
呉 美保監督の『そこのみにて光輝く』に続く作品で、配役の人選に監督の好みが強く反映されている。
幅広い役柄に、どれもハマる高良健吾が、小4の担任クラスをコントロールできない新人教師役。その優柔不断さ加減が、横道世之介とかぶる。
尾野真千子と池脇千鶴が、同じトラウマを抱えるママ友を演じる。中堅女優ピカイチと思っていた尾野真千子と、ベテラン富田靖子を、池脇千鶴の底力が凌駕した印象だ。
この作品は、呉監督の前作同様、現代社会の病いの部分をあぶり出していくのだが、
「子どもをやさしく抱きしめれば、子どもは他人にやさしくすることができる」
登場人物のひとりが語ったことばに、監督の想いが集約されているように思った。
(2日連続 川越スカラ座にて)