1951年ロンドン、二十歳そこそこの天才ヴァイオリニストのコンサートに聴衆が集まる。当人はその12年前、父親に連れられポーランド(ワルシャワ)から来たユダヤ人。単身でヴァイオリン修行を重ねていたのだ。

コンサートに主役は現れず、周り中に大損害を与えたまま、35年の月日が流れて。
少年期から青年になるまで、一緒に暮らした英国人の友が、あるきっかけから消息を辿り、ロンドン→ワルシャワ→ニューヨークまで捜索の足をのばす。そして正統的ユダヤ教のコスチュームに身を包んだヴァイオリニストと再会するのだが。
失踪の真相を究明していく過程は、
ホロコースト迫害に遭ったであろうヴァイオリニストの家族のこと、失踪直前にユダヤ教を棄てる現場を目撃したこと、同じポーランド出身のもうひとりのライバルの行方、などの謎に取り組まないことには、先に進めない。
あらゆる伏線が、最後にひとつに繋がる。失踪前からヴァイオリニストを知る英国人の妻が、衝撃的告白をするが、夫は軽くスルーした。
ヴァイオリニスト少年期の傲慢かつ
傍若無人な態度が見所のひとつ。