはり、1県につき1本の論文で、じっくり書けば良かったなと思いますね。