今日は久し振りの句会で、兼題は〝案山子〟。秋の季語です。
角川俳句大歳時記に、先日の俳協県支部俳句大会で講師を務められました太田土男先生の解説がありました。「案山子は農神でもあった。竹や藁を材料に人の形を作り、蓑笠を着せ弓矢を持たせて田畑の中に立てて鳥獣を威し、その害を防いだ。一本足とへのへのもへじに麦藁帽子という出で立ちはユーモラスでもある。最近ではいろいろなキャラクターが案山子として登場し、時に案山子コンクールが行われる。穫入れが終わると捨案山子が畦に寝かされたりしている。鳥獣の毛や肉を焼いてその悪臭を嗅がして追い払ったことに語原があることからカガシと濁るのが正しいとされる。」と、さすが草地生態学を専攻されて牛の句を詠み尽くされた太田先生らしい懇切丁寧な解説です。見ると例句に次のような虚子の句が出ていました。
御室田に法師姿の案山子かな 高浜虚子
〈御室田〉とは?〈御室〉は仁和寺のことですから、その寺の田圃のことでしょうか。(※ネットで御室田を調べると、白鳥の渡来地で〝御室田遊水地〟がでてきて、これかもと思ったのですが、どうも違っているようで…。長野県安曇野市役所が、〝御宝田遊水池〟と載せていましたので、それの間違いでしょう。)ところが、今日の句会にも〈豊後路や僧の案山子に一礼し〉が出て、これが最高点でした。豊後路は大分県の道、以前に旅行したとき見掛けて、これを詠むのに2年も掛かったと〈笑〉…作者。そりゃ粘った甲斐がありましたねと言うと、やっぱり嬉しそう!リズムもいいし、固有名詞もまあまあ効いているかな…きれいによく纏まった句ですから、一人を除いて全員が採っていましたね。結構、結構!
と、そこで一言…〝他には案山子なかったの?〟〝僧の案山子だったから一礼をしたの?〟〝僧の格好でなかったらどうした?〟と次々訊いていくと、作者は〝他のだったらしなかったけど、僧の格好をしていたからしました〟と。
そうなんです、もう分かりましたか?私が言わんとしていること。これでは作者の意図が見え見えだと思いませんか?そこでちょっと思いついたことが…もしこの句の「や」と「の」を入れ替えてみたらどうなるかしら、考えてみましょうよ。「豊後路を歩いていると一人の僧に出会った。見るとその僧は立ち止って田圃に立っている案山子に一礼して去って行った」…いや、ここは一礼では大げさなので、出来ればちょっと手を合わせたぐらいがいいかも?豊後は国東など寺や石仏の多いところ、修行僧もよく見掛けるでしょうし、もしかしたらその案山子はもう役目を終えた捨案山子だとすると、〝ご苦労さま〟とか、実りの秋への感謝の気持ちも出てきそう。だって案山子は農神さまなんだものね~。さて、〈豊後路の僧や案山子に手を合はせ〉の句と前の句、皆さんはどっちを選びますか?
写真は、先日のプレゼントの花が入っていたダンボール。早速テンちゃんの隠れ家に…そして、手が…ほらカワイイでしょ!でも一瞬手を出した瞬間をパチリと。でもやはりボケていますね。ゴメンナサイ!