定年 再就職とシネマの日々(旧かんちゃんSr.のオヤジな日々)

あと3年で70の大台です。再雇用の職場も定年、パート仕事をしています。映画と写真を愛しているオヤジです。

虎の威を借る

2019年02月08日 22時57分37秒 | 日記

虎の威を借る狐の実録物語。
1945年4月、自らも脱走兵であるドイツ軍上等兵が逃げ惑う途中、大尉の軍服を入手したところから、高慢で残虐な行為を繰り返していく、救いのない実話である。

同じ穴の狢である脱走兵を、向かう先々で仲間に組み入れ、挙句は犯罪者を成敗するとの名目で、90名もの同胞の命を奪ってしまう。

怖ろしいのは、権力を笠に着る主人公が、単なる狐から、潜在的な自己演出能力を発揮して、まさに虎寄りになっていくところだ。

敗戦が目に見えており、軍規が乱れたところに咲いた徒花のような実話だ。
結末は1946年、戦勝国の手によって処刑されるのであるが、ときに本人21歳、これもまた戦争が生み出した悲劇と言える。
(新宿武蔵野館にて、公開初日に鑑賞)